似た意味を持つ「往々にして」(読み方:おうおうにして)と「しばしば」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「往々にして」と「しばしば」という言葉は、どちらも同じ事が何度も重なって行われることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「往々にして」と「しばしば」の違い
「往々にして」と「しばしば」の意味の違い
「往々にして」と「しばしば」の違いを分かりやすく言うと、「往々にして」とはマイナスのイメージでしか使えない、「しばしば」とはプラスのイメージとマイナスのイメージどちらでも使えるという違いです。
「往々にして」と「しばしば」の使い方の違い
一つ目の「往々にして」を使った分かりやすい例としては、「こういうことは往々にしてあるものだ」「人は往々にして失敗するものだ」「急いで問題を解くと往々にして間違うことがある」「この地方ではそのようなことが往々にして起こる」などがあります。
二つ目の「しばしば」を使った分かりやすい例としては、「この種の誘拐事件はしばしば起こる」「私はしばしば映画館へ行く」「彼女に騙されたことはしばしばあります」「チーム内で意見がぶつかることもしばしばある」などがあります。
「往々にして」と「しばしば」の使い分け方
「往々にして」と「しばしば」はどちらも同じ事が何度も重なって行われることを意味する言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。
「往々にして」は「ゴールデンウィークは往々にして渋滞が起こる」「こういうケースでは往々にして失敗することが多い」などのように、マイナスなイメージでしか使うことができません。
一方、「しばしば」は「この種の強盗事件はしばしば起こる」「この地域では珍しい土器や石器などがしばしば発見されている」などのように、プラスのイメージとマイナスのイメージのどちらでも使うことができるというのが違いです。
「往々にして」と「しばしば」の英語表記の違い
「往々にして」も「しばしば」も英語にすると「often」「frequently」「more often than not」となり、例えば上記の「この地方ではそのようなことが往々にして起こる」を英語にすると「Such things happen very often in this district」となります。
「往々にして」の意味
「往々にして」とは
「往々にして」とは、物事がしばしばあることを意味しています。
「往々にして」の読み方
「往々にして」の読み方は「おうおうにして」です。誤って「じゅうじゅうにして」などと読まないようにしましょう。また、「往々にして」は別の漢字で、「往往にして」と表記することもできます。
表現方法は「往々にして起こり得る」「往々にしてそういうもの」
「往々にして起こり得る」「往々にしてそういうもの」などが、「往々にして」を使った一般的な言い回しになります。
「往々にして」の使い方
「往々にして」を使った分かりやすい例としては、「レポートの提出を往々にして忘れることがある」「地域の産業化は往々にして公害を伴う」「連休明けの講義は往々にして欠席者が多い」「会社を立ちあげても倒産してしまうことが往々にしてあります」などがあります。
「往々にして」の語源
「往々にして」の語源は「往」が重なったことです。「往」は過ぎ去った時間やこれから向かう先のことを意味しています。つまり、この「往」が二つ重なったことで、これからあの時もこの時もということを表し、これが転じて、物事がしばしばあることの意味で使われるようになりました。
また、「往々にして」はビジネスシーンなどのかしこまった場面で使用されることが多いですが、マイナスなイメージでしか使えないというのが特徴と覚えておきましょう。
「往々にして」の類語
「往々にして」の類語・類義語としては、時々のことを意味する「時折」、その時その時のことを意味する「折々」、ある時間を置いて繰り返されることを意味する「時々」、その時々のことを意味する「折節」などがあります。
「しばしば」の意味
「しばしば」とは
「しばしば」とは、同じ事が何度も重なって行われることを意味しています。
表現方法は「しばしばあります」「しばしば起こる」
「しばしばあります」「しばしば起こる」などが、「しばしば」を使った一般的な言い回しになります。
「しばしば」の使い方
「しばしば」を使った分かりやすい例としては、「私の住んでいる地域ではこのようなことがしばしば起こる」「彼は守備力は高く評価されているものの、攻撃力不足をしばしば指摘されている」「サークル内での懇親会はしばしば行っている」などがあります。
「しばしば」は同じ事が何度も重なって行われることを意味する言葉です。「しばしば」の意味を勘違いして「たまに」や「たまたま」と同じ意味で使う人もいますが、間違った使い方なので気をつけましょう。
また、「しばしば」はプラスのイメージとマイナスのイメージどちらの表現でも使えるというのが特徴です。
「しばしば」はどのくらいの頻度か
では、「しばしば」はどの程度の頻度で行われることだろうと疑問に持つ人もいると思いますが、明確な定義はありません。しかし、「しょっちゅう」と「ときどき」の中間程度の頻度となっている説もあると覚えておきましょう。
「しばしば」の類語
「しばしば」の類語・類義語としては、何度も繰り返し行われることを意味する「度々」、ある動作を繰り返すことを意味する「返す返す」、繰り返し繰り返しすることを意味する「くれぐれ」、ある動作が二度も三度も行われることを意味する「再三」などがあります。
「往々にして」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、物事がしばしばあることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「往々にして」はマイナスなイメージでのみ使う言葉です。
「しばしば」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、同じ事が何度も重なって行われることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「しばしば」はプラスとマイナスどちらのイメージでも使うことができる言葉です。
「往々にして」と「しばしば」はどちらも同じ事が何度も重なって行われることを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、マイナスなイメージでしか使えないのが「往々にして」、プラスとマイナスどちらのイメージでも使えるのが「しばしば」と覚えておきましょう。