【井の中の蛙】と【お山の大将】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「井の中の蛙」(読み方:いのなかのかわず)と「お山の大将」(読み方:おやまのたいしょう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「井の中の蛙」と「お山の大将」という言葉は、どちらも狭い範囲で得意になっていることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




「井の中の蛙」と「お山の大将」の違い

「井の中の蛙」と「お山の大将」の意味の違い

「井の中の蛙」と「お山の大将」の違いを分かりやすく言うと、「井の中の蛙」とは他の世界を知らないというニュアンスがある、「お山の大将」とは他の世界を知らないというニュアンスがないという違いです。

「井の中の蛙」と「お山の大将」の使い方の違い

一つ目の「井の中の蛙」を使った分かりやすい例としては、「この程度で得意になっているようでは井の中の蛙だろう」「自分が井の中の蛙になってるいうような気がしてなりません」「彼女は自分が物知りだと思っているが井の中の蛙です」などがあります。

二つ目の「お山の大将」を使った分かりやすい例としては、「小学生時代の私はお山の大将でした」「彼はすぐお山の大将になりたがるので困ったもんだ」「あの人はお山の大将です」などがあります。

「井の中の蛙」と「お山の大将」の使い分け方

「井の中の蛙」と「お山の大将」はどちらも狭い範囲で得意になっていることを意味する言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。

「井の中の蛙」は自分の狭い知識や考えにとらわれて他の広い世界のあることを知らないで得々としていることを意味しており、他に広い世界があることを知らないで、自分の住んでいるところが全てだと思い込んでいる人に対して使う言葉になります。

つまり、他の世界を知らないというニュアンスがあります。

一方、「お山の大将」は狭い範囲の中で自分が一番だと得意になっている人のことを意味しており、小規模のグループの中で自分が常にトップじゃないといけかなったり、目下の人ばかり集めて威張った態度を取る人のことを指しています。

つまり、他の世界を知らないというニュアンスがありません。

「井の中の蛙」と「お山の大将」の英語表記の違い

「井の中の蛙」を英語にすると「the frog in the well knows nothing of the great ocean」となります。

一方、「お山の大将」を英語にすると「king of the mountain」となり、例えば上記の「あの人はお山の大将です」を英語にすると「He thinks he is king of the mountain」となります。

「井の中の蛙」の意味

「井の中の蛙」とは

「井の中の蛙」とは、自分の狭い知識や考えにとらわれて他の広い世界のあることを知らないで得々としていることを意味しています。

「井の中の蛙」は「井の中の蛙大海を知らず」とも書く

「井の中の蛙」は「井の中の蛙大海を知らず」(読み方:いのなかのかわずたいかいをしらず)と書くことができます。また、意味は全く同じです。

「井の中の蛙」の使い方

「井の中の蛙」を使った分かりやすい例としては、「自分の得意分野しか勉強しないと井の中の蛙になってしまう」「知らぬ間に井の中の蛙になってしなってしまっていた」「井の中の蛙と言われないよう色々分野を勉強しています」などがあります。

「井の中の蛙」とは井戸の中であることを意味する「井の中」に、カエルのことを意味する「蛙」が合わさっています。

「井の中の蛙」の由来

「井の中の蛙」の由来は、中国の思想家である荘子の『秋水篇』です。その中に、井戸の中にいる蛙は海を見たことがなく、井戸という狭い世界しか知らないため、視野が狭くて知識はありきたりのものしかないという一文がありました。

このことが転じて、自分の狭い知識や考えにとらわれて他の広い世界のあることを知らないで得々としていることを「井の中の蛙」と言うようになったのです。

「井の中の蛙」は自分に対しても他人に対しても使うことで、自分への戒めであったり、他人に注意を促す場合に使います。また、基本的にプラスのイメージで使うことは少なく、マイナスなイメージで使う言葉です。

「井の中の蛙」の類語

「井の中の蛙」の類語・類義語としては、自分の狭い見識をもとに大きな事柄について勝手な推測をすることを意味する「針の穴から天を覗く」、小さいことに心を奪われて全体を見通さないことを意味する「木を見て森を見ず」などがあります。

「お山の大将」の意味

「お山の大将」とは

「お山の大将」とは、狭い範囲の中で自分が一番だと得意になっている人のことを意味しています。その他にも、子供の遊びのことの意味も持っています。

「お山の大将」の漢字表記

「お山の大将」を漢字にすると、「御山の大将」と表記することもできます。

表現方法は「お山の大将タイプ」「お山の大将症候群」

「お山の大将タイプ」「お山の大将症候群」などが、「お山の大将」を使った一般的な言い回しになります。

「お山の大将」の使い方

「お山の大将」を使った分かりやすい例としては、「お山の大将を気取って何かいいことがあるのだろうか」「お山の大将に嫌われているので、この職場でやっていく自信がありません」「お山の大将われ一人です」などがあります。

