似た意味を持つ「身内」(読み方:みうち)と「親族」(読み方:しんぞく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「身内」と「親族」という言葉は、どちらも「血縁や婚姻で繋がった関係」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
身内と親族の違い
身内と親族の意味の違い
身内と親族の違いを分かりやすく言うと、身内とは血縁や婚姻で繋がった人だけでなく親しい関係の人も表し、親族とは血縁や婚姻で繋がった人のみを表すという違いです。
身内と親族の使い方の違い
一つ目の身内を使った分かりやすい例としては、「彼はいつも身内の自慢ばかりしている」「身内の不幸で返信できませんでした」「身内に英語教師がいます」「組長は身内同士の衝突を避けようとした」などがあります。
二つ目の親族を使った分かりやすい例としては、「親族の子供たちにお年玉を配る」「親族の集まりが苦手です」「親族のみの少人数結婚式にしました」「甥の親族里親になります」「遺産相続で親族と揉めました」などがあります。
身内と親族の使い分け方
身内と親族という言葉は、どちらも血縁関係や婚姻関係にある人を意味しますが、意味や使い方には違いがあります。
身内とは、家族など血の繋がりのある親族、あるいは血縁はなくても比較的近い関係にある親類や姻戚などを意味します。また、家族と同じように感じられる親しい関係にある人や、同じ組織にある人も表し、上記の「組長は身内同士の衝突を避けようとした」はこの意味で使われています。
親族とは、血縁関係や婚姻関係にある人々を意味します。特に民法においては、六親等内の血族および配偶者と三親等内の姻族に定義され、その範囲が定められています。したがって、家族のように親密な存在であっても、血縁関係や婚姻関係がなければ親族とは言えません。
身内と親族の英語表記の違い
身内も親族も英語にすると「relation」「relative」となり、例えば上記の「身内の自慢」を英語にすると「boast of a relative」となります。
身内の意味
身内とは
身内とは、ごく親しい血縁関係にある人、血縁はなくても比較的近い関係の親類や姻戚などを意味しています。
その他にも、「同じ親分に属する子分、同じ組織に属する者」「からだの内部、からだじゅう」の意味も持っています。
身内の使い方
「明日は身内の不幸で休みます」「身内に不幸があり返信が遅れました」「先月、身内に不幸がありました」「身内が亡くなる夢は吉夢です」「身内が亡くなった人にかける言葉は難しい」などの文中で使われている身内は、「親しい血縁関係にある人」の意味で使われています。
一方、「サークルの身内ネタで盛り上がる」「警察組織の身内びいきが酷いと感じる」などの文中で使われている身内は「同じ組織に属する者」の意味で、「ホラー映画を観て身内がぞくぞくした」の文中で使われている身内は「からだの内部」の意味で使われています。
身内とは、もともと文字通り「からだの内部、からだじゅう」を意味する言葉でした。しかし、今ではこの意味で使用されることは少なく、「親しい血縁関係にある人」「同じ組織に属する者」の意味で使われることがほとんどです。
「身内ネタ」の意味
上記の例文にある「身内ネタ」とは、ある特定の集団でしか通用しないネタを意味する俗語です。そのコミュニティに属している人間にとっては面白い話であっても、外部では意味不明のつまらない話となるような閉鎖的排他的な話のことです。
「身内びいき」の意味
身内を用いた日本語には「身内びいき」があります。家族など親しい血縁関係にある人や、自分が属している集団のメンバーに対して、好意的な態度をとったり優遇したりすることを意味します。「身びいき」ともいいます。
身内の対義語
身内の対義語・反対語としては、自分以外の人や血のつながりのない人を意味する「他人」、その事柄に直接関係のない者を意味する「第三者」、ある事柄に直接関係のない第三者を意味する「外野」などがあります。
身内の類語
身内の類語・類義語としては、親子た兄弟など、非常に近い血縁関係にある人を意味する「肉親」、血縁の近い親族や極めて近しいことを意味する「近親」、面倒を見なければならない親や妻子などを意味する「係累」などがあります。
親族の意味
親族とは
親族とは、血縁関係や婚姻関係のある人々を意味しています。
親族の読み方
親族の読み方には三通りあり、「しんぞく」の他に「うから」「しぞく」がありますが、一般的には「しんぞく」と読まれています。
親族の使い方
親族を使った分かりやすい例としては、「親族紹介は新郎側から行うのが普通です」「新婦の親族として結婚式に出席します」「親族のご祝儀はいくら包むものだろうか」「親族の香典の相場を教えてください」などがあります。
その他にも、「親族は民法で範囲が定められています」「親族訪問ビザを申請しました」「親族関係図の書き方を調べています」「異母兄弟や異父兄弟も親族です」「親告罪となる親族相盗例が適用されるだろう」などがあります。
親族とは、「親戚」や「親類」ともいい、血の繋がりのある人同士と、結婚によって繋がった続柄の人を合せたものを指します。両親、祖父母、兄弟姉妹、いとこ、孫などです。民法では、特に六親等内の血族、配偶者、三親等内の姻族を法律上の親族と定めています。
「親族相盗例」の意味
上記の例文にある「親族相盗例」とは、親族間で罪を犯した場合に、その人の刑を免除したり、被害者からの告訴がなければ起訴できないこととする特例です。例えば、親の財布からお金を盗んでも、窃盗罪では処罰しないというものです。
「扶養親族」の意味
親族を用いた日本語には「扶養親族」があります。生活の面倒を見るべき対象となる親族のことであり、税法上は扶養控除の対象となる親族をいいます。
親族の対義語
親族の対義語・反対語としては、全く縁もゆかりもない他人や完全に無関係な人を意味する「赤の他人」などがあります。
親族の類語
親族の類語・類義語としては、家族を除く血族と姻族の総称を意味する「親類」、血縁や婚姻によって結びつきのある人を意味する「親戚」、婚姻によってできた血のつながりのない親戚を意味する「姻戚」、婚姻によって親族になった者同士を意味する「姻族」などがあります。
身内の例文
この言葉がよく使われる場面としては、ごく親しい血縁関係にある人、同じ組織に属する者、からだの内部を表現したい時などが挙げられます。
例文2にある「身内の人」とは、友人と対比した表現であり、親しい血縁関係にある人を意味しています。例文4にあるように、インターネット上の身内とは、自分の仲間、自分と似たような属性にある人の意味で使われています。例文5の身内は、からだの内部の意味を表しています。
親族の例文
この言葉がよく使われる場面としては、婚姻または血縁に基づいて互いに関係をもつ者を表現したい時などが挙げられます。
例文4にある「近い親族」とは、法的な定義はありませんが、一般的に親族の中でもごく近い関係を意味し、親子や兄弟姉妹、配偶者やその親兄弟などを指します。血の繋がりのあるなしは関係ありません。
身内と親族という言葉は、どちらも「血縁や婚姻で繋がった人」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、血縁や婚姻で繋がった人だけでなく親しい関係の人を表現したい時は「身内」を、血縁や婚姻で繋がった人のみを表現したい時は「親族」を使うようにしましょう。