似た意味を持つ「綴る」(読み方:つづる)と「綴じる」(読み方:とじる)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「綴る」と「綴じる」という言葉は、どちらもばらばらのもの一つに固め合わせることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「綴る」と「綴じる」の違い
「綴る」と「綴じる」の意味の違い
「綴る」と「綴じる」の違いを分かりやすく言うと、「綴る」は複数のものを繋ぐことに重点を置いていること、「綴じる」はばらばらなものを一つにすることに重点を置いていることという違いです。
「綴る」と「綴じる」の使い方の違い
一つ目の「綴る」を使った分かりやすい例としては、「日本語をローマ字で綴る」「毎日日記を綴るのが私の趣味です」「書類を綴るように上司から指示を受けました」「彼女は幼年時代の思い出を英文で綴りました」などがあります。
二つ目の「綴じる」を使った分かりやすい例としては、「袖口の綻びを綴じる」「この本はしっかり綴じてあります」「彼は新聞をファイルに綴じる」などがあります。
「綴る」と「綴じる」の使い分け方
「綴る」と「綴じる」はどちらもばらばらのもの一つに固め合わせることを意味する言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。
「綴る」は複数のものを繋ぐことに重点を置いており、「ばらばらの書類を綴る」だけではなく、「日記を綴るのが私の趣味です」などのように、文字を一つにするというニュアンスでも使うことができます。
一方、「綴じる」はばらばらなものを一つにすることに重点を置いており、「書類をファイルに綴じる」や「破れた箇所を綴じる」のような使い方をするというのが違いです。
「綴る」と「綴じる」の英語表記の違い
「綴る」を英語にすると「spell」「file」「write」となり、例えば上記の「彼女は幼年時代の思い出を英文で綴りました」を英語にすると「She wrote down her boyhood memories in English」となります。
一方、「綴じる」を英語にすると「bind」となり、例えば上記の「彼は新聞をファイルに綴じる」を英語にすると「He bind newspapers in a file」となります。
「綴る」の意味
「綴る」とは
「綴る」とは、欠けたり破れたりしたところを継ぎ合わせることを意味しています。その他にも、言葉を連ねて文章を作ることや仮名やアルファベットなどを並べて単語を書き表すことの意味も持っています。
表現方法は「気持ちを綴る」「言葉を綴る」「愛を綴る」
「気持ちを綴る」「言葉を綴る」「愛を綴る」などが、「綴る」を使った一般的な言い回しになります。
「綴る」の使い方
「伝票を綴る紐を用意しました」「袖のほころびを綴る」などの文中で使われている「綴る」は、「欠けたり破れたりしたところを継ぎ合わせること」の意味で使われています。
一方、「両親宛ての手紙を綴る」「自分の名前をローマ字で綴る」などの文中で使われている「綴る」は、「言葉を連ねて文章を作ることや仮名やアルファベットなどを並べて単語を書き表すこと」の意味で使われています。
「綴る」は複数の意味を持つ動詞ですが、どの意味でも使われています。また、複数のものを繋ぐことに重点を置いているというのが特徴です。
欠けたり破れたりしたところを継ぎ合わせることの意味は、本や服などを物理的に継ぎ合わせる場合に使う言葉になります。
言葉を連ねて文章を作ることの意味は、文字を連ねて手紙や日記などを書く場合に使うことが多い表現です。
アルファベットなどを並べて単語を書き表すことの意味は、「原語を誤って綴る」のように、文字を組み合わせて単語を書き表すというニュアンスで使うと覚えておきましょう。
「綴る」の類語
「綴る」の類語・類義語としては、別々のものをつないで一つにすることを意味する「継ぎ合わせる」、小説や論文などを新たに書くことを意味する「書き下ろす」、綴って一つのものにすることを意味する「綴り合わせる」などがあります。
「綴じる」の意味
「綴じる」とは
「綴じる」とは、重ね合わせた紙などに糸を通したりして一つにまとめることを意味しています。その他にも、縫い合わせることや汁の多い煮物でかきまぜた卵などをかけて具がまとまるようにすることの意味も持っています。
表現方法は「ファイルに綴じる」「バインダーに綴じる」「書類を綴じる」
「ファイルに綴じる」「バインダーに綴じる」「書類を綴じる」などが、「綴じる」を使った一般的な言い回しになります。
「綴じる」の使い方
「原稿を綴じる作業が終わりました」「書類を綴じるように部下に指示する」などの文中で使われている「綴じる」は、「重ね合わせた紙などに糸を通したりして一つにまとめること」の意味で使われています。
一方、「破れた箇所を綴じる」「卵で綴じるカツ丼は美味しい」などの文中で使われている「綴じる」は、「縫い合わせることや汁の多い煮物でかきまぜた卵などをかけて具がまとまるようにすること」の意味で使われています。
「綴じる」は複数の意味を持つ動詞ですが、どの意味でも使われています。また、ばらばらなものを一つにすることに重点を置いているというのが特徴です。
重ね合わせた紙などに糸を通したりして一つにまとめることの意味は、「ファイルに綴じる」「原稿を綴じる」などのように、ばらばらのものを一つにするというニュアンスで使われています。
縫い合わせることの意味は、破れた本や破れた服を一つにするというニュアンスで使うのが一般的です。
汁の多い煮物でかきまぜた卵などをかけて具がまとまるようにすること意味は、とても限定的な表現ですが、主に料理に対して使う言葉になります。
「綴じる」の類語
「綴じる」の類語・類義語としては、綴じて一つにまとめることを意味する「綴じ込む」、ひとつひとつを綴り合わせることを意味する「点綴」(読み方:てんてい)などがあります。
「綴る」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、欠けたり破れたりしたところを継ぎ合わせることを表現したい時などが挙げられます。その他にも、言葉を連ねて文章を作ることや仮名やアルファベットなどを並べて単語を書き表すことを表現したい時にも使います。
例文1と例文2の「綴る」は欠けたり破れたりしたところを継ぎ合わせること、例文3と例文4「綴る」は言葉を連ねて文章を作ること、例文5の「綴る」はアルファベットなどを並べて単語を書き表すことの意味で使っています。
「綴じる」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、重ね合わせた紙などに糸を通したりして一つにまとめることを表現したい時などが挙げられます。その他にも、縫い合わせることや汁の多い煮物でかきまぜた卵などをかけて具がまとまるようにすることを表現したい時にも使います。
例文1から例文3の「綴じる」は重ね合わせた紙などに糸を通したりして一つにまとめること、例文4の「綴じる」は縫い合わせること、例文5の「綴じる」は汁の多い煮物でかきまぜた卵などをかけて具がまとまるようにすることの意味で使っています。
「綴る」と「綴じる」はどちらもばらばらのもの一つに固め合わせることを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、複数のものを繋ぐことに重点を置いているのが「綴る」、ばらばらなものを一つにすることに重点が置かれているのが「綴じる」と覚えておきましょう。