【他言】と【口外】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「他言」(読み方:たごん)と「口外」(読み方:こうがい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「他言」と「口外」という言葉は、他の人に話をすることという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




他言と口外の違い

他言と口外の意味の違い

他言と口外の違いを分かりやすく言うと、他言よりも口外の方が更なる厳守を求める表現として使われているという違いです。

他言と口外の使い方の違い

一つ目の他言を使った分かりやすい例としては、「他言無用ですと言われたが話す相手がいない」「他言しないと言う彼を信じて話した」「半ば脅すように他言しないことを約束させられた」などがあります。

二つ目の口外を使った分かりやすい例としては、「口外してはならないと念を押された」「機密情報を口外しようものならどんな罰が待っているかは想像に容易い」「口外しないよう言わずとも広く知れ渡ればどうなるか理解しているようだった」などがあります。

他言と口外の使い分け方

他言も口外もどちらも他の人に対して秘密などを話すことを意味し、同じように使われる言葉です。大きな違いはありませんが、使われる場面や印象が若干異なります。

他言は、「他言無用」という表現をすることはありますが、「他言禁止」や「他言厳禁」などの使い方はあまりされず、他言よりも強い表現が他にも存在します。

一方の口外は、労働審判手続きにおける口外禁止条項や、その他契約書などの中で使用されている言葉であることから、ビジネスシーンや公的場面で使われることが多く硬い表現として使われています。

つまり、口外よりも他言は柔らかい表現であると言えるため、日常会話やビジネスシーンにおいても目上の人に対して使う場合などにおいては、他言という言葉を使う方が好ましいと言えます。

他言と口外の英語表記の違い

他言も口外も英語にすると「say nothing」「tell」となり、例えば上記の「他言無用です」を英語にすると「Say nothing of it to anyone.」となり、上記の「口外してはならない」を英語にすると「must not tell」となります。

他言の意味

他言とは

他言とは、秘密を他の人に話すことを意味しています。

他言の読み方

他言は「たげん」という読み方をすることもできますが、一般的には「たごん」という読み方で使われています。

表現方法は「他言しない」「他言しません」「他言を控える」

「他言しない」「他言しません」「他言を控える」などが、他言を使った一般的な言い回しです。

他言の使い方

他言を使った分かりやすい例としては、「他言無用と釘を刺されたのが不思議で仕方ない」「友人が他言せずにいてくれる保証はない」「母は面白いことがあれば他言しがちだ」「他言しないよう言われたが何故公表しないのだろうか」などがあります。

その他にも、「自身の判断で他言致しませんことを誓います」「今回の被害に関して一切の他言をしないよう頼んだ」「他言を慎むよう言われたのに口が軽い男には意味がなかったようだ」「会社の機密を他言するなど有り得ないことだ」などがあります。

「他言無用」の意味

上記例文の「他言無用」とは、とある話を他者に対して漏らしてはいけないことを意味する表現で、「他言無用に致します」「他言無用でお願いします」などのように会話文でも使うことができます。

そのため、他言は口外などの言葉よりも目上の人に使うことに適しており、「ご他言は無用に願います」「ご他言なさらないようお願い申し上げます」などのようにも使われています。

他言の対義語

他言の対義語・反対語としては、他者に悟られないように隠して事を行うことを意味する「隠密」、他者に隠して知られないようにすることを意味する「秘密」があります。

他言の類語

他言の類語・類義語としては、隠さずに打ち明けることを意味する「吐露」、心の中にあるものを表すことを意味する「表出」、人前で堂々と言うことを意味する「公言」、秘密や情報などを漏らすことを意味する「リーク」などがあります。

口外の意味

口外とは

口外とは、口に出して言うことを意味しています。

口外の読み方

口外は「こうがい」という読み方をしますが、「くちがい」や「こうそと」などの読み方をすることはありません。

表現方法は「口外しない」「口外しないでください」「口外できない」

「口外しない」「口外しないでください」「口外できない」などが、口外を使った一般的な言い回しです。

口外の使い方

口外を使った分かりやすい例としては、「身内を守るために一切口外しないでいようと思った」「お互い口外無用とするのが今後のためになる」「口外を憚られると言って、彼は彼女との関係について話してくれなかった」などがあります。

