【尊敬】と【リスペクト】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「尊敬」(読み方:そんけい)と「リスペクト」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「尊敬」と「リスペクト」という言葉は、どちらも相手の存在を重んじているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




尊敬とリスペクトの違い

尊敬とリスペクトの意味の違い

尊敬とリスペクトの違いを分かりやすく言うと、尊敬は日本語であり「人」に対して使われる言葉で、リスペクトは「Respect」というスペルで書く英語であり「人」だけでなく「物」などに対しても使われる言葉であるという違いです。

また、尊敬は相手を持ちあげて敬っているのに対し、リスペクトは相手と対等な立ち位置にいながら賞賛をしている気持ちを意味しているという違いがあります。

尊敬は目上の人に使えるが、リスペクトは使えない

尊敬というのは、自分自身の立ち位置はそのままに、相手を自分よりも上にあげることを意味しています。階段を想像して考えてみると分かりやすいでしょう。

階段の同じ段に自分と相手がいるとします。尊敬するという感情は、自分は動かずに、相手に階段を一段上にのぼってもらうことで成り立つものです。

「尊敬」という言葉を使った時には、自分の側は相手を見上げる構図になります。相手の方が立ち位置が上になっている状態です。

一方、リスペクトというのは、尊敬と同じ意味を持っている言葉ですが、相手との関係性が尊敬とは異なります。リスペクトというのは、相手と自分の立ち位置が同等である状態で使われる言葉です。

相手の考えや存在を価値のあるものであると認めて、そこに敬意と賞賛の心を持っている状態をリスペクトと表現しますが、相手の価値を認めているからと言って、相手の立ち位置が自分よりも上になるということはありません。

あくまでも、自分と相手を対等なものとして見つめながら、相手を認めている状態をリスペクトと表現します。つまり、リスペクトという表現は目上の人や立場が上の人に対してはあまり使われない言葉だということが出来ます。

尊敬は人に対して、リスペクトは人以外にも使える

また、尊敬という言葉は、人に対して使われる言葉です。例えば「私は研究室の先生を尊敬しています」や「私は母を尊敬しています」などのように使われるものです。

対する「リスペクト」という言葉は、人に対してではなくても使うことが出来ます。例えば「私は彼の考え方をリスペクトしている」や「僕はあの人の生活スタイルをリスペクトしている」というように考え方などについても使うことが出来ます。

敬ったり賞賛する対象が人なのか、それ以外なのかを考えることで、どちらの言葉を使ったら良いのかを判断することも出来るのだと覚えておくようにしましょう。

尊敬の意味

尊敬とは

尊敬とは、その人の人格や経験、学問的な知識について尊び、敬うことを意味しています。その人の行為や業績について、優れているものと認めて、大切にする気持ちを持つことを「尊敬」と表現します。主に「人」に対して使われる言葉です。

尊敬というのは、日本で使われている言葉であり、日本的な観点を持っている言葉であると言えます。日本語にある「尊敬語」と同じように「尊敬」という言葉も、相手を自分自身よりも上に置くことで、相手を持ちあげる言葉です。

尊敬は目上の人に使える

自分の立ち位置は変化せず、相手を持ちあげることにより、相手の立場を上げます。すると、自分側からは相手を見上げるような状態になります。これが相手を尊敬している状態です。

表現方法は「尊敬の念」「尊敬する」「尊敬の意」

尊敬という言葉は「尊敬の念を抱く」「尊敬する気持ち」「尊敬の意を表する」「尊敬の眼差し」などの言い回しで使われることの多い言葉です。

尊敬の使い方

尊敬を使った分かりやすい例としては、「長い間努力して結果を出した彼に尊敬の念を抱く」「私が尊敬する歴史上の人物は坂本龍馬です」「彼女のことを尊敬する気持ちは持っているが直接は伝えない」「好きなモデルへの尊敬の眼差しが止まらない」などがあります。

尊敬の対義語

尊敬の対義語・反対語は「軽蔑」や「侮蔑」という言葉で、これらは「劣ったものであること」「馬鹿にして見下すこと」を意味している言葉です。

尊敬の語源

尊敬の「尊」という字は、値打ちが高いことや、大切にすることを意味する漢字です。価値の高いものであるとして重んじるという意味です。また、尊敬の「敬」という字は、相手に礼を尽くすという意味を持っています。

このことから「尊敬」という言葉は、相手を大切にして礼を尽くすことを意味していると言うことが出来ます。

尊敬の類語

尊敬の類語・類義語としては、尊敬し親しみの気持ちを持つことを意味する「敬愛」、つつしみ敬うことを意味する「恭敬」、尊敬の念を抱くことを意味する「敬服」などがあります。

尊敬の「尊」という字を使った言葉としては、尊びあがめることを意味する「尊崇」、尊敬している人の考え方のことを意味する「尊慮」、価値あるもの尊いものとして大切に扱うことを意味する「尊重」などがあります。

尊敬の「敬」という字を使った言葉としては、表面では敬う態度でいながら実際には関わりを持たないようにすることを意味する「敬遠」、 敬意を表して礼や挙手などをすることを意味する「敬礼」などがあります。

リスペクトの意味

リスペクトとは

リスペクトとは、英語で「Respect」と記し、尊敬することや敬意を表することを意味しています。「人」だけではなく「物」や「物事」に対しても使うことが出来る言葉でもあります。

