【寝耳に水】と【藪から棒】と【青天の霹靂】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「寝耳に水」(読み方:ねみみにみず)と「藪から棒」(読み方:やぶからぼう)と「青天の霹靂」(読み方:せいてんのへきれき)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「寝耳に水」と「藪から棒」と「青天の霹靂」という言葉は、予想外の出来事が突然起こることを表す慣用表現という共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




「寝耳に水」と「藪から棒」と「青天の霹靂」の違い

「寝耳に水」と「藪から棒」と「青天の霹靂」の意味の違い

「寝耳に水」と「藪から棒」と「青天の霹靂」の違いを分かりやすく言うと、「寝耳に水」は驚かされた者に対して使い、「藪から棒」は驚くようなことをした者に対して使い、「青天の霹靂」は驚くような出来事に対して使うという違いです。

「寝耳に水」と「藪から棒」と「青天の霹靂」の使い方の違い

「寝耳に水」という言葉は、「聞いた話は寝耳に水だった」「寝耳に水の出来事に何も言えなかった」などの使い方で、思いがけない出来事に驚くことを意味します。

「藪から棒」という言葉は、「彼のやることなすこと全て藪から棒だ」「藪から棒に発言した彼女を誰も咎めなかった」などの使い方で、直前の動作や発言とは関係のないことを突然を行うことを意味します。

「青天の霹靂」という言葉は、「青天の霹靂と言わんばかりの出来事に唖然としていた」「その会社の売り上げは青天の霹靂だった」などの使い方で、急に起きた大事件や突然の出来事を意味します。

「寝耳に水」と「藪から棒」と「青天の霹靂」の使い分け方

「寝耳に水」と「青天の霹靂」はどちらも想定外の出来事に驚くことを意味することわざですが、前者は驚いた側の感情を表すのに使い、後者は驚かざるを得ない出来事を表すのに使います。

また、どちらも悪い出来事に対して使い、良い出来事が突然舞い込んできたというような意味では使われません。

一方の「藪から棒」も、「寝耳に水」や「青天の霹靂」のように、「藪から棒な発言」などの使い方でその事態に対して使うことができますが、「彼は藪から棒に話を始める」など驚くような言動をした側に対しても使うことができます。

これが、「寝耳に水」、「藪から棒」、「青天の霹靂」の明確な違いです。

「寝耳に水」の意味

「寝耳に水」とは

「寝耳に水」とは、思いがけない出来事に驚くことを意味しています。

「寝耳に水」は「寝耳に水の入るごとし」の省略表現

「寝耳に水」は、「寝耳に水の入るごとし」を省略した表現方法で、どちらも眠りについている時に耳に水が入る様子を表しています。「寝耳に擂粉木」(読み方:ねみみにすりこぎ)という表現に変えられることもあります。

「寝耳に水」の対義語

「寝耳に水」の対義語・反対語としては、何かが起こりそうだと前もって感じることを意味する「予感」、良いことが起きる前触れを意味する「吉兆」があります。

「寝耳に水」の類語

「寝耳に水」の類語・類義語としては、思いがけないことを意味する「不意」、予期しないことが起きることを意味する「唐突」、物事が現れたり消えたりするのが急である様子を意味する「忽然」などがあります。

「藪から棒」の意味

「藪から棒」とは

「藪から棒」とは、直前の動作や発言とは関係のないことを突然を行う様子を意味しています。

「藪から棒」は「藪から突然棒を突き出す」の省略表現

「藪から棒」は、「藪から突然棒を突き出す」という言葉を略したもので、どちらも突然予想外の出来事が起きることを表しています。「窓から槍」(読み方:まどからやり)という表現に変えられることもあります。

「藪から棒」と同様に藪という漢字を使った表現として「藪蛇」「藪をつついて蛇を出す」がありますが、これは余計なことをしてしまって困難に見舞われることを意味する表現です。そのため、「藪から棒」とは意味が大きく異なります。

「藪から棒」の対義語

「藪から棒」の対義語・反対語としては、何かが起こる前に現れるしるしを意味する「前兆」、未来の事象を示すものとして自然現象に現れる変化を意味する「予兆」があります。

