似た意味を持つ「界隈」(読み方:かいわい)と「業界」(読み方:ぎょうかい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「界隈」と「業界」という言葉は、どちらも「同じ分野に携わる人々の社会」を表しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
界隈と業界の違い
界隈と業界の意味の違い
界隈と業界の違いを分かりやすく言うと、界隈とはある分野の社会だけでなく地理的な範囲も表し、業界とはある分野の社会のみを表すという違いです。
界隈と業界の使い方の違い
一つ目の界隈を使った分かりやすい例としては、「この界隈で変質者がよく出るそうだ」「人通りの多い界隈だ」「上野界隈には懐かしい雰囲気がある」「日銀の発表が金融界隈を揺るがす」「インスタ界隈で話題となっているスイーツです」「SNS界隈で盛り上がっている話だ」などがあります。
二つ目の業界を使った分かりやすい例としては、「アパレル業界に旋風を巻き起こす」「私は英語教育の業界で働きたい」「仕事中に使っている業界用語が思わず口に出た」「業界人っぽいファッションだね」などがあります。
界隈と業界の使い分け方
界隈と業界という言葉は、どちらも同じ産業や分野に携わる人々の社会やコミュニティーを表しますが、厳密な意味や使い方には違いがあります。
界隈とは、そのあたり一帯や付近を意味します。本来は地理的な範囲を表す言葉ですが、最近ではネット用語で「ある分野のコミュニティーや社会」の意味で使われています。上記の「金融界隈」「インスタ界隈」などはこの意味で用いられており、後述する業界とほぼ同じ意味になります。
業界とは、同じ産業や商業に関係する人々の社会を意味します。上記の「アパレル業界」とは、衣服のデザインや製造、販売といった衣料品を取り扱う会社などで構成される社会のことです。また、「業界人」のように、特に芸能界やマスコミ業界などを指す場合があります。
つまり、界隈とは本来は地理的な範囲を意味します。インターネット上で「ある分野やジャンルの携わる人々」を表し、「業界」と同じように使われていますが、かしこまった場面では「業界」を使う方が良いでしょう。
界隈と業界の英語表記の違い
界隈を英語にすると「neighborhood」「locality」となり、例えば上記の「この界隈で」を英語にすると「in this neighborhood」となります。
一方、業界を英語にすると「business world」「industry segments」となり、例えば上記の「業界に旋風」を英語にすると「excitement in the business world」となります。
界隈の意味
界隈とは
界隈とは、そのあたり一帯、付近、近辺を意味しています。
表現方法は「界隈が違う」「界隈に入る」「界隈に疲れた」
「界隈が違う」「界隈に入る」「界隈に疲れた」などが、界隈を使った一般的な言い回しです。
界隈の使い方
界隈を使った分かりやすい例としては、「京都祇園界隈を散歩する」「この界隈は飛行機の騒音が問題になっている」「教育熱心な界隈には英語の教室が多い」「人と人の繋がりがなくなり界隈性の喪失を感じる」などがあります。
その他にも、「オタクの界隈にはたくさんの種類があります」「ほとんどのアニメ界隈曲はマスターしています」「オタク界隈の暗黙のルールがある」「BL界隈の数字4文字は何のことだろうか」などがあります。
界隈という言葉の「界」は訓読みで「さかい」と読み、範囲を区切った特定の場所を表し、「隈」は囲まれた区域の角や目立たない所を表します。界隈とは、そのあたりの地域、近所や付近などを意味する言葉です。
「オタク界隈」「インスタ界隈」「金融界隈」の意味
地理的な範囲を表す界隈ですが、ネット用語では特定のジャンルや業界を指す言葉として使われています。上記の例文にある「オタク界隈」「インスタ界隈」「金融界隈」などは、この意味で用いられているものです。本来の使い方ではありませんが、世間一般に浸透しつつある使い方です。
界隈の対義語
界隈の対義語・反対語としては、真ん中や中央を意味する「中心」、距離や場所などが各端から等しく離れていることを意味する「中央」、遠くの方や遠い所を意味する「遠方」、遠く離れていることを意味する「遠隔」などがあります。
界隈の類語
界隈の類語・類義語としては、もののまわりや周辺を意味する「周囲」、周囲や四辺を意味する「ぐるり」、隣り合ったごく近いあたりを意味する「近隣」、ある場所から近いところを意味する「近所」などがあります。
業界の意味
業界とは
業界とは、同じ産業や商業に関係する人々の社会、同業者の世界を意味しています。
その他にも、「特に、マスコミ・広告など情報産業に関係する人々の社会」の意味も持っています。
表現方法は「業界に入る」「業界を変える」「業界を知る」
「業界に入る」「業界を変える」「業界を知る」などが、業界を使った一般的な言い回しです。
業界の使い方
「業界動向をしっかりリサーチする」「業界一覧をみながら自分に合う就職先を考える」「業界研究のやり方を先輩に教えてもらった」「就職活動で使う業界地図の2022年版を買いました」などの文中で使われている業界は、「同じ産業や商業に関係する人々の社会」の意味で使われています。
一方、「憧れのマスコミ業界に就職が決まりました」「業界人は夜でも、おはようございますと挨拶する」「ロケ現場では業界用語が飛び交っています」などの文中で使われている業界は、「情報産業に関係する人々の社会」の意味で使われています。
業界という言葉は、同一の産業や商業などに従事する人々の社会や、同業者仲間を意味します。
「金融業界」の意味
たとえば「金融業界」とは、金融取引に関する業務を行う機関や人々のことで、具体的には銀行や保険会社、証券会社などの社会のことです。
また、業界という言葉を単体で使う時には、特に芸能業界やマスコミを指す場合があります。
「業界用語」の意味
業界を用いた日本語には「業界用語」があります。同じ職業の業界や、それに詳しい人たちの間で用いられる独独の言葉や言い回しであり、そのほとんどは一般に広く通じないものです。
業界の類語
業界の類語・類義語としては、政治にたずさわる者の社会を意味する「政界」、大企業を中心とした実業家が構成している社会を意味する「財界」、学者の社会や学問の世界を意味する「学会」、演劇関係者の社会を意味する「劇界」、音楽家の社会や音楽界を意味する「楽界」などがあります。
界隈の例文
この言葉がよく使われる場面としては、そのあたりの地域、近所、付近を表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文3にある界隈は、地理的な範囲を表しています。一方、例文4や例文5の界隈は、特定のジャンルや業界を表し、主にインターネット上で使われています。
業界の例文
この言葉がよく使われる場面としては、 同一の産業や商業などに従事する人々の社会を表現したい時などが挙げられます。
例文1にある「業界研究」とは、多種多様な業界に関する情報を集め、その業界に備わっている特徴や動向、将来性などを調べて把握することです。例文5の「業界人」とは、芸能界や音楽業界、マスコミ業界などに携わる人を指します。
界隈と業界という言葉は、どちらも同じ産業や分野に携わる人々の社会を表します。ただし、この意味での「界隈」はネット用語であり、改まった場面では「業界」を使うようにしましょう。