似た意味を持つ「二階から目薬」(読み方:にかいからめぐすり)と「隔靴掻痒」(読み方:かっかそうよう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「二階から目薬」と「隔靴掻痒」という言葉は、どちらも、もどかしいことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「二階から目薬」と「隔靴掻痒」の違い
「二階から目薬」と「隔靴掻痒」の意味の違い
「二階から目薬」と「隔靴掻痒」の違いを分かりやすく言うと、「二階から目薬」とは一般的に使われている、「隔靴掻痒」とは一般的に使われていないという違いです。
「二階から目薬」と「隔靴掻痒」の使い方の違い
一つ目の「二階から目薬」を使った分かりやすい例としては、「このやり方では二階から目薬だろう」「悪さばかりにしている彼に注意だけでは二階から目薬です」「彼と直接話すことができないので二階から目薬だ」「そんなことをしても二階から目薬です」などがあります。
二つ目の「隔靴掻痒」を使った分かりやすい例としては、「彼女はいつもはっきり答えないので彼女と話すと隔靴掻痒を感じる」「今すぐには解決できそうもないので、隔靴掻痒の感がある」などがあります。
「二階から目薬」と「隔靴掻痒」の使い分け方
「二階から目薬」と「隔靴掻痒」はどちらも、もどかしいことを意味しており大きな違いはありません。あえて違いを挙げるならば、「二階から目薬」は一般的に使われているのに対して、「隔靴掻痒」は一般的に使われていないという点です。
また、どちらも辞書に載っている正しい日本語ですが、「隔靴掻痒」は知名度がほとんどなく、相手に伝わらないこともあるので注意しましょう。
「二階から目薬」と「隔靴掻痒」の英語表記の違い
「二階から目薬」も「隔靴掻痒」も英語にすると「terribly inefficient」「frustrating」となり、例えば上記の「そんなことをしても二階から目薬です」を英語にすると「That’s a terribly inefficient way to do it」となります。
「二階から目薬」の意味
「二階から目薬」とは
「二階から目薬」とは、もどかしいことや遠回しすぎて効果がないことを意味しています。
「二階から目薬」の言い換え語は「天井から目薬」
「二階から目薬」は別の言い方として、「天井から目薬」とするこも可能です。
「二階から目薬」の使い方
「二階から目薬」を使った分かりやすい例としては、「この方法は二階から目薬のような間接策に過ぎない」「二階から目薬のような対策ではなくもっとしっかりとやって欲しい」「素行が悪い彼に優しく注意しても二階から目薬です」などがあります。
「二階から目薬」は思うようにならないでもどかしいことと、遠回しすぎて効果がないことという二つの意味を持つ言葉ですが、どちらの意味で使われています。
また、「二階から目薬」は、回りくどくて中々成果が期待できない状況や、自分の思い通りにいかない状況、非効率な方法で成果が上がらずもどかしい時など、日常生活とビジネスシーンのどちらでも使うことが可能です。
「二階から目薬」の由来
「二階から目薬」の由来は『風流御膳義経記』(読み方:ふうりゅうごぜんぎけいき)です。『風流御膳義経記』とは江戸時代中期の浮世草子になります。
浮世草子とは当時の世相や人情を描いた文学作品で、この中に「二階から目薬をさそうとするとは、なんて急な恋ですこと」という恋のもどかしさを表現した一文がありました。
また、実際に二階から目薬を注すのではなく、二階から目薬を注すことを男女の距離感に例えた誇張表現になります。これが転じて、思うようにならないでもどかしいことを「二階から目薬」と言うようになりました。
「二階から目薬」の類語
「二階から目薬」の類語・類義語としては、意のままにならずもどかしいことを意味する「御簾を隔てて高座を覗く」(読み方:みすをへだててこうざをのぞく)、努力や援助が極わずかでなんの役にも立たないことを意味する「焼け石に水」などがあります。
「隔靴掻痒」の意味
「隔靴掻痒」とは
「隔靴掻痒」とは、思うようにならないでもどかしいことを意味しています。
「隔靴掻痒」の読み方
「隔靴掻痒」は「かっかそうよう」だけではなく、「かくかそうよう」と読むこともできますが、あまり一般的ではないため「かっかそうよう」の方を使うようにしましょう。
表現方法は「隔靴掻痒の感」「隔靴掻痒の憾み」
「隔靴掻痒の感」「隔靴掻痒の憾み」などが、「隔靴掻痒」を使った一般的な言い回しになります。
「隔靴掻痒」の使い方
「隔靴掻痒」を使った分かりやすい例としては、「通訳を通して会話しなければいけないのは隔靴掻痒です」「優柔不断な人と話すと隔靴掻痒でイラ立ちを覚える」「彼女の話す内容は隔靴掻痒感がある」「昨日の彼女の答弁は隔靴掻痒感が拭えない」などがあります。
「隔靴掻痒」は思うようにならないでもどかしいことを意味する四字熟語です。また、辞書に載っている言葉ですが、日常生活やビジネスシーンなであまり使われない言葉なため、馴染みがない人も多いでしょう。
「隔靴掻痒」の由来
「隔靴掻痒」の由来は靴の上から足が掻けないことです。靴を履いていると足が痒くなって掻こうとしても痒い所を上手に掻くことができません。このもどかしいと思うことが転じて、思うようにならないでもどかしいことを「隔靴掻痒」と言うようになりました。
「隔靴掻痒」の対義語
「隔靴掻痒」の対義語・反対語としては、物事が思いどおりになることを意味する「麻姑掻痒」(読み方:まこそうよう)があります。
「隔靴掻痒」の類語
「隔靴掻痒」の類語・類義語としては、思い通りにならずもどかしいことを意味する「掉棒打星」(読み方:とうぼうだせい)、思い通りにならなくて歯がゆいことを意味する「隔靴爬痒」(読み方:かっかはよう)などがあります。
「二階から目薬」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、もどかしいことや遠回しすぎて効果がないことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「二階から目薬」は日常生活とビジネスシーンのどちらでも使える言葉です。
「隔靴掻痒」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、思うようにならないでもどかしいことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「隔靴掻痒」はもどかしい様子を表現したい時に使う言葉です。
「二階から目薬」と「隔靴掻痒」はどちらも、もどかしいことを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、一般的に使われているのが「二階から目薬」、一般的に使われていないのが「隔靴掻痒」と覚えておきましょう。