似た意味を持つ「物々しい」(読み方:ものものしい)と「仰々しい」(読み方:ぎょうぎょうしい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「物々しい」と「仰々しい」という言葉は、どちらも大げさなことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「物々しい」と「仰々しい」の違い
「物々しい」と「仰々しい」の意味の違い
「物々しい」と「仰々しい」の違いを分かりやすく言うと、「物々しい」とは重々しく厳しいというニュアンスがある、「仰々しい」とは重々しく厳しいというニュアンスがないという違いです。
「物々しい」と「仰々しい」の使い方の違い
一つ目の「物々しい」を使った分かりやすい例としては、「物々しい雰囲気の中、警察から事情聴取を受けました」「外国の要人が来日するらしく、空港は物々しい警備体制になっている」「宮殿は物々しい警戒ぶりでした」などがあります。
二つ目の「仰々しい」を使った分かりやすい例としては、「彼女は仰々しい話し方をするのであまり好きではありません」「彼は仰々しく飾り立てている」「仰々しい挨拶は抜きにして乾杯しよう」「彼女は言うことが仰々しい」などがあります。
「物々しい」と「仰々しい」の使い分け方
「物々しい」と「仰々しい」はどちらも大げさなことを意味する言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。
「物々しい」は大げさなという意味だけではなく、重々しく厳しいというニュアンスを持っており、「建物の周りに消防車や警察が集まってきて物々しい雰囲気になった」のように使うことができます。
一方、「仰々しい」は重々しく厳しいというニュアンスというニュアンスを持っておらず、「建物の周りに消防車や警察が集まってきて仰々しい雰囲気になった」のように使うことはできません。
したがって、重々しく厳しいというニュアンスがあるのが「物々しい」、重々しく厳しいというニュアンスがないのが「仰々しい」というのが違いです。
また、大げさという意味で使う場合は同じなので、「彼の挨拶は物々しい」を「彼の挨拶は仰々しい」のように置き換えることができます。
「物々しい」と「仰々しい」の英語表記の違い
「物々しい」を英語にすると「exaggerated」「heavy」「overstated」となり、例えば上記の「宮殿は物々しい警戒ぶりでした」を英語にすると「The palace was heavily guarded」となります。
一方、「仰々しい」を英語にすると「bombastic」「pompous」「stentatious」「exaggerated」「grandiose」となり、例えば上記の「彼女は言うことが仰々しい」を英語にすると「She has an exaggerated way of saying things」となります。
「物々しい」の意味
「物々しい」とは
「物々しい」とは、重々しく厳しいことや大げさであることを意味しています。
「物々しい」の読み方
「物々しい」の読み方は「ものものしい」です。誤って「ぶつぶつしい」などと読まないようにしましょう。また、「物々しい」は別の漢字で「物物しい」と表現することも可能です。
表現方法は「物々しい空気」「物々しい雰囲気」「物々しい世の中」
「物々しい空気」「物々しい雰囲気」「物々しい世の中」「物々し警備」などが、「物々しい」を使った一般的な言い回しになります。
「物々しい」の使い方
「物々しい」を使った分かりやすい例としては、「最近は軍や警備員が銃を所持しており、物々しい状況です」「物々しい宣伝をしていたが大したことなかったです」「あの家は物々しい屋敷なのであまり近寄りたくありません」などがあります。
「物々しい」は重々しく厳しいことや大げさであることを意味する形容詞です。どのようなニュアンスで前後の文章によって変わってくると覚えておきましょう。
例えば、「日米首脳会談が行われるので会場近辺は物々しい雰囲気に包まれている」は重々しく厳しいというニュアンスで使っています。
一方、「彼の挨拶はいつも物々しい」は重々しく厳しいというニュアンスは合わないので、大げさであるというニュアンスで使っています。
「物々しい」の語源
「物々しい」の語源は古語の「物し」です。「物し」とは不快や不気味ことを意味しています。この「物し」がだんだんと変化し「物々しい」になり、現代では不快や不気味なことが転じて、重々しく厳しいことや大げさであることの意味で使われるようになりました。
「物々しい」の類語
「物々しい」の類語・類義語としては、厳かで重々しいことを意味する「厳めしい」、実際以上に大げさに言ったり考えたりすることを意味する「誇大」、大げさなことを意味する「大層」などがあります。
「仰々しい」の意味
「仰々しい」とは
「仰々しい」とは、大げさであることを意味しています。
「仰々しい」の読み方
「仰々しい」の読み方は「ぎょうぎょうしい」です。誤って「こうこうしい」「こうごうしい」などと読まないようにしましょう。また、「仰々しい」は別の漢字で「仰仰しい」と表現することも可能です。
表現方法は「仰々しい態度」「仰々しい人」「仰々しい挨拶」
「仰々しい態度」「仰々しい人」「仰々しい挨拶」などが、「仰々しい」を使った一般的な言い回しになります。
「仰々しい」の使い方
「仰々しい」を使った分かりやすい例としては、「ビジネスマンには仰々しい挨拶は必要ないだろう」「彼はいつも仰々しいリアクションをするので苦手です」「彼は仰々しいことばかり言うので苦手です」などがあります。
「仰々しい」は大げさであることを意味する形容詞です。また、ただ大げさであることを表現するのではなく、誇張された人の行動や言動に対して非難する場合に使うことが多いため、マイナスなイメージを伴っています。
そのため、ビジネスシーンにおいてはあまり好ましくない言葉と覚えておきましょう。
「仰々しい」は近代から使われ始めた言葉ですが、詳しい語源は判明していません。ただし、「仰」という言葉には大げさであるという意味はないため、当て字であり、以前は「業業しい」「凝凝しい」などの漢字で使われていたと言われています。
「仰々しい」の類語
「仰々しい」の類語・類義語としては、物事を実質以上に誇張することを意味する「大げさ」、大げさであることを意味する「蝶々しい」などがあります。
「物々しい」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、重々しく厳しいことや大げさであることを表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文4の「物々しい」は重々しく厳しいこと、例文5の「物々しい」は大げさであることの意味で使っています。
「仰々しい」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、大げさであることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「仰々しい」はマイナスなイメージで使われている言葉です。
「物々しい」と「仰々しい」はどちらも大げさなことを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、重々しく厳しいというニュアンスがあるのが「物々しい」、重々しく厳しいというニュアンスがないのが「仰々しい」と覚えておきましょう。