似た意味を持つ「英傑」(読み方:えいけつ)と「英雄」(読み方:えいゆう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「英傑」と「英雄」という言葉は、どちらも「才知や武勇にすぐれた人」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
英傑と英雄の違い
英傑と英雄の意味の違い
英傑と英雄の違いを分かりやすく言うと、英傑とは才知や武勇にすぐれた人、英雄とは才知や武勇にすぐれ偉業を成し遂げた人という違いです。
英傑と英雄の使い方の違い
一つ目の英傑を使った分かりやすい例としては、「彼はなんて英傑なんだろう」「曹操は三国魏の基礎を築いた一代の英傑です」「愛知県は戦国三英傑を生んだ武将のふるさとです」「一世一代の英傑として知られる発明家です」などがあります。
二つ目の英雄を使った分かりやすい例としては、「勝利に導き英雄としてもてはやされる」「坂本龍馬は幕末の英雄です」「フランスの国民的英雄と称えられた」「オリンピックの金メダルは英雄の証である」などがあります。
英傑と英雄の使い分け方
英傑と英雄という言葉は、どちらも才気と知恵があり、武術にすぐれ勇気のある立派な人物を表しますが、厳密な意味や使い方には違いがあります。
英傑とは、知力や勇気などが並外れてすぐれた人物を意味します。凡人には持ち合わせていない才能や勇気などを桁違いに持っている人を表す言葉です。英傑は文章語のため、話し言葉にはあまり用いられず、文章を書くときに多く用いられています。
英雄とは、才知と武勇を兼ね備え、凡人には真似できないような偉業を成し遂げるような人物を意味します。上記の例文にある「国民的英雄」とは、国民の大部分が、その功績を認め、好意的な感情を持ち尊敬していると考えられる人物を表します。
つまり、英傑と英雄は「才知や武勇にすぐれた人」を表現する言葉ですが、さらに英雄には、大きな功績や偉業を成し遂げたというニュアンスがあります。
英傑と英雄の英語表記の違い
英傑も英雄も英語にすると「great man」「hero」となり、例えば上記の「彼はなんて英傑なんだろう」を英語にすると「What a great man he is!」となります。
英傑の意味
英傑とは
英傑とは、知力や勇気などのすぐれている人、英雄豪傑を意味しています。
英傑の使い方
英傑を使った分かりやすい例としては、「戦国の英傑といえば織田信長だろう」「戦国三英傑のなかで誰が好きですか」「秀才5人は五英傑と呼ばれています」「ナポレオンの軍服は英傑の服として展示されています」などがあります。
その他にも、「英傑と仰がれた指導者がいました」「コペルニクスは英傑として尊敬されている」「知謀胆力ともにすぐれた英傑を集める」「英傑と称される敏腕編集者がいます」「明治維新の英傑たちを描いた小説です」などがあります。
英傑とは、知的な能力や勇ましい意気などが人並み以上にすぐれていること、また、そのような人を意味する言葉です。主に書き言葉として用いられ、才能や行動が優れている人を指す時に使います。英傑の「英」は能力が他よりぬきんでること、「傑」はひときわ優れた人を意味する漢字です。
「戦国三英傑」の意味
英傑を用いた日本語には「戦国三英傑」があります。「郷土三英傑」もしくは「三英傑」とも言い、戦国時代において天下を統一へ導いた織田信長、豊臣秀吉、徳川家康を指します。三英傑は名古屋にゆかりがあり、名古屋まつりでは郷土英傑行列が行われています。
英傑の対義語
英傑の対義語・反対語としては、愚かな人や愚人を意味する「愚者」、理性のない者や愚か者を意味する「痴人」、普通の人を意味する「凡人」などがあります。
英傑の類語
英傑の類語・類義語としては、秀でた人物や傑出した人物を意味する「傑物」、際立ってすぐれた人物を意味する「傑士」、飛び抜けてすぐれた人を意味する「傑人」などがあります。
英雄の意味
英雄とは
英雄とは、才知・武勇にすぐれ、常人にできないことを成し遂げた人を意味しています。
英雄の使い方
英雄を使った分かりやすい例としては、「マラドーナはアルゼンチンの英雄です」「私の地元に伝わる英雄伝説をお話ししましょう」「ショパンの英雄ポロネーズを弾けるようになりたい」「英語圏の英雄といえばコロンブスだろう」などがあります。
その他にも、「伝説上の英雄の軌跡をたどる」「ミコノス島には英雄の神殿があります」「英雄王は武を極めるため転生する」「歴史上の英雄たちの選択を参考にしたい」「英雄じゃない私には荷が重すぎます」などがあります。
英雄とは、才能と知恵にすぐれ、強くて勇ましく、並みの人にできないことを成し遂げた人を意味する言葉です。「ヒーロー」と言い換えられる言葉でり、大きな功績を残した人物に対して使われる表現です。
ことわざ「英雄色を好む」の意味
英雄を用いたことわざには「英雄色を好む」があります。英雄といわれる人は、すべてに精力的であるために女色を好む傾向も強いことを意味します。
英雄の対義語
英雄の対義語・反対語としては、しっかりした気性とすぐれた知恵をもち実行力に富んだ女性を意味する「女傑」、気性が強くしっかりしている女性を意味する「女丈夫」などがあります。
英雄の類語
英雄の類語・類義語としては、敬慕の的となる人物を意味する「ヒーロー」、才知や実行力などにひいでた人物を意味する「人傑」、才知などが常人よりすぐれていることを意味する「俊傑」などがあります。
英傑の例文
この言葉がよく使われる場面としては、才知の人並み以上にすぐれていることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、英傑という言葉は、ずば抜けた才知や勇気があるさまを表します。話し言葉よりも書き言葉で使われています。
英雄の例文
この言葉がよく使われる場面としては、すぐれた才知・実力を持ち、非凡な事を成し遂げる人を表現したい時などが挙げられます。
例文3にある「英雄神話」とは、「英雄譚」とも言い、英雄の生い立ちや行ってきた事柄などを説いた神話のことです。ギリシアのヘラクレス、インドのラーマ、日本のヤマトタケルなどが典型です。
英傑と英雄という言葉は、どちらも「才知や武勇にすぐれている人」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、才知や武勇にすぐれている人を表現したい時は「英傑」を、才知や武勇にすぐれ偉業を成し遂げた人を表現したい時は「英雄」を使うようにしましょう。