似た意味を持つ「カースト」と「ヒエラルキー」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「カースト」と「ヒエラルキー」という言葉は、どちらも階層階級を表す共通点があり、本来の意味は違いますが混同して使われる傾向があります。
カーストとヒエラルキーの違い
カーストとヒエラルキーの意味の違い
カーストとヒエラルキーの違いを分かりやすく言うと、変わることがない階級制度か、変わる可能性がある階級制度かの違いです。
カーストとヒエラルキーの使い方の違い
一つ目のカーストを使った分かりやすい例としては、「学内カーストの中間層だと自負している」「住まいカーストがあって暮らしにくい」「結婚カーストがひどいため周りに報告しにくい」「うちの保育園には夫の職業でマウンティングするママ友カーストが存在する」などがあります。
二つ目のカーストを使った分かりやすい例としては、「女子ヒエラルキーの上位に入るために女子力を磨いている」「ヒエラルキー型組織には役職があり管理職がいる」「今後の成長のために会社組織のヒエラルキーをシャッフルした」などがあります。
このようにカーストが変わることがない階級制度、ヒエラルキーが変わる可能性がある階級制度です。
しかしながら現在では、中学校や高校などで自然に生まれる容姿が恵まれているほど上位のグループになるといった「スクールカースト」ように、本来の意味としてはカーストよりもヒエラルキーの方が近い言葉でも混同して使われる傾向があります。
カーストとヒエラルキーの英語表記の違い
カーストを英語にすると「caste」となり、例えば「カースト間の対立抗争」を英語にすると「a fight between castes」になります。
一方、ヒエラルキーを英語にすると「hierarchy」となり、例えば「ヒエラルキーで高い位置にいる人」を英語にすると「a person who holds a high position in a hierarchy」となります。
カーストの意味
カーストとは
カーストとは、ヒンドゥー教におけるインドの身分制度であるカースト制度が語源となっており、下の身分の人が上の身分になる事はない、流動性がない絶対的な人間関係における身分格差を意味しています。
「カースト文化」「スクールカースト」が有名
カーストが用いられた言葉には、ハチやアリなどの社会性昆虫の集団で個体が繁殖や労働など異なる役割を担うグループに分けることを意味する「カースト文化」、学校のクラス内で勉強以外の能力や容姿などにより格付けされることを意味する「スクールカースト」があります。
ヒエラルキーの意味
ヒエラルキーとは
ヒエラルキーとは、カトリック教会など聖職者の支配構造が語源となっており、部長や課長といった企業体系のように、下の階層の人が努力次第で上の階層になったり、上の階層の人が不祥事などにより下の階層になる可能性がある、流動性がある組織内における階層構造を意味しています。
ヒエラルキーの類語
ヒエラルキーの類語・類義語としては、ヒエラルキーのドイツ語表現を意味する「ハイアラーキー」、地位や身分の上と下を意味する「上下関係」、力関係を意味する「権力構造」などがあります。
カーストの例文
カーストは流動性がない絶対的な人間関係における身分格差が本来の意味なのですが、このようにスクールカーストやママ友カーストのように流動性があるヒエラルキーに近い表現として使われることが多いです。
この言葉がよく使われる場面としては、「スクールカースト」という言葉があるように学校内、「ママ友カースト」という言葉があるようにママ友同士のLINEがあります。
カーストいう言葉は心の中で思っていても、他人を傷つけてしまう可能性やトラブルが起きてしまう可能性がある言葉ですので、使うときは後々のことを考え慎重に使うようにしましょう。
ヒエラルキーの例文
ヒエラルキーは流動性がある組織内における階層構造が本来の意味なのですが、まさに本来通りの意味として今日も使われています。
この言葉がよく使われる場面としては、学校よりも職場内やタワーマンション内に関連する場面が目立ちます。
カーストは学校の授業の中でインドのカースト制度について知る機会がありますが、ヒエラルキーは社会に出てからその言葉を知る人が多いため、ヒエラルキーという言葉を学校内で使用する人は少ないと言えます。
とは言え、ヒエラルキーは類義語であるカーストと同様に他人を傷つけてしまう可能性やトラブルが起きてしまう可能性がある言葉ですので、使うときは後々のことを考え慎重に使うようにしましょう。