【五月雨】と【梅雨】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「五月雨」(読み方:さみだれ)と「梅雨」(読み方:つゆ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「五月雨」と「梅雨」という言葉は、どちらも「6月の長雨」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




五月雨と梅雨の違い

五月雨と梅雨の意味の違い

五月雨と梅雨の違いを分かりやすく言うと、五月雨とは6月の長雨だけでなく断続的な様子も表し、梅雨とは6月の長雨のみを表すという違いです。

五月雨と梅雨の使い方の違い

一つ目の五月雨を使った分かりやすい例としては、「五月雨を集めて早し最上川は芭蕉の句です」「毎年、五月雨の時期は体調が思わしくない」「五月雨式に失礼いたします」「要求をバラバラと五月雨式に出さないで欲しい」などがあります。

二つ目の梅雨を使った分かりやすい例としては、「関東甲信は先週末に梅雨明けしました」「沖縄は日本で一番早く梅雨入りします」「梅雨の時期は傘を持ち歩いています」「梅雨の間はカビ対策を徹底しています」などがあります。

五月雨と梅雨の使い分け方

五月雨と梅雨という言葉は、どちらも6月に降りつづく長雨を意味します。五月雨の「五月」は旧暦の5月であり、現在の6月のことなので、どちらも6月の雨の時期を指す言葉になります。この意味で使われている上記の「五月雨の時期」「梅雨の時期」は、互いに置き換えて使うことが出来ます。

さらに五月雨はという言葉は、「断続的にいつまでもだらだらと続くことのたとえ」としても用いられています。梅雨はこの意味を持たないため、上記の例文にある「五月雨式に失礼します」「五月雨式に出す」の五月雨は梅雨に置き換えることが出来ません。

また、6月の長雨という共通する意味でも、二つの言葉にはニュアンスの違いがあります。五月雨は雨そのものを表現する時に用いられていますが、梅雨は6月の雨が降る季節を表現する時に用いられることが多い言葉です。

これらが、五月雨と梅雨という言葉の明確な違いになります。

五月雨と梅雨の英語表記の違い

五月雨も梅雨も英語にすると「early summer rain」「rainy season」となり、例えば上記の「五月雨を集めて」を英語にすると「gathering the rains of summer」となります。

五月雨の意味

五月雨とは

五月雨とは、陰暦5月ごろに降りつづく長雨、梅雨を意味しています。

その他にも、「断続的にいつまでもだらだらと続くことのたとえ」の意味も持っています。

五月雨の読み方

五月雨の読み方は、「さみだれ」の他に「さつきあめ」とも読みますが、一般的には「さみだれ」と読まれています。「さみだれ」の読み方については、「さ」は「さつき」と読む五月、「みだれ」は雨が降る「水垂」が由来という一説があります。

表現方法は「五月雨で申し訳ございません」「五月雨式で恐縮ですが」

「五月雨で申し訳ございません」「五月雨式で恐縮ですが」などが、五月雨を使った一般的な言い回しです。

五月雨の使い方

「五月雨に咲くアジサイは綺麗ですね」「五月雨戦術により春闘が長引いている」「季語に五月雨を用いて俳句を詠む」「五月雨をあつめて早し最上川」などの文中で使われている五月雨は、「陰暦5月ごろに降りつづく長雨」の意味で使われています。

一方、「五月雨式に申し訳ございません」「五月雨式のご連絡となり失礼いたします」「何度も五月雨にすみません」「五月雨でよいので順次発送してください」などの文中で使われている五月雨は、「断続的に続くことのたとえ」の意味で使われています。

五月雨とは、旧暦5月に降る長雨のことであり、旧暦5月はほぼ太陽暦の6月のことであるため、梅雨と同義の言葉です。ただし、梅雨は主として五月雨の降る季節を指し、五月雨は雨そのものを指すという傾向があります。

五月雨という言葉は、夏の季語になっており、松尾芭蕉が詠んだ「五月雨をあつめて早し最上川」は五月雨を用いた有名な句です。

また、五月雨は、繰り返し降る雨を表すことから、途切れながらもだらだらと続くことのたとえに使われています。特にビジネスシーンで用いられ、上記の「五月雨式に申し訳ございません」とは、一連の物事をまとめて行わずに、何度も追加して行うことを詫びる気持ちを表現しています。

「五月雨戦術」の意味

五月雨を用いた日本語には「五月雨戦術」があります。五月雨戦術とは、梅雨の長雨のように、長期にわたって闘争を繰り返し持続する労組戦術の俗称です。また、いつまでも続く議会での要求や陳情のかけ引きも表します。

五月雨の対義語

五月雨の対義語・反対語としては、5月のすがすがしい晴天を意味する「五月晴れ」、梅雨が終わって晴れることを意味する「梅雨晴れ」、農作物に必要な雨が長い間降らないことを意味する「かんばつ」、切れ目なく続くことや続けることを意味する「連続」などがあります。

五月雨の類語

五月雨の類語・類義語としては、春にしとしとと静かに降る雨を意味する「春雨」、一定の時間を置いて起こったりやんだりするさまを意味する「間欠的」、続けざまに早く行うことを意味する「矢継ぎ早」などがあります。

梅雨の意味

梅雨とは

梅雨とは、6月ころの長雨の時節、その時期に降る長雨を意味しています。

梅雨の読み方

梅雨は「つゆ」という読み方の他に、「ばいう」とも読みます。梅雨という言葉単体の場合は「つゆ」、「梅雨前線」のように他の熟語を結びつけて読む場合は「ばいう」と読まれています。

