似た意味を持つ「世情」(読み方:せじょう)と「世相」(読み方:せそう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「世情」と「世相」という言葉は、どちらも「世の中のありさま」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
世情と世相の違い
世情と世相の意味の違い
世情と世相の違いを分かりやすく言うと、世情とは世のありさまだけでなく世間の人情も表し、世相とは世のありさまのみを表すという違いです。
世情と世相の使い方の違い
一つ目の世情を使った分かりやすい例としては、「祖父はテレビやネットを見ないので世情に疎い」「世情を鑑みて時短営業を継続することにしました」「彼女は育ちが良すぎて世情に疎いようだ」「英語の先生は世情に通じる人情派です」などがあります。
二つ目の世相を使った分かりやすい例としては、「いつの時代もファッションは世相を反映している」「新聞のコラムには世相が映し出されている」「現代の世相がよく描かれた映画です」「当時の世相を反映している」などがあります。
世情と世相の使い分け方
世情と世相という言葉は、どちらも世の中のありさまや社会の様子を表します。この意味で使われている上記の「世情を鑑みて時短営業を継続する」「ファッションは世相を反映している」の世情と世相は、互いに置き換えて使うことができます。
さらに世情という言葉は、「世間の人情、俗人の考え」という意味も持っています。この意味は世相という言葉にはないため、「ネットを見ないので世情に疎い」「世情に通じる人情派」の世情は、世相に置き換えることはできません。
二つの言葉を比べると、世情という言葉は世相よりも多くの意味を持ち、幅広く使える言葉だと言えるでしょう。
世情と世相の英語表記の違い
世情を英語にすると「worldly matters」「popular feeling」となり、例えば上記の「世情に疎い」を英語にすると「be ignorant of worldly matters」となります。
一方、世相を英語にすると「social condition」「state of society」となり、例えば上記の「世相を反映する」を英語にすると「reflect the social conditions」となります。
世情の意味
世情とは
世情とは、世の中のありさまを意味しています。
その他にも「世間の人情、俗人の心」の意味も持っています。
世情の読み方
世情の読み方には二通りあり、「せじょう」の他に「せいじょう」とも読みますが、一般的には「せじょう」と読まれています。
世情の使い方
「世情を鑑みイベントは中止します」「世情によりシュプレヒコールは自粛しました」「世情を鑑みると致し方ない判断だと思います」「世情に明るい人は流行に敏感です」「世情に疎い人との話はつまらない」などの文中で使われている世情は、「世の中のありさま」の意味で使われています。
一方、「本を読んで文化に触れれば世情に通じるようになるでしょう」「世情を表した歌詞が心に響く」「世情を無視した血も涙もない判決であった」などの文中で使われている世情は、「世間の人情、俗人の心」の意味で使われています。
世情の「世」は人々が生活している世の中や社会を表し、「情」は物事の実際のありさまや、物事に感じて起こる心の動きを表します。世情とは、社会全体のありさまや状況、世間一般の人々の心情を意味する言葉です。
「世情に疎い」の意味
上記の例文にある「世情に疎い」とは、世間について知らないことや、世の中で話題になっていることについて知識がないことを意味します。反対に、世間の事情についてよく知っていることは「世情に明るい」「世情に通じている」などと言います。
世情の類語
世情の類語・類義語としては、その時代の社会一般の風潮や思想の傾向を意味する「時流」、その時代特有の風潮や傾向を意味する「時代色」、ある社会の問題について世間の人々の持っている意見を意味する「世論」などがあります。
世相の意味
世相とは
世相とは、世の中のありさま、社会の様子を意味しています。
世相の読み方
世相の読み方は「せそう」です。「よそう」「せしょう」などと読まないようにしましょう。
世相の使い方
世相を使った分かりやすい例としては、「その年の世相を反映して作られています」「世相を反映して生まれたヒーローたち」「テレビは世相やトレンドを反映する鏡です」「不安定な世相を反映した事件が相次ぐ」などがあります。
その他にも、「反権力の立場で世相を斬る」「戦時下の世相と庶民の生活を調べました」「サラリーマンの世相を反映した川柳である」「世相を映し出した英語教育論が展開されました」「殺伐とした世相の中で正義を貫く」などがあります。
世相とは、 世の中のありさまや世間の様子を意味し、特に、その時代の傾向や風潮が現れたものを表します。世相の「相」は、そのものの内面などを表す姿やありさまを表す漢字です。
「世相を斬る」の意味
世相を用いた言い表しには「世相を斬る」があります。「世相と斬る」とは、世間で起きている社会問題や世の中の様子について、批判的に意見を述べたり分析したりすることです。「斬る」は遠慮なく鋭く批判することを意味します。
表現方法は「世相を反映する」「世相を映す」「今の世相」
「世相を斬る」以外では「世相を反映する」「世相を映す」「今の世相」などが、世相を使った一般的な言い回しです。
世相の類語
世相の類語・類義語としては、世の中のありさまや世間の状態を意味する「世態」、世人の心情や世間のありさまを意味する「物情」、時代の推移に伴って変わる世の中のありさまを意味する「風潮」などがあります。
世情の例文
この言葉がよく使われる場面としては、世の中の状態、世俗の考えを表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文4の世情は、「世の中の状態」の意味で用いられています。例文2から例文5の世情は、「世俗の考え」の意味で用いられています。例文5の「世情に通じる」とは、世間一般の人々の思いや考えなどをよく知っていることです。
世相の例文
この言葉がよく使われる場面としては、世の中のありさま、その時代の傾向や風潮が現れたものを表現したい時などが挙げられます。
例文2や例文3にある「世相を反映する」とは、時代性を映し出すことや、その時の社会の様相がうかがえるようになるさまを意味します。
世情と世相という言葉は、どちらも「世の中のありさま、社会の様子」を表します。さらに世情には、「世俗の考え、世間の人情」の意味もあることを覚えておきましょう。