同じ「しゅうせい」という読み方、似た意味を持つ「修正」と「修整」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「修正」と「修整」という言葉は、どちらも手直しをすることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
修正と修整の違い
修正と修整の意味の違い
修正と修整の違いを分かりやすく言うと、修正とは間違っているものを正しくすることを意味していて、修整とは見た目を綺麗にすることを意味しているという違いです。
二つの言葉に共通している修という字は、形をきちんとしたものにして完成させるという意味を持っています。
「修理」「修繕」「修復」などの字に用いられていることから分かるように、修の字は直すことを意味していますが、「修行」や「修学」などのように、単に直すのではなく、完成させる、仕上げるという意味も持っているのが修という字です。
修という字にはこのような意味があるため、修正も修整も、手直しして仕上げるという意味を持っています。ですが二つの言葉は、どのような仕上げをするのかという点で異なります。
修正と修整の使い分け方
一つ目の「修正」は「間違いを正すこと」を意味する言葉です。修整よりも一般的に使われ、身近な使用例としては「修正液」を挙げることが出来ます。修正液は書き間違いを直して正しい文字を書くために使われるので、これには修正という言葉が使われています。
二つ目の「修整」は「美しく見せること」というニュアンスを持った言葉です。写真を加工して美しく見せることは「画像の修整」などと呼ばれます。手を加える前の写真は美しくはないとしても間違ったものではないので、ここで修正という言葉は使えません。
例えば写真映りが悪いので加工したいという場合を考えてみましょう。元の写真がどれだけ気に入らないものだとしても、それは美しいか美しくないかの問題なので、正しいや間違っているではありません。なので修正は使えず修整を使います。
このように、二つの言葉は読み方も形も意味も似ていますが、使い分けなければいけないケースが多いので注意が必要です。
修正の意味
修正とは
修正とは、誤りを正すことを意味しています。
修正の使い方
内容が異なっていたり、文字が異なっていたりすることだけではなく、不足や不備があったり、求められている物に対して不適切であったりする場合、それに手を加えて直すことを修正と呼びます。
表現方法は「修正する」「修正される」「修正を加える」
「修正する」「修正される」「修正を加える」などが、修正を使った一般的な言い回しです。
修正の使い方
修正を使った分かりやすい例としては、「上司から文章の誤りを修正するよう求められた」「スマホで小文字が大文字に修正されるバグが起きている」「後で修正を加えるのでとりあえず完成させてください」などがあります。
修正を使った言葉には「軌道修正」「加筆修正」「上方修正/下方修正」などがあります。
「軌道修正」の意味
「軌道修正」とは計画の手順や道筋を変えることを意味しています。事前に立てた計画に沿うと円滑に物事が進まない時、やり方を変えて目標を達成しようとすることなどを、軌道修正と呼びます。
「加筆修正」の意味
「加筆修正」とは文章に対して行われる手直しです。加筆は内容に漏れがあったり新たに分かったことなどを盛り込むことで、修正は元々の文章を手直しすることです。
この修正の中には、間違いや不適切な箇所を直すだけではなく、語尾を直して語調を整えるなど、修整に近い作業も含まれます。この場合の修正という言葉は、修整も含めた全体的な手直しを指し示す言葉として使われています。
この例から分かるように、修正と修整は意味が厳密には異なる言葉ですが、場合によっては修正が修整を含む広い意味の言葉として使われることもあります。修正が修整よりも広く一般的に使われているのは、修正の方が広い意味を持っているからだと言えます。
「上方修正」と「下方修正」の意味
「上方修正」ないし「下方修正」とは主に企業の業績予測に対して使われる言葉です。予測の数値を高く設定し直すことが上方修正で、低く設定し直すことが下方修正です。年度の途中に見直すことに対して特によく使われ、ニュースなどでもよく用いられる言葉です。
