似た意味を持つ「目安」(読み方:めやす)と「基準」(読み方:きじゅん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「目安」と「基準」という言葉は、どちらも「判断や評価のよりどころ」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
目安と基準の違い
目安と基準の意味の違い
目安と基準の違いを分かりやすく言うと、目安とはおおよその尺度、基準とは明確な尺度という違いです。
目安と基準の使い方の違い
一つ目の目安を使った分かりやすい例としては、「老後資金の目安を立てる」「インターネット回線速度の目安を確認する」「江戸時代の目安箱の運用ルールをご存知ですか」「私の英語教室には目安箱が設置してあります」などがあります。
二つ目の基準を使った分かりやすい例としては、「英語力をグローバルな基準で示す」「基準価額が高いと投資しづらい」「労働基準法に違反したらどうなりますか」「基準地価と公示地価の違いを説明します」などがあります。
目安と基準の使い分け方
目安と基準という言葉は、どちらも「合格の目安」「合格基準」などと表現し、物事を判断する際や評価する時のよりどころを表しますが、意味や使い方には違いがあります。
目安とは、おおよその見当や大まかな基準を意味します。大体これくらい、とおおよその基準を表す時に使用される言葉です。「合格の目安は偏差値50」であれば、だいたい偏差値50をとっていれば合格圏内であり、たとえば偏差値49でも合格の可能性はあることを表しています。
基準とは、物事の判断のよりどころや行動の要件となるものを意味します。基準は満たさなければいけない条件であるため、「合格基準は50点」であれば、50点以上とらなければ合格にならず、49点では不合格になってしまいます。
つまり、目安はおおよその尺度や物差しですが、基準は数値化されるような明確な尺度や物差しを表します。二つの言葉を比べると、目安はあいまいで基準よりも緩い表現だと言えるでしょう。
目安と基準の英語表記の違い
目安も基準も英語にすると「standard」「yardstick」となり、例えば上記の「目安を立てる」を英語にすると「set up a standard」となります。
目安の意味
目安とは
目安とは、目当て、目標、おおよその基準、おおよその見当を意味しています。
その他にも、「そろばんの掛け算や割り算で、そろばん上の左のほうに置く乗数または除数」「箇条書きにした文書、箇条を立てて書いた訴状と陳状、目安書き、目安状」の意味も持っています。
目安の読み方
目安の読み方は「めやす」です。誤って「めあす」「もくあん」などと読まないようにしましょう。
表現方法は「目安として」「1週間を目安に」「目安を立てる」
「目安として」「1週間を目安に」「目安を立てる」などが、目安を使った一般的な言い回しです。
目安の使い方
「発熱外来の受診の目安をご説明します」「ビタミンDの目安量が引き上げられた」「ビジネスメールの長さの目安はありますか」「英語の長文読解にかける時間の目安を教えてもらう」などの文中で使われている目安は、「目標、おおよその基準」の意味で使われています。
一方、「そろばんの目安を置き忘れてしまう」の文中で使われている目安は「そろばん上の左のほうに置く乗数や除数」の意味で、「目安箱は享保の改革の時に設置されました」「目安箱にはデメリットもあります」の文中で使われている目安は「箇条書きにした文書」の意味で使われています。
目安とは、上記の例文にあるように複数の意味を持ちますが、多くは「目当てや目標、おおよその基準」の意味で用いられています。予算や計画などの物事に対し、おおよその見当をつけることや、大まかな基準を設けることを「目安を立てる」「目安をつける」と表現します。
「目安箱」の意味
目安を用いた日本語には「目安箱」があります。目安箱とは、江戸幕府八代将軍である徳川吉宗が享保の改革の一環として、将軍への直訴状を受理するため設けた箱です。現在では、会社や学校などで広く意見を募るために設置される投書用の箱を指す言葉です。
目安の類語
目安の類語・類義語としては、そこから外れないように目印とするものを意味する「目標」、目指すところや目当てを意味する「目途」、物の価値や人の力量などを計る基準となる物事を意味する「試金石」などがあります。
基準の意味
基準とは
基準とは、物事の基礎となるよりどころ、満たさねばならない一定の要件を意味しています。
表現方法は「基準が高い」「基準を満たす」「基準を設ける」
「基準が高い」「基準を満たす」「基準を設ける」などが、基準を使った一般的な言い回しです。
基準の使い方
基準を使った分かりやすい例としては、「チャイルドシートに安全基準のマークが貼ってある」「2022年の基準地価は前年比プラスになりました」「英語ができるという判断基準は何でしょうか」「基準価格が低いときが買い時だろう」などがあります。
その他にも、「労働基準監督署に休日出勤について相談する」「血液検査の基準値と正常値は違います」「公共基準点の付近で工事を施工する」「国土交通省が定める基準風速を確認する」「観点別学習状況の評価規準と判定基準を精査する」などがあります。
基準の「基」は物事の土台や根拠となるものを表し、「準」は物事をはかるよりどころを表します。基準とは、行動や判断の根拠となる物や数値を意味します。何かを評価したり比較する時などに用いられる言葉です。
「基準価額」の意味
上記の例文にある「基準価額」とは 投資信託の値段のことで、多くは1口または1万口当たりの値段を指します。その投資信託が保有する純資産総額を口数で割って算出され、投資信託の購入や換金時の基準となります。
「基準地価」の意味
基準を用いた日本語には「基準地価」があります。基準地価とは、各都道府県が主体となり毎年7月に判定する基準地の標準価格のことです。「公示地価」は国家機関により毎年1月に評価されるものです。基準地価や公示地価は、土地を売買するときの目安となります。
基準の対義語
基準の対義語・反対語としては、一般原則の適用を受けないことを意味する「例外」、限られた範囲のものにしかあてはまらないことを意味する「特殊」などがあります。
基準の類語
基準の類語・類義語としては、判断のよりどころや行動の目安となるものを意味する「標準」、計量の標準や判断などの基準を意味する「尺度」、物事を評価するときの基準や尺度を意味する「物差し」などがあります。
目安の例文
この言葉がよく使われる場面としては、おおよその見当や目標、そろばんの左方に置く乗数や除数、箇条書きの文書を表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文3にある目安は、おおよその見当や目標の意味で用いられています。例文3の「目安として」は、物事の見当をつけるための印としてとらえるさまを意味します。例文4の目安はそろばんの左方に置く乗数の意味で用いられ、例文5の目安は箇条書きの文書の意味で使用されています。
基準の例文
この言葉がよく使われる場面としては、物事の基礎となる標準を表現したい時などが挙げられます。
例文3の食品表示基準とは、食品表示法に基づき、食品関連事業者が加工食品や生鮮食品を販売する場合に適用される基準です。例文4にある「規準」と「基準」の違いは、規準は手本として守るべき規範や規則を表し、基準は物事を比較判断する際のよりどころを表す点にあります。
目安と基準という言葉は、どちらも「物事を判断する際のよりどころ」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、おおよその物差しを表現したい時は「目安」を、明確な物差しを表現したい時は「基準」を使うようにしましょう。