その他にも、「口外禁止条項に関する判例に目を通した」「希少価値の高い物品をどう入手したのかは口外しないと言われた」「誰に聞いたとしても口外するはずがない」「良からぬ雰囲気を感じ取って、ついぞ口外することはなかった」などがあります。

「口外禁止条項」の意味

上記例文の「口外禁止条項」とは、事件や事実を当事者以外には口外しないことを取り決めるためのもので、労働審判などにおいて定められることがあります。内容を当事者以外が見聞きした場合に発生する負担を、当事者が負うことを防ぐために取り決められます。

これらのことからも分かるように、口外は日常会話などにおいて使われるよりも、公的文書などで使われることが多い言葉で、硬い表現と言えるでしょう。

口外の対義語

口外の対義語・反対語としては、他者に話すことを禁じることを意味する「口止め」、他者に物を言わないことを意味する「箝口」があります。

口外の類語

口外の類語・類義語としては、一般の人々に観覧や使用などを許可することを意味する「公開」、はっきりと示すことを意味する「開示」、口頭で述べることを意味する「口述」、秘密などが漏れることを意味する「漏洩」などがあります。

他言の例文

1.そのゲームでは、自身の役柄について一切他言を禁じられているため、マップ内ですれ違った際に誰に行動不能にさせられるかわからない。
2.更なる混乱を招くわけにはいかないことは重々承知のため、他言致しませんことをお約束します。
3.今回の件に関しまして、ご他言はお控えくださるようお願いいたします。
4.噂が好きで他言するばかりの近所の人の話は到底信じ難い話も多いため、まるで狼少年のように扱われている。
5.正式な発表があるまでは他言できないよう取り決められているはずだが、事前に情報が出回るのは一体どうしてなのだろうか。
6.大臣からは「これオフレコだから、書いた社は終わりね。」と半ば脅しで他言しないことを約束させられた。
7.あのおしゃべりのおばさんのことだから、交際のことはまだ他言しないように念押ししても不安が尽きなかった。
8.この企業秘密は君たちのことを信頼して話してあげるのだから、くれぐれも他言しないように注意してもらいたい。
9.サークル夏合宿のあの夜に彼女と何があったのかは笑い話にもならないので他言する気にはなれないな。
10.国民の中から選ばれた裁判員は裁判員であることを公にしてはならいが、身内などには他言しても構わないとされる。

この言葉がよく使われる場面としては、秘密を他の人に話すことなどが挙げられます。

例文2や例文3のように、ビジネスシーンなどの会話文でも他言という言葉は使われており、日常会話においても使われることがあります。

口外の例文

1.今回の会議で開示された資料は口外しないでくださいと言われ、モニターに映し出されたものを口頭で説明されるだけだった。
2.ベータテストに関しては口外禁止が命じられたものの、感動して旦那にはつい話してしまった。
3.情報源や情報元である彼自身に関しては一切口外しないという条件で今回の取材および記事の掲載の許可を貰うことができた。
4.まだ関係者からしたら口外できない内容も、いつかは必ず公式発表がなされるため今はわくわくしながら待つしかない。
5.弟は誰にでも秘密と定められた内容を口外するような人ではないと信じているが、火のない所に煙は立たぬとも思っている。
6.このことは口外しないでくれと釘を刺されたので黙っていたが、いつの間にか周囲の人間が皆知っていて結局噂というものはどこからか広がるものなんだと思った。
7.今回の措置はお客様だけの特別な対応となっておりますので、どなた様にも口外なさりませぬようお願い申し上げます。
8.部下にはあれほど口外するなと言っておいたのに、まったくどうしてくれようか。ここはひとつ厳しい処分を下すしかないだろう。
9.これから私があなたに話すことはけっして口外してはなりません。それを約束してくれるなら喜んで協力してあげましょう。
10.仕事の裏話をブログに書きたいのだが、契約上口外してはいけないこともあるので、なかなか言葉を選ぶときもあります。

この言葉がよく使われる場面としては、口に出して言うことなどが挙げられます。

例文1の「口外しないでください」という会話表現は、目上の人に対して使うのには適していません。目上の人に対しては、「ご他言なさらないようお願い致します」などの表現を代わりに使うようにしましょう。

他言と口外という言葉は、どちらも「他の人に話をすること」を表します。どちらを使うか迷った場合は、他言よりも口外の方が更なる厳守を求める表現であるため、一般的には他言を使うと覚えておけば間違いありません。

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