似た意味を持つ「年寄りの冷や水」(読み方:としよりのひやみず)と「飛んで火にいる夏の虫」(読み方:とんでひにいるなつのむし)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「年寄りの冷や水」と「飛んで火にいる夏の虫」という言葉は、どちらも自ら進んで危険なことをすることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「年寄りの冷や水」と「飛んで火にいる夏の虫」の違い
「年寄りの冷や水」と「飛んで火にいる夏の虫」の意味の違い
「年寄りの冷や水」と「飛んで火にいる夏の虫」の違いを分かりやすく言うと、「年寄りの冷や水」は高齢者にしか使えない、「飛んで火にいる夏の虫」は高齢者以外にも使えるという違いです。
「年寄りの冷や水」と「飛んで火にいる夏の虫」の使い方の違い
一つ目の「年寄りの冷や水」を使った分かりやすい例としては、「年寄りに冷や水だが毎年ロックの野外コンサートに参加しています」「年寄りの冷や水と言われないように心掛けて生活している」「年寄りの冷や水だが富士山を登ることにしました」などがあります。
二つ目の「飛んで火にいる夏の虫」を使った分かりやすい例としては、「悪評しかない会社に入社するなんて飛んで火にいる夏の虫だよ」「丸腰でヤクザの事務所に押しかけるなんて飛んで火にいる夏の虫です」などがあります。
「年寄りの冷や水」と「飛んで火にいる夏の虫」の使い分け方
「年寄りの冷や水」と「飛んで火にいる夏の虫」はどちらも自ら進んで危険なことをすることを意味する言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。
「年寄りの冷や水」は年寄りが不相応な危ない行為や差し出がましい振る舞いをすることを意味しており、使う対象が高齢者のみになっています。
一方、「飛んで火にいる夏の虫」は自分から進んで災いの中に飛び込むことを意味しており、年齢なく使うことができるというのが違いです。
「年寄りの冷や水」と「飛んで火にいる夏の虫」の英語表記の違い
「年寄りの冷や水」を英語にすると「It’s an old man’s indiscretion」となります。一方、「飛んで火にいる夏の虫」を英語にすると「It’s like a moth flying into the flame」となります。
「年寄りの冷や水」の意味
「年寄りの冷や水」とは
「年寄りの冷や水」とは、年寄りが不相応な危ない行為や差し出がましい振る舞いをすることを意味しています。
「年寄りの冷や水」の読み方
「年寄りの冷や水」の読み方は「としよりのひやみず」です。誤って「としよりのひやすい」などと読まないようにしましょう。
「年寄りの冷や水」の使い方
「年寄りの冷や水」を使った分かりやすい例としては、「よく無茶なことをするのでその度に年寄りの冷や水と言われる」「久々にボウリングをしたら筋肉痛がひどい、まさに年寄りの冷や水だ」「年寄り冷や水と言われないように年相応の行動をする」などがあります。
「年寄りの冷や水」は年齢を省みず危険な行為をする人に対して、警告したり冷やかしたりする場合に使う言葉です。「年寄り」という言葉が入ってるように、使うことができる対象は高齢の方のみになります。
高齢は何歳くらいからと疑問に思う人がいると思いますが、明確な定義はありません。そのため、だいたい70歳前後くらいと覚えておけば問題ないでしょう。
「年寄りの冷や水」は主に二通りの使い方をすることができます。
一つ目は危険な行為をしようとしている高齢者に対しての警告です。分かりやすい例を挙げると、「その年齢で山登りをするなんて年寄りに冷や水です」「70歳になった記念に東京マラソンに参加しようとしたら年寄りの冷や水と言われてしまった」などがあります。
二つ目は年相応の行動を取っていない自分に対しての自虐で、年寄りだけど許して欲しいというニュアンスで使かいます。分かりやすい例を挙げると、「年寄りの冷や水だがアイドル歌手の追っかけをしている」があります。
「年寄りの冷や水」の由来
「年寄りの冷や水」の由来は冷や水を飲むのが危険なことだからです。昔は年齢とともに胃は衰えており、冷や水を飲むのは危険とされていました。
また、このことわざが作られた江戸時代には冷蔵庫というものが存在せず、井戸から汲んだ冷たい水に砂糖を加えた冷や水が売られていたのです。
年寄りがこの冷や水を飲むのは非常に危険だったので、これが転じて、年寄りが不相応な危ない行為や差し出がましい振る舞いをすることを「年寄りの冷や水」と言うようになりました。
「年寄りの冷や水」の類語
「年寄りの冷や水」の類語・類義語としては、自分から身を滅ぼすことを意味する「雪仏の水遊び」(読み方:ゆきぼとけのみずあそび)、自分のしたことが原因となって自分自身に悪い結果をもたらすことを意味する「自滅」などがあります。
「飛んで火にいる夏の虫」の意味
「飛んで火にいる夏の虫」とは
「飛んで火にいる夏の虫」とは、自分から進んで災いの中に飛び込むことを意味しています。
「飛んで火にいる夏の虫」は「飛んで火に入る夏の虫」とも表記可能
「飛んで火にいる夏の虫」はひらがなで記載することをが多いですが、「飛んで火に入る夏の虫」と漢字にして使うことも可能です。
「飛んで火にいる夏の虫」の使い方
「飛んで火にいる夏の虫」を使った分かりやすい例としては、「機嫌が悪い彼をおちょくるなんて飛んで火にいる夏の虫だ」「そんな場所へ行くのは飛んで火にいる夏の虫だよ」「不良グループに文句を言いにいくなんて飛んで火にいる夏虫です」などがあります。
「飛んで火にいる夏の虫」は自分から進んで災いの中に飛び込むことを意味することわざで、危険とは知らず飛び込んで行く人に対して、第三者視点で忠告や揶揄する場合に使うことが多いです。
「飛んで火にいる夏の虫」の由来
「飛んで火にいる夏の虫」の由来は明るさにつられて飛んで来た夏の虫が火で焼け死ぬことです。蛍光灯などがなかった時代は明るくするために火を使って明かりを灯していました。
その灯火につられて虫たちが寄ってきますが、火の中飛び来むことになるので虫たちは焼け死んでしまいます。このことが転じて、自分から進んで災いの中に飛び込むことを、「飛んで火にいる夏の虫」と言うようになりました。
「飛んで火にいる夏の虫」の対義語
「飛んで火にいる夏の虫」の対義語・反対語としては、賢い人は自ら危険なことに近づかないことを意味する「君子危うきに近寄らず」(読み方:くんしあやうきにちかよらず)があります。
「飛んで火にいる夏の虫」の類語
「飛んで火にいる夏の虫」の類語・類義語としては、無謀なことをして自ら破滅を招くことを意味する「紙子着て川へ嵌まる」(読み方:かみこきてかわへはまる)、外部からの働きによらず自ら壊れることを意味する「自壊」などがあります。
「年寄りの冷や水」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、年寄りが不相応な危ない行為や差し出がましい振る舞いをすることを表現したい時などが挙げられます。
例文3のように、「年寄りの冷や水」は自虐として使うことも可能です。
「飛んで火にいる夏の虫」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、自分から進んで災いの中に飛び込むことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「飛んで火にいる夏の虫」は忠告や揶揄する場合に使う言葉です。
「年寄りの冷や水」と「飛んでん火にいる夏の虫」はどちらも自ら進んで危険なことをすることを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、高齢者にしか使えないのが「年寄りの冷や水」、高齢者以外にも使えるのが「飛んで火いる夏の虫」と覚えておきましょう。