表現方法は「梅雨入り」「梅雨明け」「梅雨が明ける」

「梅雨入り」「梅雨明け」「梅雨が明ける」などが、梅雨を使った一般的な言い回しです。

梅雨の使い方

梅雨を使った分かりやすい例としては、「2022年の梅雨入りは平年並みになりそうです」「今年の梅雨はいつまで続くのだろうか」「2022年の梅雨明けはいつ頃になりますか」「関西地方が梅雨入りしたようだ」などがあります。

その他にも、「今年はいつから梅雨になるだろう」「ビジネスメールに使える梅雨の挨拶を教えてもらった」「各地で平年より遅い梅雨入りになりそうです」「梅雨の天気の特徴について解説します」などがあります。

梅雨とは、春から夏への季節の変わり目に、雨や曇りの日が多くなる時期のことです。日本では、北海道と小笠原諸島を除いて全国的にみられる気象現象です。梅雨の季節になることを「梅雨入り」「入梅」、梅雨の季節が終わることを「梅雨明け」「出梅」と言います。

梅雨の語源

梅雨という言葉の語源は諸説あります。ひとつは中国に由来するもので、中国で「黴雨」と呼ばれていたものが、カビを表す「黴」を避けるため、同音で季節にあった「梅」が使われるようになった説。また、もともと「梅の実の熟するころの長雨」から「梅雨」となった説などがあります。

梅雨の対義語

梅雨の対義語・反対語としては、ある地域の1年のうちで雨量の極少月を含む時期を意味する「乾季」、真夏に晴天が続き雨が降らないことを意味する「日照り」などがあります。

梅雨の類語

梅雨の類語・類義語としては、ある地域の1年のうちで1か月以上にわたって降水の多い時期を意味する「雨季」、3月下旬から4月にかけて連日降りつづく小雨を意味する「菜種梅雨」、秋に降る雨を意味する「秋雨」、梅雨期間にほとんど雨の降らないことを意味する「空梅雨」などがあります。

五月雨の例文

1.五月雨は梅雨に降る雨のことですが、俳句では夏の季語として扱われています。
2.梅雨はじめじめと鬱陶しいイメージですが、五月雨と言えば不思議と風情を感じます。
3.五月雨式ですみません、日程の詳細が決まりましたので取り急ぎご連絡いたします。
4.五月雨式のメールとなり申し訳ございません。詳しい情報が入りましたのでお知らせいたします。
5.五月雨的でも良いので、出来上がった資料からメールで送って欲しい。
6.社史の編集をしているが、締切りを設けていても五月雨式に修正の依頼が届き、気がついたら15校を重ねこれは追加料金を請求したいと営業担当が言い始めた。
7.クライアントから昼夜問わず五月雨式にメールが飛んできて、24時間気が休まる時間がない。
8.賃金交渉は五月雨戦術により長引いているようだが、勝算はあるのだろうか。無いから長引かせているのではないか。
9.ご連絡が五月雨式になり申し訳ございません。製品については、お手数ですが直接送っていただけますでしょうか。もちろん送料はこちらが負担いたしますのでご安心ください。
10.何度も五月雨になりすみません。再確認ですが、この件についてはいつも通りに処理しても構わないということですね?

この言葉がよく使われる場面としては、陰暦五月頃に降りつづく長雨、継続しないで繰り返す行動を表現したい時などが挙げられます。

例文1や例文2の文中にある五月雨は、陰暦五月頃に降りつづく長雨の意味で用いられています。例文3から例文5にある五月雨は、継続しないで繰り返す行動の意味で用いられています。「五月雨式」とは、断続的に物事が行われることを意味し、主にビジネスの場で使われている表現です。

梅雨の例文

1.旅行やイベントを控えていると、梅雨入りや梅雨明けがいつになるのか気になりますね。
2.梅雨の時期で雨がたくさん降るのに、なぜ6月の異名は「水無月」と呼ぶのだろうか。
3.2021年の梅雨明けは7月中旬でしたが、2022年は昨年より早まると予想されています。
4.小学校の授業で梅雨前線を「つゆぜんせん」と読んでしまい、恥をかいた苦い思い出があります。
5.本日は全国的に雨の予報です。梅雨のない北海道や梅雨明けしている沖縄も、傘の出番となります。
6.歳をとると梅雨の時期は頭痛や関節の痛みなど体に不調をきたすようになったが、あじさいの美しさや湿った空気の匂いなど季節の味わいを感じられるようになった。
7.梅雨時は何でもカビやすいから食品の扱いには気を付けていたのが、全くノーマークだったカーテンの1番下辺りにカビが生えていた。
8.天気予報によると関東甲信越はすでに梅雨入りしたのに、どうして東海地方はまだ梅雨入りしていないのか不思議ですよね。
9.やっと梅雨入りしたと思ったら、もう沖縄地方は梅雨明けかどうかの話題が出てくるのだから日本は広いなと思いました。
10.梅雨の真っ只中というのに、雨が全く降っていないので夏の水不足につながるのではないかと心配している。

この言葉がよく使われる場面としては、6月の梅の実が熟する頃の長雨を表現したい時などが挙げられます。

例文2について、「水無月」の「無」は「の」にあたる連体助詞の「な」であり、「水無月」は「水の月」という意味になります。例文4の「梅雨前線」は「ばいうぜんせん」と読みます。梅雨前線とは、梅雨をもたらす前線です。日本の南岸付近にほぼ東西に延びて停滞します。

五月雨と梅雨という言葉は、どちらも「6月に降りつづく長雨」を表します。さらに五月雨には、断続的にいつまでもだらだらと続くことのたとえの意味もあることを覚えておきましょう。

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