似た意味を持つ「定価」(読み方:ていか)と「希望小売価格」(読み方:きぼうこうりかかく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「定価」と「希望小売価格」という言葉は、どちらも「商品の値段」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
定価と希望小売価格の違い
定価と希望小売価格の意味の違い
定価と希望小売価格の違いを分かりやすく言うと、定価とは小売店が変えられないメーカーが定めた値段、希望小売価格とは小売店が変えられるメーカーが希望する値段という違いです。
定価と希望小売価格の使い方の違い
一つ目の定価を使った分かりやすい例としては、「値下げせずに定価で売りきりたい」「定価商品が50%OFFとなるセールを実施中」「定価改定に関するお知らせ」「定価に近い価格を設定してメルカリで売る」などがあります。
二つ目の希望小売価格を使った分かりやすい例としては、「人気の車は希望小売価格で売られている」「希望小売価格より安い値付けをする」「原材料価格の高騰を踏まえ希望小売価格を改定いたします」などがあります。
定価と希望小売価格の使い分け方
定価と希望小売価格という言葉は、どちらの商品に付けられた値段を表しますが、意味や使い方には違いがあります。
定価とは、あらかじめ決められた販売価格のことであり、原則として小売業者による値上げや値下げは認められていないことを意味します。定価の設定は、独占禁止法で基本的に禁止されていますが、書籍・音楽ソフト・たばこなどについては定価が認められています。
希望小売価格とは、メーカーが提示する希望としての販売価格です。小売業者はこれを守る必要はないので、値段を高く設定することも安く設定することもできます。しかし、希望小売価格と小売店での販売価格のかけ離れた「二重価格表示」が問題になり、最近では「オープン価格」が広がっています。
つまり、定価と希望小売価格の違いは、お店側が価格を変えられるかどうかにあります。定価は、メーカーがあらかじめ付けた価格を小売店が変えることはできません。一方の希望小売価格の場合、小売店はメーカーの希望とは違う価格を設定することができます。
定価と希望小売価格の英語表記の違い
定価を英語にすると「catalogue price」「fixed price」「list price」となり、例えば上記の「定価で売る」を英語にすると「sell at a fixed price」となります。
一方、希望小売価格を英語にすると「suggested retail price」「sticker price」となり、例えば上記の「希望小売価格で売られる」を英語にすると「sell for the sticker price」となります。
定価の意味
定価とは
定価とは、ある品物について前もって決めてある売り値を意味しています。
定価の使い方
定価を使った分かりやすい例としては、「この商品の税抜き定価を教えてください」「定価の何パーセント引きか計算する」「算数の問題で定価の求め方を教えてください」「オープン価格の場合、メーカーは定価を設定していません」などがあります。
その他にも、「この定価は消費税込みの価格ですか」「定価割れしていたスニーカーを買いました」「メーカー発行の定価証明書を添付する」「定価で買っても後悔しなかったであろうソフトは何ですか」などがあります。
定価とは、文字通り「定められた価格」であり、商品にあらかじめ付けられた一律の価格のことです。本や新聞あるいは音楽ソフトなどは、全国どこで買っても同じ値段であり、値引きも一切ありません。
メーカーによる価格の拘束は、本来は独占禁止法により禁止されていますが、新聞など著作物6品目については例外として認められており、これを「再販制度」といいます。
「定価割れ」の意味
上記の例文にある「定価割れ」とは、定価より安く売られていることを表す俗な表現です。似た表現に「原価割れ」がありますが、こちらは販売価格が商品の製造に要した費用を下回ることであり、意味が異なるので注意しましょう。
定価の対義語
定価の対義語・反対語としては、その時の商品としての価格を意味する「時価」、特別に安い値段を意味する「特価」、大売り出しのことを意味する「セール」、流通業界で商品の仕入れ価格のことを意味する「下代」などがあります。
定価の類語
定価の類語・類義語としては、掛け値のない値段を意味する「正価」、商品の予定価格を意味する「予価」、売買されるときの金額を意味する「値段」、流通業界で商品の小売価格のことを意味する「上代」などがあります。
希望小売価格の意味
希望小売価格とは
希望小売価格とは、ある商品について、製造業者などが希望する小売価格を意味しています。
希望小売価格の使い方
希望小売価格を使った分かりやすい例としては、「この英語教材の希望小売価格は29,800円です」「税込みの希望小売価格を確認する」「御社の希望小売価格の決め方を教えてください」「店は希望小売価格より高く売ることもできます」などがあります。
その他にも、「希望小売価格からオープン価格に移行する動きがあります」「上代や希望小売価格を設定しません」「希望小売価格より高いことは違法ではありません」「希望小売価格を強要することは独占禁止法で禁じられています」などがあります。
希望小売価格とは、家電量販店などで見られる、メーカーが小売店に対して「この価格で販売して欲しい」と希望する価格です。「メーカー希望小売価格」ともいいます。希望小売価格には拘束力がないため、実際にいくらで販売するかは小売店の判断になります。
近年では、量販店の増加から価格競争が激化し、実際の販売価格が希望小売価格から大きく下落するようになっています。そのため、希望小売価格を廃止した「オープン価格」が導入されようになっています。
希望小売価格の対義語
希望小売価格の対義語・反対語としては、製造会社が標準小売価格を定めず小売店側が売れ行きなどを考慮して価格を決める方式を意味する「オープン価格」「オープンプライス」、店舗で実際に販売される際の価格を意味する「店頭価格」などがあります。
希望小売価格の類語
希望小売価格の類語・類義語としては、ある製品に対してメーカーが表示した小売価格を意味する「標準価格」、メーカーが卸売業に販売したものを再度小売業で販売する際の価格を意味する「再販売価格」などがあります。
定価の例文
この言葉がよく使われる場面としては、ある品物について定められた価格、商品に前もって付けられた値段を表現したい時などが挙げられます。
例文1にある定価と原価の違いは、原価は利益を含めていない仕入れ値段のことであり、定価は原価に利益を加えた値段を表す点にあります。
希望小売価格の例文
この言葉がよく使われる場面としては、製造業者や卸売業者が取引の目安として提示する小売価格を表現したい時などが挙げられます。
例文1や例文2に関して、メーカーが小売店の販売価格を拘束することは、原則として違法です。よって、小売店は希望小売価格とは違った値付けをすることができます。
定価と希望小売価格という言葉は、どちらも「商品の値段」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、小売店が変えられないメーカーが定めた値段を表現したい時は「定価」を、小売店が変えられるメーカーが希望する値段を表現したい時は「希望小売価格」を使うようにしましょう。