リスペクトは、相手の価値を認めて、心から尊敬して従う気持ちを表しています。

リスペクトは目上の人には使わない方がいい

リスペクトというのは、英語の表現なので、日本的な、相手を上に持ちあげるような考え方を持ちません。リスペクトは、あくまでも相手と自分が対等な立場にある状態で使われる言葉です。

相手と自分を対等な立ち位置であるとしながら、相手の素晴らしさや実力を認めて評価している状態が「リスペクト」という表現であると言えます。相手が素晴らしいからと言って、自分の価値を下げることはしません。あくまでも対等な立場での言葉です。

つまり、リスペクトという言葉は、相手の価値を認めて評価をしていますが、尊敬の気持ちや敬意は持たないものであると言えます。

そのため、リスペクトという言葉を目上の人に使う場合には注意が必要です。相手の立場が明らかに上の場合には、リスペクトよりも尊敬という言葉を使う方が良いでしょう。

表現方法は「リスペクトする」「リスペクトしてる」「リスペクトされない」

「リスペクトする」「リスペクトしてる」「リスペクトされない」「リスペクトのかけらもない」などが、リスペクトを使った一般的な言い回しです。

リスペクトの使い方

リスペクトを使った分かりやすい例としては、「メンバー同士がリスペクトしあえる関係性でないとこのプロジェクトは成功できない」「アメリカに比べると起業家がリスペクトされない文化が日本にはある」「ルールを破る選手はリスペクトのかけらもない」などがあります。

リスペクトの対義語

リスペクトの対義語・反対語は「ディスリスペクト」という言葉であり、これは相手を貶す意味を持ちます。

このディスリスペクトという言葉は、ヒップホップなどのアーティストがライバルアーティストを批評する際によく使われる言葉です。日本では「ディスる」と省略して使われたりしています。

リスペクトの類語

リスペクトと同じようなニュアンスで使われる類義語となる言葉としては、相手を素晴らしいと認めて、その作品などを真似するという意味の「オマージュ」、相手の思想などに影響を受けて、その感情が吹き込まれたという意味の「インスパイア」などがあります。

尊敬の例文

1.尊敬する人は誰かと聞かれたら、私は祖父であると答えるようにしています。
2.上司となる人は尊敬できる人物が良いなぁ。
3.彼女は自分の力でコツコツと努力できる人なので、私は尊敬している。
4.友人関係の間柄でも、相手を尊敬する心を持つことは大切なことだ。
5.互いに尊敬して、協調していくことで、男女関係が上手くいくこともあるそうだ。
6.今年も世界的な猛暑が記録されていて毎年思うことは、エアコンを開発された方々に尊敬する念に堪えない。
7.自分が疲れている時に子どもが大泣きしても、わがままを言っても、物を投げても、消して怒鳴りつけず諭している妻を本当に尊敬する。
8.試合に負けているときも諦めず、最後まで全力で戦う先輩の姿を、私はいつも尊敬と憧れの眼差しで見ている。
9.二宮尊徳が今も人々の尊敬の念を集めている理由は、苦学者のみならず農政改革者としての面にある。
10.彼は大学創立以来の初の箱根駅伝の優勝を勝ち取った監督として学内から尊敬の的だ。

この言葉がよく使われる場面としては、相手を素晴らしいと持ち上げて、自分よりも上の立場に置く時などが挙げられます。尊敬という言葉を使う際には、相手と自分の立場は対等ではなく、自分が相手を見上げている状態を意味しています。

自分が相手の下に向かうのではなく、自分の立ち位置はそのままに、相手を持ちあげるというのが「尊敬」ということです。結果的には、自分が相手を見上げる構図になるので、目上の人や立場が上の人に対しても使える言葉であると言えます。

リスペクトの例文

1.私はこのミュージシャンをリスペクトしています。
2.リスペクトという、平等でありながら相手を賞賛する考え方は、とても良いものだと思う。
3.画家であれば、断然ゴッホをリスペクトしております。
4.リスペクトの反対語であるディスリスペクトという言葉が「ディスる」という言葉の語源となっています。
5.彼はあの先輩をリスペクトしているから、服装や髪型を真似しているらしいよ。
6.自分は彼の作り出す音楽が好きで自分も影響されて音楽を作っているが、まだまだリスペクトが足りないと思っている。
7.彼女は年下で髪型や服装もチャラいが、いつどこで誰が相手でも同じように接しているからそこはリスペクトしている。
8.他人が描いたイラストを剽窃する行為は悪であり、リスペクトやオマージュという言葉で矮小化してはならない。
9.日本社会は技術をリスペクトしているわりに、個人の独創性をリスペクトしているとは到底思えないのだ。
10.サッカーの国際試合後にリスペクトの証としてユニフォーム交換をする風景はもはや珍しいものではなくなった。

この言葉がよく使われる場面としては、相手に高い価値があることを認めて、賞賛している気持ちを表す時などが挙げられます。

リスペクトという言葉を使う際には、相手を持ちあげるのではなく、相手と自分が対等な立場に居ながらにして賞賛をしている状態のことを指します。

リスペクトという言葉は、相手を立場的に持ちあげる意味は持ちません。そのため、目上の人や立場が上の人に対して「リスペクト」という言葉を使うのは、場合によっては失礼な発言と取られてしまうこともあるので注意が必要です。

相手の立場が自分よりも上の場合には「リスペクト」ではなく、「尊敬しています」という言葉を使うようにしましょう。

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