修正の類語
修正の類語・類義語としては、誤りを正しく直すことを意味する「訂正」、決められた物事を変えることを意味する「変更」、悪いところを改めて良くすることを意味する「改善」などがあります。
修整の意味
修整とは
修整とは、見栄えを良くすることを意味しています。間違ってはいないが、もっと良くしたい物に対して手直しをすることを表現するために用いられるのが修整という言葉です。
修整の整の字は「整理整頓」(読み方:せいりせいとん)という言葉にも用いられています。整理整頓とは散らかったものを綺麗にすることですが、修整の整の字も、乱れているものを美しくすることを意味しています。
表現方法は「修整する」「修整を加える」「修整された」
「修整する」「修整を加える」「修整された」などが、修整を使った一般的な言い回しです。
修整の使い方
修整を使った分かりやすい例としては、「スマホで撮った写真を修整する技術がすごい」「芸能人の写真は修整を加えるのが当たり前だという前提で見ている」「インスタグラムの写真は修整されたものばかりだ」などがあります。
修整という言葉は、主に視覚や聴覚に訴えかける物、写真や画像、動画や音声などに対して使われます。修正が比較的広く様々なジャンルで使われるのに対して、修整の方は使われ方が限定されていると考えることが出来ます。
キレイでスタイルがよく見えるように写真画像を加工することは画像修整です。また動画の編集で画質や音声を調整することも修整です。どちらの場合も、手を加える前の元々の物は間違っているとは言えないので、修正ではなく修整を使います。
ただし、修整は修正の中に含まれることがあります。「文章の加筆修正」と言われる場合、修正作業の中には誤字脱字を直す修正と、語調や段落の乱れを直して読みやすくする修整作業の両方が含まれます。
つまり、修正と修整は狭い意味では異なりますが、広い意味では修正は修整を含みます。画像の修整の場合は狭い意味で修整という言葉が使われているので修正と言い換えることは出来ませんが、文章の修正の場合にはより広い意味の修正が使われます。
修整の類語
修整の類語・類義語としては、ある基準に合わせて整えることを意味する「調整」、ズレや矛盾なく揃えることを意味する「整合」、ほどよく整えることを意味する「調節」などがあります。
修正の例文
この言葉がよく使われる場面としては、間違っているものを正したいことを表現したい時などが挙げられます。広い意味で使われる言葉ですが、「文書の修正」という意味で使われることが多いです。
修正という字を使った言葉としては「軌道修正」「加筆修正」「上方修正/下方修正」を挙げることが出来ますが、これらは全て「文書の修正」と考えることが出来ます。
加筆修正は言うまでもないですが、軌道修正と上方/下方修正は計画書の不備を直すことだとイメージしてみて下さい。
例文1の「合衆国修正憲法」の話は、それなりに有名です。アメリカという国の憲法は幾度も改正されていますが、憲法発行当時の条文が書き換えられるのではなく、修正条項が新たに加筆される形で改正されています。
例文5の「動画の修正」は、投稿した動画が間違っていたから修正という言葉で表現されています。動画の編集段階で手直しをする場合には修整です。紛らわしいですが、間違えないように注意して下さい。
また「修整を加える」や「修整をかける」といったよく使われる言い回しも存在しますので、これも覚えておいて下さい。
修整の例文
この言葉がよく使われる場面としては、美しく見えるように手直しすることを表現したい時などが挙げられます。修整という言葉は、画像、映像、音楽などを加工してより良くすることを表現する時に用いられます。
修整は、元々の物が間違っていないということを含意します。例えば写真を綺麗に修整する場合、むしろ修整後の方が事実を捻じ曲げているとさえ言うことが出来ます。美顔にしたりスリムにする加工が熱烈に支持される一方で、嫌悪されることもあります。
修整は厳密に言えば修正と意味が異なりますが、広い意味では同じ意味を持つ言葉で、ニュアンスが微妙に異なっているだけだとも考えることも出来ます。そのため「画像の修整(修正)」などと併記して使われていることもあります。