似た意味を持つ「幸い」(読み方:さいわい)と「幸甚」(読み方:こうじん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「幸い」と「幸甚」という言葉は、どちらも相手に対して「ありがたい」と思う気持ちを表現しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
幸いと幸甚の違い
幸いと幸甚の意味の違い
幸いと幸甚の違いを分かりやすく言うと、「幸い」は、相手に対してありがたく思う気持ちを丁寧に表現したものであり、「幸甚」は、幸いをさらに丁寧に改まった言い方で表現したものであるという違いです。
「幸い」という言葉には、様々な意味があります。その人にとっての幸せを意味したり、運の良い様子を意味したりする場合もあります。しかし、「幸甚」という言葉と比較する際には「~してもらえたらありがたいです」という意味の言葉になります。
幸いという表現を使用するのは、主に手紙やメールなどの文面上でのことになります。会話の中で、口語体として使用されることはあまりありません。例えば、手紙などで「~していただけますと幸いです」などのように使用されるものです。
これは、強要の意味を持たない、柔らかなお願いの表現です。「もしできたら、~してもらえたら、とても助かります」というような意味になり、相手の忙しさなどを配慮しながら依頼をするような表現になります。
「幸いです」と「幸甚です」の違い
この「幸いです」という表現を、さらに丁寧に改まった形にした表現が「幸甚です」というものです。例えば「幸甚に存じます」や「幸甚の極みです」などのように使用されます。これは「この上なく幸せです」「最上級の幸せです」という意味の言葉です。
「幸いです」という表現も「幸甚です」という表現も、どちらもプラスの意味を持つものですし、目上の人にも使える表現です。しかし、柔らかな依頼の表現なので、緊急性を要するような物事を伝える際には使用しないようにしましょう。
また、幸甚というのは、非常に改まった表現でもあります。親しい間柄で使用するのには重すぎる表現になりますので、注意が必要です。社外のお客様や目上の人などを対象にして使用するようにします。
使用する際には、「幸甚です」という言葉を連発しないようにも注意しましょう。何度も繰り返して使うことで意味が薄れてしまい、かえって気を悪くしてしまう人もいます。一度のメールや手紙に対して、一回使えば十分である表現です。
幸いの意味
幸いとは
幸いとは、相手に対して何かを頼み、それを叶えて貰えたら幸せだという気持ちを伝える言葉を意味しています。主に手紙やメールなどの文面で使われる表現であり、目上の人や立場が上の人に対しても使用できる表現です。
またその他にも、相手に対して、もし自分の行いが喜んでもらえたら嬉しいですという気持ちを伝える際にも利用される表現です。この場合にも、使用されるのは主に手紙やメールなどの文面です。
「していただけましたら幸いです」「いただけると幸いです」の意味
幸いという言葉は、「幸い」という単語として使用する場合には、他にも様々な意味を持つものですが、ここで言うところの幸いというのは、書面などで「~していただけましたら幸いです」と使う際の表現です。
この「~していただけましたら幸いです」や「~いただけると幸いです」という表現は、もっと簡単に表現すると「~してもらえたら、とても嬉しいです」「~してもらえると、とても助かります」というような意味になります。
この表現を使う際には、相手に対して遠慮のある状態を意味しています。相手側に何かを頼んでいる状態ではありますが、「幸いです」を使う場合には、「絶対に~してもらいたい」と強要するような気持ちを含まない依頼となります。
「していただけたら幸いです」の意味
もし万が一、出来そうだったらやってもらえたら嬉しいです、助かります、というような消極的なお願いの場合や、相手の立場が自分よりも上であり、強くお願い出来ない場合などに「~していただけたら幸いです」というような表現を使います。
「お気に召していただけましたら幸いです」の意味
その他にも、自分の行為などが相手の役に立っていたら嬉しいというような気持ちを表すために「お気に召していただけましたら幸いです」というような表現で使用されることもあります。
表現方法は「幸いに存じます」「幸いだった」「幸いにも」
上記以外では、「幸いに存じます」「幸いだった」「幸いにも」などが、幸いを使った一般的な言い回しです。
