同じ「てんぷ」という読み方の「添付」と「貼付」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「添付」と「貼付」という言葉は同音の言葉ですが、それぞれの漢字によって使い方には少し違いがあります。
添付と貼付の違い
添付と貼付の意味の違い
添付と貼付の違いを分かりやすく言うと、添付とは付け添えること、貼付とは貼り付けることという違いです。
添付と貼付の使い方の違い
一つ目の添付を使った分かりやすい例としては、「この英文レターの訳文の添付をお願いします」「詳細な資料を添付しております」「添付ファイルをご確認ください」「商品リストをクリップで添付しておいて」などがあります。
二つ目の貼付を使った分かりやすい例としては、「貼付ラベルが間違っている」「覚書にも収入印紙の貼付が必要か確認する」「新たな貼付剤の開発を進めている」「申請書には免許証のコピーを貼付していください」などがあります。
添付と貼付の使い分け方
添付と貼付という言葉は、どちらも「てんぷ」と読み、あるものが他のものから離れない状態にすることを表しますが、意味は異なります。添付とは、主たる物に副となる物を添えることを意味し、貼付とは、ある物に別な物をのりやテープなどで貼り付けることを意味します。
例えば、会議資料に追加の資料をクリップで留める場合は、貼り付けていないので「添付」という表現になります。
つまり、接着剤を使わずにひとまとめにする時は「添付」、テープやのりなどの接着剤で貼り付けてれば「貼付」と覚えておきましょう。
添付と貼付の英語表記の違い
添付を英語にすると「attaching」「attachment」「appending」となり、例えば上記の「訳文の添付をお願いします」を英語にすると「attaching of translation」となります。
一方、貼付を英語にすると「pasting」「sticking」「affixing」となり、例えば上記の「貼付ラベル」を英語にすると「pasting label」となります。
添付の意味
添付とは
添付とは、書類などに付け添えることを意味しています。
その他にも、民法上、所有者の異なる2個以上の物が結合した場合に、所有権の得喪を生じること。付合・混和・加工の総称の意味も持っています。
表現方法は「添付する」「裏面に添付」「添付しますのでご確認ください」
「添付する」「裏面に添付」「添付しますのでご確認ください」などが、添付を使った一般的な言い回しです。
添付の使い方
「領収書の原本を添付してください」「添付ファイルをダウンロードする」「添付文書検索ページを活用する」「事例については添付書類を確認して下さい」などの文中で使われている添付は、「書類などに付け添えること」の意味で使われています。
一方、「添付により物の所有権が消滅する」「付合とは添付の一類型である」「添付により単独所有者となった」などの文中で使われている添付は、「民法における付合・混和・加工の総称」の意味で使われています。
添付という言葉は、上記の例文にあるように二つの意味がありますが、一般的には書類などに付け添えることの意味で使われています。添付とは、ビジネスシーンにおいてよく使われる言葉であり、主となる書類に、補助として資料を付け加える時などに使われる言葉です。
「添付」は、もともとは「添附」と書きました。「附」は付け加えたものや付け加えることを表しました。しかし、現在では簡略化した「付」の表記が一般的に使われるようになり、一般的には「添附」ではなく「添付」と表記されています。
「添付ファイル」の意味
添付という言葉を用いた日本語には「添付ファイル」があり、電子メールに添付して送信されるファイルのことを意味します。アプリケーションソフトで作成した資料や画像をメールに添付して送ることができますが、使用するソフトや容量などによっては受手側が開けないこともあります。
添付の類語
添付の類語・類義語としては、別の物を加えることや別の物が加わることを意味する「添加」、主となるもののそばにつけることや補助として付け加えることを意味する「添える」、書籍や雑誌などの本体に添えられたものを意味する「付録」などがあります。
貼付の意味
貼付とは
貼付とは、貼り付けることを意味しています。
貼付の読み方
貼付の読み方には「ちょうふ」「てんぷ」という二つの読み方があります。正式な読み方は「ちょうふ」であり、「てんぷ」は習慣として一般に広く行われている慣用読みです。
表現方法は「貼付シール」「ポスターを貼付する」「切手を貼付する」
「貼付シール」「ポスターを貼付する」「切手を貼付する」などが、貼付を使った一般的な言い回しです。
貼付の使い方
貼付を使った分かりやすい例としては、「はがきに切手を貼付する」「段ボール箱に電子タグを貼付している」「シールをしっかりと貼付する」「貼付薬の使用有無を確認する」「ボード裏面にマグネットシートが貼付してある」などがあります。
その他にも、「ラベルシール貼付の自動化を検討する」「リコールステッカーの貼付を廃止します」「痛めた肩に湿布を貼付する」「腰痛のため貼付剤を腰に貼っている」「ポスターの貼付や工作におすすめのテープです」などがあります。
貼付という言葉は文字通りに「貼り付けること」であり、紙や布などを広げてテープやのりなどでくっつけることを意味します。申請書に身分証明書のコピーをのり付けしたり、壁にポスターでテープで固定する時などに使われる言葉です。
「貼付剤」の意味
貼付という言葉を用いた言葉には「貼付剤」があり、粘着剤に医薬品を混ぜて布などに塗り、皮膚に貼付して用いる製剤を意味します。「ちょうふざい」と読みますが、慣用的に「てんぷざい」とも読みます。
貼付の対義語
貼付の対義語・反対語としては、付着しているものを剝ぎ取ることやめくり取ることを意味する「剥がす」、はがれることやはがすことを意味する「剥離」などがあります。
貼付の類語
貼付の類語・類義語としては、物と物とがぴったりくっつくことやくっつけることを意味する「接着」、糊でつけることや糊でつけたようにぴったりとつくことを意味する「糊着」、糊ではりつけることを意味する「糊付け」などがあります。
添付の例文
この言葉がよく使われる場面としては、書類などに参考や補いとなるものを添えること、民法が特殊な所有権取得の原因として規定する付合・混和・加工の総称を表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文4にある添付は、書類などに参考や補いとなるものを添えることの意味で、例文5にある添付は、民法における付合・混和・加工の総称の意味で使われています。例文2にあるように、添付はクリップで留める時にも使われる言葉です。糊付けする場合は「貼付」となります。
貼付の例文
この言葉がよく使われる場面としては、貼り付けることを表現したい時などが挙げられます。
例文1にある「貼付シールタイプ」とは、簡単に貼り付けられるように接着させる面にシールが予め付いている型式のものです。例文4にある「印紙未貼付」とは、印紙を貼り付けていないことを意味します。例文5の「貼付剤」は「ちょうふざい」「てんぷざい」という二つの読み方があります。
添付と貼付という言葉は、どちらも「てんぷ」と読む言葉ですが、意味は異なります。どちらの言葉を使うか迷った場合、書類などを付け添えることを表現したい時は「添付」を、のりなどで貼り付けることを表現したい時は「貼付」を使うようにしましょう。