似た意味を持つ「空前絶後」(読み方:くうぜんぜつご)と「前代未聞」(読み方:ぜんだいみもん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「空前絶後」と「前代未聞」という言葉は、どちらも「非常に珍しいこと、程度のはなはだしいこと」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
空前絶後と前代未聞の違い
空前絶後と前代未聞の意味の違い
空前絶後と前代未聞の違いを分かりやすく言うと、空前絶後とは過去にも将来にもないことを表し、前代未聞とは過去にないことを表すという違いです。
空前絶後と前代未聞の使い方の違い
一つ目の空前絶後を使った分かりやすい例としては、「日本人大リーガーが二刀流で空前絶後の偉業を成し遂げた」「オリンピックで空前絶後の大記録が続出した」「今日び空前絶後のアニメブームとなっています」などがあります。
二つ目の前代未聞を使った分かりやすい例としては、「人類史上例のない前代未聞の大惨事でした」「兄は頼まれると嫌だと言えない前代未聞のお人好しです」「前代未聞の出来事に戸惑っています」などがあります。
空前絶後と前代未聞の使い分け方
空前絶後と前代未聞という言葉は、どちらも「今まで一度もないような珍しいこと」を表しますが、意味や使い方には違いがあります。
空前絶後とは、過去に例がなく、将来も起こりそうもないと思われることを意味します。後にも先にも起こらないだろうという非常に珍しいことや、極めてまれな様子を表し、「空前絶後の偉業」「空前絶後の大記録」のようにポジティブな意味で使われることが多い四字熟語です。
一方、前代未聞とは、過去に一度も聞いたことがないような非常に珍しいことを意味します。将来を見越して今後も起こらないことを表す空前絶後に対して、前代未聞はこれまでの出来事にフォーカスした表現です。また、「前代未聞の大惨事」のようにネガティブな意味で使われる傾向があります。
空前絶後と前代未聞の英語表記の違い
空前絶後を英語にすると「the first and the last」となり、例えば上記の「空前絶後の偉業である」を英語にすると「It is the first and last undertaking of such magnitude」となります。
一方、前代未聞を英語にすると「record-breaking」「unheard-of」「unprecedented」となり、例えば上記の「前代未聞の大惨事」を英語にすると「an unheard‐of calamity」となります。
空前絶後の意味
空前絶後とは
空前絶後とは、過去にも例がなく将来もありえないと思われること、非常に珍しいことを意味しています。
空前絶後の使い方
空前絶後を使った分かりやすい例としては、「バブル期に空前絶後の英語留学ブームがありました」「ドラゴンボールは空前絶後の人気となったアニメです」「将棋界では空前絶後の大記録を更新中です」などがあります。
その他にも、「空前絶後のフィギュアスケーターが金メダルを獲得した」「空前絶後のヒットとなった曲の歌詞を検索する」「サンシャイン池崎は空前絶後のピン芸人として活躍しています」「その奇妙な家屋は空前絶後ハウスと呼ばれています」などがあります。
空前絶後という言葉の「空前」は今までに一度もなかったこと、「絶後」は将来においても二度とはあるまいと思われることを表します。空前絶後とは、過去に例がなく、これから後にも起こりそうもないことを意味する四字熟語であり、非常に珍しい出来事や事象に対して用いられています。
空前絶後の語源
空前絶後の語源は、古代中国の故事に由来します。北宋の皇帝が唐時代の画家である呉道子について、「これまでにないほど素晴らしい画家の顧愷之、これからもないほど素晴らしい画家の張僧繇、その二人の才能を兼ね備えているほどの偉大な画家である」と褒め称えたことにあります。
空前絶後の対義語
空前絶後の対義語・反対語としては、これといったすぐれた特色もなく当たり前なことを意味する「平凡」、ありふれていてとりえのないことを意味する「凡俗」、極めて多くの物事にあてはまるさまを意味する「普遍的」などがあります。
空前絶後の類語
空前絶後の類語・類義語としては、これまでとは時代を区切るほど目覚ましいさまを意味する「画期的」、これまでで最高でありこれからもないことから非常に優れていることを意味する「冠前絶後」、二度と来ないかもしれないほど恵まれた状態を意味する「千載一隅」などがあります。
前代未聞の意味
前代未聞とは
前代未聞とは、今までに一度も聞いたことがないこと、非常に珍しいことを意味しています。
前代未聞の使い方
前代未聞を使った分かりやすい例としては、「感情表現に特化した類語辞典とは前代未聞である」「例文にNGワードを盛り込んだ前代未聞の漢字ドリルです」「中卒で英語講師になるなんて前代未聞だ」などがあります。
その他にも、「前代未聞の出来事に市民はパニックに陥っている」「前代未聞の炎上となったタレントは良い意味でバズりたいとコメントしました」「漢文を訓読で読み下すことができる小学生なんて前代未聞です」などがあります。
前代未聞の「前代」は現在より前の時代を表し、「未聞」は今までに聞いたこともないような珍しく変わったことを表します。前代未聞とは、これまでに聞いたこともないような珍しく変わったことや、大変な出来事を意味する四字熟語です。
前代未聞の由来
前代未聞という言葉の語源は、漢文に由来します。前代未聞を訓読の書き下し文にすると、「前代に未だ聞かず」となり、これまで聞いたことがないほどの珍しいことや、程度のはなはだしいこと、未経験の事態を表します。
前代未聞の対義語
前代未聞の対義語・反対語としては、きわめて平凡なさまを意味する「平々凡々」、ありふれていてつまらないことを意味する「陳腐」、広く認められ行き渡っているさまを意味する「一般的」などがあります。
前代未聞の類語
前代未聞の類語・類義語としては、今までに一度もなかったことを意味する「未曾有」、昔からまだ一度もその例をみないほど珍しいことを意味する「前古未曽有」、型破りなことを意味する「破天荒解」、今まで誰も成し遂げたことがないことを意味する「前人未踏」などがあります。
空前絶後の例文
この言葉がよく使われる場面としては、過去に例がなく将来もありえないと思われることを表現したい時などが挙げられます。
空前絶後という言葉は、例文1から例文4にあるようにポジティブなニュアンスで使われることが多い四字熟語です。その一方、例文5のように、今までに例がなく、これからもあり得ないという悪い事態に使われることもあります。
前代未聞の例文
この言葉がよく使われる場面としては、これまでに一度も耳にしたことがないような変わった珍しいことを表現したい時などが挙げられます。
前代未聞という言葉は、上記の例文にあるように、ネガティブな意味で使われることが多い四字熟語です。
空前絶後と前代未聞という言葉は、どちらも「非常に珍しいこと」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、その出来事が過去にも未来にもないことを表現したい時は「空前絶後」を、その出来事が過去にないことを表現したい時は「前代未聞」を使うようにしましょう。