似た意味を持つ「凡庸性」(読み方:ぼんようせい)と「汎用性」(読み方:はんようせい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「凡庸性」と「汎用性」という言葉は、似ていても意味は大きく異なりますので、ご注意下さい。
凡庸性と汎用性の違い
凡庸性と汎用性の意味の違い
凡庸性と汎用性の違いを分かりやすく言うと、凡庸性とは平凡で特徴がないという性質、汎用性とは幅広く使えるという性質を意味するという違いです。
凡庸性と汎用性の使い方の違い
一つ目の凡庸性を使った分かりやすい例としては、「宇宙全体が凡庸性の原理に基づいている」「日常の凡庸性は平和の証なのかもしれなない」「芸術において凡庸性は評価されません」などがあります。
二つ目の汎用性を使った分かりやすい例としては、「高い汎用性と優れた性能の兼ね備えた製品です」「ビジネスにもカジュアルに使える汎用性の高いジャケットです」「汎用性がない服は買いません」「汎用性の低いスキルしか学べない職場だ」などがあります。
凡庸性と汎用性の使い分け方
凡庸性と汎用性という言葉は、音の響きや字面が似ており混同して使われる傾向がありますが、意味や使い方には大きな違いがあります。
凡庸性とは、ありふれていて特に目立った点もない性質を表す言葉です。上記の例文にある「凡庸性の原理」とは、科学や哲学の分野で用いられている言葉であり、宇宙の事象は全く凡庸なもので何ら特別なものはないという基本法則のことです。
汎用性とは、多くの物事に適用したり、一般的に活用したりすることができる性質のことです。多くは、「汎用性が高い」「汎用性が低い」あるいは「汎用性がある」「汎用性がない」などと表現し、ひとつだけに限らず幅広く活用できるかどうかを表します。
このように二つの言葉は意味が全く違いますが、凡庸性という言葉は汎用性と間違って使われることが多くあります。例えば「凡庸性が高い機能的デザイン」「普段使いもできる凡庸性の高いスーツ」は、正しくは「汎用性が高い機能的デザイン」「普段使いもできる汎用性の高いスーツ」になります。
なぜこのような誤用が起こりやすいかは、「汎用性」を「ぼんようせい」と読み間違える人が多く、そのうえ漢字が似ているからでしょう。凡庸性と汎用性は読み方も使い方も違うので、しっかりと区別をつけて用いる必要があります。
凡庸性と汎用性の英語表記の違い
凡庸性を英語にすると「mediocreness」「mediocrity」となり、例えば上記の「凡庸性の原理」を英語にすると「mediocrity principle」となります。
一方、汎用性を英語にすると「flexibility」「versatility」「universal use」となり、例えば上記の「高い汎用性」を英語にすると「high flexibility」となります。
凡庸性の意味
凡庸性とは
凡庸性とは、凡庸であるという性質、平凡で特徴のないさまを意味しています。
凡庸性の使い方
凡庸性を使った分かりやすい例としては、「あなたは特別ではないという凡庸性の原理を知っていますか」「私は自分の凡庸性が好きではありません」「彼の凡庸性に物足りなさを感じる」「日々の凡庸性に飽き飽きしている」などがあります。
凡庸性の「凡庸」は平凡で特に優れたところのないこと、「性」は物事に備わった性質を表します。凡庸性とは、ありふれていて特に目立ったこともない様子や、平凡さを意味する言葉です。凡庸という言葉が持つ「優れたところがない」というネガティブなニュアンスを伴います。
凡庸性という言葉は、科学分野で「凡庸性の原則」と用いられていますが、一般的にはあまり使われることがない表現です。凡庸性が使われる場合、そのほとんどは「汎用性」の誤用として使用されています。
例えば「汎用性が高い便利なスタンプ」と言うべきところを、「凡庸性が高い便利なスタンプ」と誤用することがあります。汎用性は「汎用性が高い・低い」という言い方をしますが、「凡庸性が高い・低い」という言い回しはしないことを覚えておきましょう。
