似た意味を持つ「申し伝える」(読み方:もうしつたえる)と「お伝えする」(読み方:おつたえする)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「申し伝える」と「お伝えする」という言葉は、どちらも伝えることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「申し伝える」と「お伝えする」の違い
「申し伝える」と「お伝えする」の意味の違い
「申し伝える」と「お伝えする」の違いを分かりやすく言うと、「申し伝える」とは話している相手に敬意を払っている、「お伝えする」とは伝える相手に敬意を払っているという違いです。
「申し伝える」と「お伝えする」の使い方の違い
一つ目の「申し伝える」を使った分かりやすい例としては、「すぐ担当の者に申し伝えます」「ご連絡いただきましたことを部長に申し伝えておきます」「その旨、課長に申し伝えます」「その件は彼女に申し伝えておきます」などがあります。
二つ目の「お伝えする」を使った分かりやすい例としては、「この件は社長にお伝えしておきます」「お客様に内容の変更をお伝えする」「今回の取引内容についてお伝えします」「本日は嬉しいニュースをお伝えします」などがあります。
「申し伝える」と「お伝えする」の使い分け方
「申し伝える」と「お伝えする」はどちらも伝えることを意味する言葉ですが、敬意を払う対象が異なっているというのが違いです。
「申し伝える」は「ご連絡いただきましたことを担当の者に申し伝えます」「課長にもそのように申し伝えます」などのように、話している相手に敬意を払っています。
一方、「お伝えする」は「社長に本日の会議の結果をお伝えする」「会長に今月のスケジュールをお伝えする」などのように、伝える相手に敬意を払っている場合に使います。
「申し伝える」と「お伝えする」の英語表記の違い
「申し伝える」を英語にすると「let one’s know」となり、例えば上記の「その件は彼女に申し伝えておきます」を英語にすると「I’ll let her know about that」となります。
一方、「お伝えする」を英語にすると「tell」「convey 」「teach」となり、例えば上記の「本日は嬉しいニュースをお伝えします」を英語にすると「Today I will tell you the good news」となります。
「申し伝える」の意味
「申し伝える」とは
「申し伝える」とは、言い伝えるの謙譲語を意味しています。
「申し伝える」の使い方
「申し伝える」を使った分かりやすい例としては、「担当の者に折り返しご連絡するよう申し伝えておきます」「すぐ係の者に申し伝えます」「頂いたご要望については担当の部署に申し伝えておきます」「社長が戻り次第申し伝えます」などがあります。
「申し伝える」は言葉を取り次ぐことや伝言することを意味する「言い伝える」の謙譲語表現です。もっと厳密に言うならば、丁重語に該当します。そのため、敬意を払う相手は伝える相手ではなく、今話している相手になります。
丁重語とは謙譲語の一種で謙譲語Ⅱとも言われており、自分や身内の行動を謙る場合に使う言葉です。
「申し伝える」はビジネスシーンにおいてよく使われている言葉で、電話やメール対応の決まり文句となっています。また、電話やメールだけではなく、対面にいる人に対しても使うことが可能です。
「申し伝えさせていただきます」は誤り
「申し伝える」をさらに丁寧に表現しようとして「申し伝えさせていただきます」と言う人がいますが、「いただく」を使ってしまうと敬意を払う対象が異なってしまうので、間違った敬語の使い方になります。
「申し伝える」の類語
「申し伝える」の類語・類義語としては、命令や情報などを口頭または書類で相手に伝えることを意味する「伝達する」、伝えることを言うことを意味する「伝え申す」、言葉やその他の手段で伝えることを意味する「知らせる」などがあります。
「お伝えする」の意味
「お伝えする」とは
「お伝えする」とは、伝えるの謙譲語を意味しています。
「お伝えする」の使い方
「お伝えする」を使った分かりやすい例としては、「イベントの詳細が決まりましたら改めてこちらからお伝えします」「本日の会議の内容については私から社長にお伝えします」「テレビ出演の日程が決まりましたのでお伝えします」などがあります。
「お伝えする」は言葉などで知らせることや伝言することを意味する「伝える」の謙譲語です。謙譲語とは自分の行動を相手よりも下の立場として表現することにより相手への敬意を示すことを意味しています。
そのため、「私から社長にお伝えします」「今回のイベント内容をお伝えします」のように、伝える相手に敬意を払いたい時に使う言葉です。
「お伝えする」はビジネスシーンにおいてよく使われる言葉ですが、社外の人に対して社内の人間に「お伝えしする」と使うのは間違った使い方なので気をつけましょう。
分かりやすい例を挙げると、取引先の人に対して、「今回の内容を社長にお伝えします」とするのは間違いです。例え自分の上司であっても、取引先の人に対して身内の人に敬意を示すのは間違った使い方になります。
その場合は、「今回の内容を社長に申し伝えます」のように、話し相手に敬意を払っている「申し伝える」を使うようにしましょう。
「お伝えする」の類語
「お伝えする」の類語・類義語としては、気持ちや考えなどを知らせることを意味する「連絡する」、知っていることを相手に告げ知らせるを意味する「教える」などがあります。
「申し伝える」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、言い伝えるの謙譲語を表現したい時などが挙げられます。
上記の例文のように、「申し伝える」は話している相手への敬意を払った表現になります。
「お伝えする」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、伝えるの謙譲語を表現したい時などが挙げられます。
上記の例文のように、「お伝えする」は伝える相手への敬意を払った表現になります。
「申し伝える」と「お伝えする」はどちらも伝えることを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、話している相手に敬意を払っている時は「申し伝える」を、伝える相手に敬意を払っている時は「お伝えする」を使うと覚えておきましょう。