「お山の大将」は狭い範囲の中で自分が一番だと得意になっている人のことを意味する言葉で、自分が常にトップでないと気が済まないという価値観の人や、自分より格下の人間ばかり集めたグループを作ってその中で威張った態度を取る人のことを指しています。

したがって、マイナスなイメージでしか使わない言葉です。また、「お山の大将」である人は、基本的に嫌われる傾向があります。

「お山の大将」のもう一つの意味である子供の遊びは、山なりに盛られた土の上に、数人が先を争って登り、先頭の者があとから来る者を突き落とし、「お山の大将われ一人」と言って誇る遊びのことです。

「お山の大将」の類語

「お山の大将」の類語・類義語としては、家の中では威張り散らすが外では意気地のないことを意味する「内弁慶」があります。

「井の中の蛙」の例文

1.日本で活躍しているからといって、世界で通用するかは分かりません。まさに井の中の蛙だろう。
2.上京して野球部の本格的な練習に参加してみると、自分が井の中の蛙であったことを気づかされる。
3.自分は井の中の蛙だと気づいてしまったので、サッカー留学でヨーロッパへ渡ることを決意しました。
4.彼は中学時代はエースだったが、高校では試合にすら出れませんでした。まさに井の中の蛙であった。
5.彼はいつも得意げに自分の知識を自慢しているが、所詮井の中の蛙です。
6.東京の大学に進学することを母から反対されていたが、このままでは井の中の蛙になる。旅立ちを応援してやれと祖父が味方になってくれた。
7.中学校までは勉強しなくともトップの成績で鼻高々な私だったのですが、高校で県内随一の進学校に入学したとたん、見事においていかれ、そのとき人生で初めて自分がいかに井の中の蛙だったのかということがわかりました。
8.日本はいつまでたっても井の中の蛙で、日本が進めている電気自動車の国際標準もことごとく欧米に負けっぱなしである。
9.中学生まで常に成績トップだったやつも、高校に入ると井の中の蛙であることに気づいて挫折する奴の多いこと。
10.私は今まで東京のレストランに負けない料理を作ってきたと思ったが、いざ東京進出するとそれが井の中の蛙であることに気づくのである。

この言葉がよく使われる場面としては、自分の狭い知識や考えにとらわれて他の広い世界のあることを知らないで得々としていることを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文にあるように、「井の中の蛙」はマイナスなイメージで使われている言葉です。

「お山の大将」の例文

1.彼は学生時代お山の大将であったが、社会人になったら世界の広さを知るだろう。
2.弱小チームでお山の大将になっていた彼は、県選抜の練習で全く通用しておらずショックを受けていた。
3.職場でお山の大将タイプの人がいるが、みんなから嫌われています。
4.彼はいつでも自分がお山の大将になっていないと気が済まない、我が儘な人です。
5.子供の頃はお山の大将という遊びが流行っていたなと思いだしました。
6.息子はクラスで一番足が速いらしく、本人の得意なこととして認めてやりたい気もするが、お山の大将になっても困るし少し成り行きを見守ろうと思っている。
7.パワハラやセクハラ行為する幹部クラスの連中は、グローバルスタンダードも分からないようなお山の大将でしかないのだ。
8.出世を諦めたおっさん社員たちは、ちっちゃなお山の大将になって若手社員に威張り散らしているくらいしかやることがないのだろう。
9.世に蔓延るお山の大将を気取る人間というのは、結局自分の心の弱さと向き合わずに見せかけの威勢のよさで人生を誤魔化しているだけだ。
10.私が銭湯やサウナに行くのが嫌いなのは、そこには必ずと言っていいほどお山の大将みたいな年寄り連中がいるからだ。

この言葉がよく使われる場面としては、狭い範囲の中で自分が一番だと得意になっている人のことを表現したい時などが挙げられます。その他にも、子供の遊びのことを表現したい時にも使います。

例文1から例文4の「お山の大将」は狭い範囲の中で自分が一番だと得意になっている人のこと、例文5の「お山の大将」は子供の遊びのことの意味で使っています。

「井の中の蛙」と「お山の大将」はどちらも狭い範囲で得意になっていることを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、他の世界を知らないというニュアンスがある場合は「井の中の蛙」を、他の世界を知らないというニュアンスがない場合は「お山の大将」を使うと覚えておきましょう。

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