「藪から棒」の類語

「藪から棒」の類語・類義語としては、身近なところで意外なことが起こることを意味する「足下から鳥が立つ」、突然状況が変わってある状態が生じる様子を意味する「俄然」、全く考えていなかったことを意味する「意表」などがあります。

「青天の霹靂」の意味

「青天の霹靂」とは

「青天の霹靂」とは、急に起きた大事件や突然の出来事を意味しています。

「青天の霹靂」の読み方

「青天の霹靂」は「せいてんのへきれき」という読み方をし、「青天」という言葉も晴れ渡った青空を意味しますが、「晴天」という表記の誤りが見受けられます。また、「霹靂」は急に雷が激しく鳴ることを意味する言葉です。

「青天の霹靂」の由来

中国の南宋時代に筆を執っていた詩人の陸游が、『九月四日鶏未鳴起作』という作品の中で「青天、霹靂を飛ばす」という詩を詠んだことに由来している言葉で、晴天に突如雷鳴が轟くことを表した言葉で、想定外のことが起きることを表すようになりました。

本来は、病のために床に伏していた陸游が、鶏が鳴くよりも早い朝の時間に突然起きて、筆を黙々と進めた際の激しさと例えていました。

「青天の霹靂」の対義語

「青天の霹靂」の対義語・反対語としては、前もって見当を付けておいた物事がその通りに進む様子を意味する「予想通り」があります。

「青天の霹靂」の類語

「青天の霹靂」の類語・類義語としては、何の前触れもなく物事が起こる様子を意味する「突如」、予想していない出来事のために物事が順番通りに進まなくなることを意味する「番狂わせ」などがあります。

「寝耳に水」の例文

1.弟にとっては寝耳に水な出来事でもあったのか、ここ数日何をやるにしても身が入っていないように感じた。
2.テレビを見る習慣がないため、自宅付近で大きな事件が起きたことを知った時は寝耳に水だった。
3.家の掃除をしている時に娘のテストをいくつか見つけて点数を見た衝撃は寝耳に水と言えるだろう。

この言葉がよく使われる場面としては、思いがけない出来事に驚くことを意味する時などが挙げられます。

どの例文の「寝耳に水」という言葉も「青天の霹靂」という言葉に置き換えて使うことができます。

「藪から棒」の例文

1.学校での出来事を話していた彼は藪から棒に明日は授業参観だという話を切り出したため、何故もっと早く言わないのかと説教せざるを得なかった。
2.藪から棒に部屋を出て行った彼を追いかけると、電話で誰かと話をし始め、しばらくした後喜びが滲んだ声で相手に感謝を告げていた。
3.その提案は藪から棒ではあったものの、十分な議論がなされるべきものだと感じたため、必死に周りを言いくるめた。

この言葉がよく使われる場面としては、直前の動作や発言とは関係のないことを突然を行う様子を意味する時などが挙げられます。

どの例文の「藪から棒」も、悪い事態に対して使っているわけではないため「寝耳に水」や「青天の霹靂」という言葉に置き換えて使うことはできません。

「青天の霹靂」の例文

1.彼女が離婚を決めたと聞いた時は青天の霹靂とも言うべき事態だと思ったが、相手方の言動を見ていると決心せざるを得ないのも理解できる。
2.国のために身を費やしてきたジャンヌ=ダルクとしては、身代金による身柄の引き渡しが行われなかったのは青天の霹靂だったに違いない。
3.食事を終えた後の両親の一言は青天の霹靂でしばらく口を開くことができないまま、部屋へと戻るしかなかった。

この言葉がよく使われる場面としては、急に起きた大事件や突然の出来事を意味する時などが挙げられます。

どの例文の「青天の霹靂」という言葉も「寝耳に水」という言葉に置き換えて使うことができます。

「寝耳に水」と「藪から棒」と「青天の霹靂」どれを使うか迷った場合は、驚かされた者に使う場合は「寝耳に水」を、驚くようなことをした者に使う場合は「藪から棒」を、驚くような出来事を表す場合は「青天の霹靂」を使うと覚えておけば間違いありません。

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