似た言葉の「ひなびた」と「しなびた」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「ひなびた」と「しなびた」という言葉は、似ていても意味は大きく異なりますので、ご注意下さい。
「ひなびた」と「しなびた」の違い
「ひなびた」と「しなびた」の意味の違い
「ひなびた」と「しなびた」の違いを分かりやすく言うと、「ひなびた」とはいかにも田舎という感じがすること、「しなびた」とは水分が失われて張りのない縮んだ状態になることという違いです。
「ひなびた」と「しなびた」の使い方の違い
一つ目の「ひなびた」を使った分かりやすい例としては、「山間のひなびた温泉へ旅行に行く」「ひなびた旅館が好きなのだが妻には理解してもらえません」「私はひなびた温泉が好きです」「彼女はひなびた顔持ちをした女性です」などがあります。
二つ目の「しなびた」を使った分かりやすい例としては、「しなびた野菜を復活させたい」「彼は試験に失敗したらしくしなびた顔をしている」「猛暑が続いたせいで花がしなびた」「冷蔵庫に野菜を入れるのを忘れたせいでしなびてしまった」などがあります。
「ひなびた」と「しなびた」の使い分け方
「ひなびた」と「しなびた」は似た発音の言葉ですが、意味は全く異なっているので間違えないように注意しましょう。
「ひなびた」は「私はひなびた旅館が好きです」「ひなびた景色を見ると癒される」などのように、いかにも田舎という感じがすることの意味で使います。
一方、「しなびた」は「買ったの忘れていたしなびたほうれん草が出てきました」「夜勤明けのせいか彼の顔はしなびている」などのように、水分が失われて張りのない縮んだ状態になることの意味で使います。
「ひなびた」と「しなびた」の英語表記の違い
「ひなびた」を英語にすると「countrified」「rustic」「rural」となり、例えば上記の「彼女はひなびた顔持ちをした女性です」を英語にすると「She is a rustic woman」となります。
一方、「しなびた」を英語にすると「withered」「shrivelled」となり、例えば上記の「冷蔵庫に野菜を入れるのを忘れたせいでしなびてしまった」を英語にすると「I forgot to put the vegetable in the fridge and it withered」となります。
「ひなびた」の意味
「ひなびた」とは
「ひなびた」とは、いかにも田舎という感じがすることを意味しています。
「ひなびた」の漢字表記
「ひなびた」を漢字にすると「鄙びた」と表記することができますが、「鄙」という漢字が常用漢字ではないため、あまり一般的ではありません。
表現方法は「ひなびた温泉」「ひなびた旅館」「ひなびた町」
「ひなびた温泉」「ひなびた旅館」「ひなびた町」などが、「ひなびた」を使った一般的な言い回しになります。
「ひなびた」の使い方
「ひなびた」を使った分かりやすい例としては、「予約した旅館がひなびていたのでとてもがっかりです」「毎年ゴールデンウィークはひなびた温泉へ旅行している」「私はひなびた町に住むのに憧れている」などがあります。
「ひなびた」は「ひなびる」の連用形である「ひなび」に過去・完了・存続の助動詞「た」を合わせた言葉です。したがって、「ひなびた」はいかにも田舎という感じがずっと続いてることを意味しています。
「ひなびた」はプラスとマイナスのイメージどちらでも使えるというのが特徴です。
プラスのイメージでは静かで落ち着いているや風情があるというニュアンスになります。一方、マイナスのイメージでは、田舎臭いや洗練されていないというニュアンスになっています。
そのため、「ひなびた」をプラスのイメージかマイナスのイメージかで判断する場合は、前後の文章から読み取るようにしましょう。
「ひなびた」の語源
「ひなびた」の語源は「日無」です。「日無」とは天皇がいない場所を意味する言葉で、天皇がいる場所のことを意味する「都」の対義語として使われていました。
これが転じて、都から離れている田舎のことを「鄙」と言うようになり、いかにも田舎という感じがすることの意味で「ひなびた」を使うようになりました。
「ひなびた」の類語
「ひなびた」の類語・類義語としては、物腰や服装などが田舎風に見えることを意味する「田舎めく」、便利ではないことを意味する「不便な」、都会から遠く離れた土地のことを意味する「僻地の」などがあります。
「しなびた」の意味
「しなびた」とは
「しなびた」とは、水分が失われて張りのない縮んだ状態になることを意味しています。
「しなびた」の漢字表記
「しなびた」を漢字にすると、「萎びた」と表記することができます。
「しなびた」の使い方
「しなびた」を使った分かりやすい例としては、「しなびた小松菜を元通りにすることができました」「しなびた大根を復活させる方法があるらしい」「しなびた顔を改善するために美容を頑張ることにしました」などがあります。
「しなびた」は「しなびる」の連用形である「しなび」に過去・完了・存続の助動詞「た」が合わさり、水分が失われて張りのない縮んだ状態になることの意味で使われている言葉です。
「しなびた」は「しなびた大根」「しなびた茄子」「しなびたレタス」などのように水分が失われて張りのない野菜に対して使うのが一般的ですが、「疲れているのか彼はしなびた顔をしている」のように、人に対して使うこともできます。
また、「しなびた」はどちらかというマイナスのイメージを持っている言葉です。
「しなびた」の類語
「しなびた」の類語・類義語としては、 気落ちしてしょんぼりすることを意味する「萎れる」、本来の勢いがなくなることを意味する「枯れる」、体力や気力が衰えて弱ることを意味する「萎える」などがあります。
「ひなびた」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、いかにも田舎という感じがすることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「ひなびた」はプラスとマイナスどちらのイメージでも使うことができる言葉です。
「しなびた」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、水分が失われて張りのない縮んだ状態になることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「しなびた」は人や野菜など水分があるものに対して使うことができる言葉です。
「ひなびた」と「しなびた」は似た言葉ですが意味は異なっています。どちらの言葉を使うか迷った場合、いかにも田舎という感じがすることを表現したい時は「ひなびた」を、水分が失われて張りのない縮んだ状態になることを表現したい時は「しなびた」を使うと覚えておきましょう。