「幸いです」はビジネス上の目上と同等の人に使える
どういった表現で使用するにしても「~幸いです」というのは、相手のことを思い遣る気持ちを示すための表現だと言うことが出来ます。立場が上の人はもちろん、自分と同等の立場の人に対しても使用できる言葉であると覚えておくようにしましょう。
しかし、これらの表現は、強要しない範囲での依頼、お願いごとになります。絶体にして欲しいことがある場合や、必ずして欲しいことがある場合には、この表現は使わないように注意しましょう。
幸いの対義語
幸いの対義語・反対語としては、人に不幸をもたらす出来事を意味する「災い」があります。
幸いの類語
幸いの類語・類義語としては、運が良いことを意味する「幸運」、良い運を授かって幸福なことを意味する「果報」などがあります。
幸いの「幸」という字を使った言葉としては、運がよいことや巡り合わせがよい様子を意味する「幸運」、非常に幸せなことや、その様子を意味する「多幸」、不平や不満がなくて楽しいことを意味する「幸福」などがあります。
幸甚の意味
幸甚とは
幸甚とは、「~していただけたら幸いです」という意味の言葉をもっと丁寧にした表現のことを意味しています。幸いと同じように、主に手紙やメールなどの文面で使用される表現であり、この上なく幸せであることを意味しています。
表現方法は「幸甚の至りに存じます」「幸甚の極みです」「幸甚です」
幸甚という表現は、「この上なく幸せである」「非常にありがたく思う」というような意味を示す言葉です。実際に使われる際には「幸甚の至りに存じます」「幸甚の極みです」「幸甚です」というように使用されます。
幸甚の使い方
「幸いです」という表現よりも、より改まった表現であり、目上の人や立場が上の人に対して使用する言葉です。丁寧ではありますが、固いイメージのある言葉なので、ビジネスシーンなどでは、社内や同僚などに使用するのは控える方が良いでしょう。
「幸甚です」はビジネス上の目上の人に使う
社外のお客様や目上の人、明らかに立場が上である人に対して使用される表現であると覚えておくようにします。また、連発して使用してしまうと、相手に軽率なイメージを与えることもあります。連続して使用することは避ける方が良いでしょう。
幸甚の語源
幸甚の「甚」という字は、はなはだしい、度を超えているとい意味を持つ言葉です。つまり、幸甚というのは漢字の意味だけで考えると、「幸せがはなはだしい」「幸せが度を超えている」というような意味になります。
喜びの最上級を相手に伝えるための言葉であると覚えておくと使いどころも分かりやすくなります。親しい間柄で使用するのには、かえってよそよそしい印象を与えますが、改まった場では上手に使うようにしましょう。
幸甚の類語
幸甚の類語・類義語としては、程度のきわめて大きい様子を意味する「甚大」、非常に激しく、はなはだしいことを意味する「激甚」、意味や気持ちなどが非常に深いことを意味する「深甚」などがあります。
幸いの例文
この言葉がよく使われる場面としては、何かの物事を実行してもらえると幸せです、と人に頼む気持ちを表現したい時などが挙げられます。「幸いです」という表現は砕けた言い方をすると「助かります」「ありがたいです」と同じような意味になります。
幸いです、という言葉は、誰かに何かを頼む意味の他にも、喜んでもらえたら嬉しいです、という気持ちを表現する際にも利用される言葉です。どちらにしても、プラスの意味で使用される言葉であり、目上の人や立場が上の人にも使用できるものです。
ただし、これらの表現は、絶体に何かをして欲しい時や、必ずどうにかして欲しい時などには使用しないようにしましょう。強要するような意味を含まないので、緊急性に欠ける表現になってしまいます。
幸甚の例文
この言葉がよく使われる場面としては、非常にありがたく、幸せに思うことを最上級の表現で相手に伝えたい時などが挙げられます。「幸甚です」という表現は「幸いです」という言葉をさらに丁寧に表現した言い方でもあります。
「幸甚です」と「幸いです」という表現は、意味合いとしては同じものですが、より丁寧で改まった言い方が「幸甚です」という言葉です。社外のお客様や目上の人、立場が明らかに上の人に対して使用する表現です。
親しい間柄で使用するには、少し改まり過ぎている表現でもあるので、使用する際には相手を選ぶようにしましょう。プラスの意味を持つ言葉ですが、強要するような表現ではないため、絶体にしてもらいたい事がある際には使用しない方が良いでしょう。