「凡庸性発達障害」「凡庸性腹膜炎」は誤り
凡庸性を用いた間違った医療用語には「凡庸性発達障害」「凡庸性腹膜炎」があります。正しくは「広汎性発達障害(PDD)」「汎発性腹膜炎」となります。
凡庸性の対義語
凡庸性の対義語・反対語としては、他と異なって特に目立つさまを意味する「特徴的」、平凡でないことや普通より特に優れていることを意味する「非凡」、多くのものの中でずばぬけて優れていることを意味する「傑出」などがあります。
凡庸性の類語
凡庸性の類語・類義語としては、何の特徴も変わった点もないさまを意味する「平々凡々」、普通に考えられる程度であることを意味する「並大抵」、世間一般の人と同じ程度であることを意味する「人並み」などがあります。
汎用性の意味
汎用性とは
汎用性とは、いろいろの方面に広く用いることができる性質を意味しています。
汎用性の読み方
汎用性の読み方は「はんようせい」です。誤って「ぼんようせい」「ふうようせい」などと読まないようにしましょう。
汎用性の使い方
汎用性を使った分かりやすい例としては、「汎用性の高いシステムを導入する」「汎用性のある英語の例文を覚えよう」「汎用性が高いので多様な使い方ができる」「物を買う時は汎用性の高いアイテムを選んでいます」「汎用性の低いLINEスタンプだな」などがあります。
その他にも、「汎用性の高いビジネス能力を身につけたい」「仕事で使える汎用性の高い資格は何だろう」「商品の汎用性の有無をチェックする」「AIは汎用性の向上が進んでいる」「産業用機械は汎用性が高いものが多い」などがあります。
汎用性とは、一つの用途だけではなく、さまざまなことに幅広く利用したり、適合できる性質を意味します。汎用性の「汎用」は広くいろいろの方面に用いることを表し、便利なプラスイメージのある言葉です。
表現方法は「汎用性が高い」「汎用性がある」「汎用性を持たせる」
主に「汎用性が高い」「汎用性がある」「汎用性を持たせる」という言い回しで使われ、ビジネスシーンだけでなく日常会話でも用いられています。
「汎用性発達障害」は誤り
汎用性という言葉を用いた誤った使い方には「汎用性発達障害」があります。正しくは「広汎性発達障害(PDD)」であり、神経発達障害の一種です。
汎用性の対義語
汎用性の対義語・反対語としては、機能や用途あるいは目的などが限られることを意味する「特殊性」、ある特定の目的や対象だけに使うことを意味する「専用」、限られた分野の学問や職業にもっぱら従事するさまを意味する「専門性」などがあります。
汎用性の類語
汎用性の類語・類義語としては、あらゆる物事に対応や処置できることを意味する「万能性」、道具や設備などが多用な働きを備えていることを意味する「多機能性」、いろいろな種類や傾向のものがあること「多様性」、すべての物事に通じる性質を意味する「普遍性」などがあります。
凡庸性の例文
この言葉がよく使われる場面としては、ありふれていて特徴がないという性質、平凡さを表現したい時などが挙げられます。
例文3について、「汎用性のあるデザイン」は、色々な用途に使える便利なデザインというポジティブな意味を持ちます。一方、「凡庸性のあるデザイン」は、優れた点のない平凡なデザインというネガティブなニュアンスがあります。
例文4や例文5にあるように、凡庸性という言葉は、汎用性と間違って用いられやすい言葉です。
汎用性の例文
この言葉がよく使われる場面としては、幅広く適用したり活用したりすることができる性質を表現したい時などが挙げられます。
例文1について、汎用性が高い服とは、他のファッションアイテムと組み合わせしやすかったり、ビジネスの場から日常生活まで幅広いシーンで使うことができる服のことです。
凡庸性と汎用性という言葉は、似ていますが意味は全く異なります。どちらの言葉を使うか迷った場合、ありふれた性質や平凡さを表現したい時は「凡庸性」を、幅広く使えるさまを表現したい時は「汎用性」を使うようにしましょう。