似た意味を持つ「囃し立てる」(読み方:はやしたてる)と「やじる」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「囃し立てる」と「やじる」という言葉は、どちらも相手に言葉を浴びせることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「囃し立てる」と「やじる」の違い
「囃し立てる」と「やじる」の意味の違い
「囃し立てる」と「やじる」の違いを分かりやすく言うと、「囃し立てる」はプラスとマイナスどちらのイメージでも使える、「やじる」はマイナスのイメージでしか使えないという違いです。
「囃し立てる」と「やじる」の使い方の違い
一つ目の「囃し立てる」を使った分かりやすい例としては、「囃し立てる人はいじめている人と同罪だと思う」「飲み会の席で付き合っちゃえと囃し立てる」「彼の失敗を囃し立てるのは辞めよう」「観客は彼女を囃し立てた」などがあります。
二つ目の「やじる」を使った分かりやすい例としては、「彼は演説者を口汚くやじる」「傷つく人がいるのでやじるのは辞めた方がいいと思います」「彼女はやじり倒されて舞台を降りました」などがあります。
「囃し立てる」と「やじる」の使い分け方
「囃し立てる」と「やじる」はどちらも相手に言葉を浴びせることを意味している言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。
「囃し立てる」は上記の「彼の失敗を囃し立てるのは辞めよう」「観客は彼女を囃し立てた」などのように、プラスとマイナスどちらのイメージでも使うことができます。
一方、「やじる」は上記の「傷つく人がいるのでやじるのは辞めた方がいいと思います」のようにマイナスのイメージでしか使えないというのが違いです。
「囃し立てる」と「やじる」の英語表記の違い
「囃し立てる」を英語にすると「cheer」「jeer」となり、例えば上記の「観客は彼女を囃し立てた」を英語にすると「The audience cheered her」となります。
一方、「やじる」を英語にすると「jeer」「heckle」「hoot」「boo」「hiss」となり、例えば上記の「彼女はやじり倒されて舞台を降りました」を英語にすると「She was hissed off the stage」となります。
「囃し立てる」の意味
「囃し立てる」とは
「囃し立てる」とは、盛んに大声を出して褒めたり冷やかしたりすることを意味しています。
「囃し立てる」の「囃」という漢字は常用漢字ではないため、「はやし立てる」や「はやしたてる」と表記することもあると覚えておきましょう。
「囃し立てる」の使い方
「囃し立てる」を使った分かりやすい例としては、「逆転満塁ホームランが決まり観客は一斉に囃し立てる」「友人が囃し立てるせいで好きな人との間に距離ができてしまった」「心無い言葉で囃し立てられて涙が出てしまいました」などがあります。
「囃し立てる」とは、声を揃えて褒めたり冷やかしたりすることを意味する「囃す」に、度合いを強めて明らかにすることを意味する「立てる」が合わさり、盛んに大声を出して褒めたり冷やかしたりすることの意味で使われている言葉です。
「囃し立てる」の特徴はプラスとマイナスどちらのイメージでも使えるという点です。
プラスのイメージで使う場合は、上記の「逆転満塁ホームランが決まり観客は一斉に囃し立てる」のように、相手を褒めて雰囲気を盛り上げるというニュアンスで使います。
一方、マイナスのイメージで使う場合は、上記の「心無い言葉で囃し立てられて涙が出てしまいました」のように、相手を馬鹿にするやからかうというニュアンスで使うと覚えておきましょう。
また、恋愛において「囃し立てる」を使う場合は基本的にマイナスのイメージになります。例えば、「二人はお似合いなんだから付き合っちゃえよ」のように煽ることは「囃し立てる」にあたり、本人たちの気持ちを無視して周りが勝手に盛り上がっているため、マイナスなイメージです。
「囃し立てる」の語源
「囃し立てる」の語源は歌舞伎や能楽などの伝統芸能です。歌舞伎や能楽では、手を打ったり声を出したりして歌舞の調子を取ることを「囃す」といっていました。
「囃す」ことで場の雰囲気を高めていたので、これが転じて、盛んに大声を出して褒めたり冷やかしたりすることの意味でも使われるようになったと言われています。
「囃し立てる」の類語
「囃し立てる」の類語・類義語としては、相手が困ったり怒ったりするようなことをして面白がることを意味する「からかう」、相手が困ったり恥ずかしがったりするような言葉をかけてからかうことを意味する「冷やかす」などがあります。
「やじる」の意味
「やじる」とは
「やじる」とは、他人の言動に大声で非難や冷やかしの言葉を浴びせかけることを意味しています。
「やじる」の漢字表記
「やじる」を漢字にすると、「野次る」や「弥次る」と表記することができます。
「やじる」の使い方
「やじる」を使った分かりやすい例としては、「スポーツの世界では観客がやじることが日常茶飯事になっている」「彼らは議員の演説をやじる」「オウンゴールをした選手を観客がやじる」「球場でやじる奴は観戦に来ないで欲しいです」などがあります。
「やじる」は自分に関係のないことに興味本位で騒ぎ立て見物することを意味する「野次」を動詞化して、他人の言動に大声で非難や冷やかしの言葉を浴びせかけることの意味で使われている言葉です。
そのため、「やじる」はマイナスなイメージでしか使えないのが特徴になります。相手を褒める場合には使えないと覚えておきましょう。
「やじる」の類語
「やじる」の類語・類義語としては、からかうことを意味する「揶揄する」、馬鹿にして悪く言ったり笑ったりすることを意味する「嘲る」、演劇や競技会などで聴衆や観衆がぶうぶう言って不満や非難を表すことを意味する「ブーイング」などがあります。
「囃し立てる」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、盛んに大声を出して褒めたり冷やかしたりすることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「囃し立てる」はプラスとマイナスどちらのイメージでも使える言葉です。
「やじる」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、他人の言動に大声で非難や冷やかしの言葉を浴びせかけることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「やじる」はマイナスのイメージでのみ使う言葉です。
「囃し立てる」と「やじる」はどちらも相手に言葉を浴びせることを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、プラスとマイナスどちらのイメージでも使えるのが「囃し立てる」、マイナスのイメージでしか使えないのが「やじる」と覚えておきましょう。