似た意味を持つ「泰然自若」(読み方:たいぜんじじゃく)と「明鏡止水」(読み方:めいきょうしすい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「泰然自若」と「明鏡止水」という言葉は、どちらも「落ち着いている様子」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
泰然自若と明鏡止水の違い
泰然自若と明鏡止水の意味の違い
泰然自若と明鏡止水の違いを分かりやすく言うと、泰然自若とは物事に動じない落ち着いた性格を表し、明鏡止水とは澄み切って落ち着いた心境を表すという違いです。
泰然自若と明鏡止水の使い方の違い
一つ目の泰然自若を使った分かりやすい例としては、「祖父はいつも泰然自若とした落ち着きがある」「災害時に泰然自若とした態度で対処できるだろうか」「彼はどんな時でも泰然自若で冷静な人です」などがあります。
二つ目の明鏡止水を使った分かりやすい例としては、「大自然を目の当たりにして明鏡止水の心境です」「余生は明鏡止水の気持ちで過ごしたいです」「次の試合には明鏡止水の心で臨むつもりです」などがあります。
泰然自若と明鏡止水の使い分け方
泰然自若と明鏡止水という言葉は、どちらも落ち着いている様子を表し、プラスイメージを伴う四字熟語です。二つの言葉は似たような表現をしますが、意味や使い方には違いがあります。
泰然自若とは、何が起こっても落ち着いている様子を意味します。泰然自若は、他人の性格についていう時に用いる言葉であり、自分について「私は泰然自若です」などと使うことはありません。
明鏡止水とは、澄み切って落ち着いた心の様子を意味します。「明鏡止水の心境」とは、その時の気持ちに邪念がなく、清らかで澄み切った静かな状態であることを表します。
つまり、泰然自若は人の性格を表現する時に用いられ、明鏡止水はその時の心境を表す時に用いられる四字熟語です。この点が、二つの言葉の明確な違いになります。
泰然自若と明鏡止水の英語表記の違い
泰然自若を英語にすると「having presence of mind」「imperturbable」「calm and self-possessed」となり、例えば上記の「泰然自若とした落ち着き」を英語にすると「imperturbable calm」となります。
一方、明鏡止水を英語にすると「clear and serene」「polished mirror and still water」となり、例えば上記の「明鏡止水の心境」を英語にすると「a mind as serene as a polished mirror and still water」となります。
泰然自若の意味
泰然自若とは
泰然自若とは、何事が起こっても落ち着き払って、少しも動じないさまを意味しています。
泰然自若の読み方
泰然自若の読み方は「たいぜんじじゃく」です。誤って「たいぜんじにゃく」などと読まないようにしましょう。
表現方法は「泰然自若になる」「泰然自若な人」「泰然自若をとした」
「泰然自若になる」「泰然自若な人」「泰然自若をとした」などが、泰然自若を使った一般的な言い回しです。
泰然自若の使い方
泰然自若を使った分かりやすい例としては、「いつでも泰然自若な人に憧れます」「常に泰然自若な心を持っていたい」「山奥でひっそり泰然自若として過ごす」「ビジネスマンの泰然自若とした態度に安心する」などがあります。
その他にも、「泰然自若になるには自信を持つことです」「泰然自若として英語の試験に臨みます」「泰然自若を座右の銘にしています」「母は楽観的で泰然自若とした性格です」「どっしりと泰然自若に動じない人だ」などがあります。
泰然自若とは、落ち着いていて、どんなことにも動じないさまを意味する四字熟語です。どっしりと大きく構える様子を表すプラスイメージの言葉のため、座右の銘としても人気があります。
泰然自若の由来
泰然自若という言葉の由来は、特に出典などはなく、「泰然」と「自若」の二つの熟語にあります。「泰然」は落ち着いていて動揺しないさま、「自若」は大事に直面しても落ち着いていて、心や態度に少しの乱れもないさまを意味します。
泰然自若の対義語
泰然自若の対義語・反対語としては、あわてふためくことを意味する「周章狼狽」、混乱しうろたえて右に行ったり左に行ったりすることを意味する「右往左往」などがあります。
泰然自若の類語
泰然自若の類語・類義語としては、物事に驚き恐れたりせず気持ちが平静なさまを意味する「意気自如」、大事にあっても顔色一つ変えず平然と落ち着いている様子を意味する「神色自若」、どのようなことがあっても平然としているたとえを意味する「言笑自若」などがあります。
明鏡止水の意味
明鏡止水とは
明鏡止水とは、何のわだかまりもなく、清らかで澄みきった心境のことを意味しています。
明鏡止水の読み方
明鏡止水の読み方は「めいきょうしすい」の他に「めいけいしすい」とも読みますが、一般的には「めいきょうしすい」と読まれています。
表現方法は「明鏡止水の心境」「明鏡止水の境地」「明鏡止水の心」
「明鏡止水の心境」「明鏡止水の境地」「明鏡止水の心」などが、明鏡止水を使った一般的な言い回しです。
明鏡止水の使い方
明鏡止水を使った分かりやすい例としては、「子どもは皆、明鏡止水の心を持っています」「明鏡止水の心持ちでイラストを書いています」「大好物の煮干しラーメンを食べると明鏡止水の心境になれます」などがあります。
その他にも、「彼は明鏡止水の心で英語を無料で教えています」「明鏡止水な父らしいお金の使い方だと思いました」「NHKの番組には明鏡止水の精神があると思う」「明鏡止水の気持ちで日本酒を奉納しました」などがあります。
明鏡止水とは、曇りのない鏡と静かな水の意味から、なんのわだかまりもなく澄みきった静かな心の状態を表す四字熟語です。「明鏡」は一点の曇りもない鏡のこと、「止水」は止まっているように見えるほど静かな水のことです。
明鏡止水の由来
明鏡止水という言葉の由来は、中国の思想家である荘子の著書「荘子」徳充符篇にあります。この中の寓話に、「汚れや曇りのない明るい鏡」と「止まった水のように穏やかな心を持っている人」が書かれています。
明鏡止水の対義語
明鏡止水の対義語・反対語としては、心が煩悩や欲情などに乱されて落ち着かないことを意味する「意馬心猿」、疑いの深さからあらぬ妄想にとらわれるたとえを意味する「疑心暗鬼」、ひとたび疑い始めると疑い深くなり苦しむ結果になることを意味する「杯中蛇影」などがあります。
明鏡止水の類語
明鏡止水の類語・類義語としては、心になんのわだかまりもなく気持ちがさっぱりしていることを意味する「虚心坦懐」、心がさっぱりと澄み切ってわだかまりがなく爽やかなことを意味する「光風霽月」、心に汚れがなく澄みとおっているたとえを意味する「晴雲秋月」などがあります。
泰然自若の例文
この言葉がよく使われる場面としては、落ち着いて物事に動じない様子を表現したい時などが挙げられます。
泰然自若という言葉は、上記の例文にあるように、心を乱すことなく自分を保ち続けるさまを表しています。例文4のように、座右の銘にも用いられています。
明鏡止水の例文
この言葉がよく使われる場面としては、心に邪念がなく明るく澄みきった心境を表現したい時などが挙げられます。
明鏡止水という言葉は、上記の例文にあるように、澄みきって静かな心の状態を意味します。例文4のように、明鏡止水は座右の銘にもなる四字熟語です。
泰然自若と明鏡止水という言葉は、どちらも「落ち着いている様子」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、物事に動じず落ち着いた性格を表現したい時は「泰然自若」を、澄み切って落ち着いた心境を表現したい時は「明鏡止水」を使うようにしましょう。