似た意味を持つ「案ずるより産むが易し」(読み方:あんずるよりうむがやすし)と「必要は発明の母」(読み方:ひつようははつめいのはは)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「案ずるより産むが易し」と「必要は発明の母」という言葉は、どちらもことわざという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「案ずるより産むが易し」と「必要は発明の母」の違い
「案ずるより産むが易し」と「必要は発明の母」の意味の違い
「案ずるより産むが易し」と「必要は発明の母」の違いを分かりやすく言うと、「案ずるより産むが易し」とは物事はあれこれ心配するより実行してみれば案外容易いこと、「必要は発明の母」とは発明は必要があるところから生まれることという違いです。
「案ずるより産むが易し」と「必要は発明の母」の使い方の違い
一つ目の「案ずるより産むが易し」を使った分かりやすい例としては、「案ずるより産むが易しとも言うし難しいことにチャレンジしてみよう」「案ずるより産むが易しは私の座右の名です」などがあります。
二つ目の「必要は発明の母」を使った分かりやすい例としては、「主力選手が移籍したことで新たな戦術が生まれたのは必要は発明の母と言えるだろう」「子供のゲームを1日1時間にしたら新しい遊びを考えていた、まさに必要は発明の母だ」などがあります。
「案ずるより産むが易し」と「必要は発明の母」の使い分け方
「案ずるより産むが易し」と「必要は発明の母」はどちらもことわざで類語ではあるものの、意味は少し異なっているので間違えないように注意しましょう。
「案ずるより産むが易し」は物事はあれこれ心配するより実行してみれば案外容易いこと、「必要は発明の母」は発明は必要があるところから生まれることを意味している言葉です。
「案ずるより産むが易し」と「必要は発明の母」の英語表記の違い
「案ずるより産むが易し」を英語にすると「It is easier to do something than worry about it」「Action is worry’s worst enemy」となります。
一方、「必要は発明の母」を英語にすると「Necessity is the mother of invention」となります。
「案ずるより産むが易し」の意味
「案ずるより産むが易し」とは
「案ずるより産むが易し」とは、物事はあれこれ心配するより実行してみれば案外容易いことを意味しています。
「案ずるより生むが易し」「案ずるより産むが安し」は誤用
「案ずるより産むが易し」を「案ずるより生むが易し」「案ずるより産むが安し」とするのは誤用なので、使わないように気をつけましょう。
「案ずるより産むが易し」の使い方
「案ずるより産むが易し」を使った分かりやすい例としては、「案ずるより産むが易しとも言うしそう悩む必要はないだろう」「案ずるより産むが易しで始めたらあっさり終わることができました」などがあります。
「案ずるより産むが易し」は物事はあれこれ心配するより実行してみれば案外容易いことを意味することわざです。ことわざとは、古くから言い伝えられてきた教訓または風刺の意味を含んだ短い言葉のことを意味しています。
つまり、物事を始める前は色々な心配をしてしまいますが、実際に始めてみると思ったよりも容易くできるというニュアンスで使う言葉です。
「案ずるより産むが易し」は、励ましや応援の言葉として使うのが一般的になっています。そのため、プラスのイメージを伴っていると覚えておきましょう。
また、色々な心配をしたけれど、終わってみれば取り越し苦労だったというニュアンスでも使うことができます。
「案ずるより産むが易し」の由来
「案ずるより産むが易し」の語源は初めて出産を経験する女性への励ましの言葉です。また、ただの励ましの言葉ではなく、出産経験のある女性から初めての出産をする女性への言葉とも言われています。
初めての出産の時は、上手く産めるのだろうか、陣痛は痛くないだろうかなどの様々な不安があるものです。しかし、実際に出産を経験してみると、思ったより辛くないことが多いと言われています。
これが転じて、物事はあれこれ心配するより実行してみれば案外容易いことを「案ずるより産むが易し」と言うようになりました。
「案ずるより産むが易し」の類語
「案ずるより産むが易し」の類語・類義語としては、事態が行き詰まって困りきるとかえって思いがけない活路が開けてくることを意味する「窮すれば通ず」、どうなるかわからないことをあれこれ心配することを意味する「取り越し苦労」などがあります。
「必要は発明の母」の意味
「必要は発明の母」とは
「必要は発明の母」とは、発明は必要があるところから生まれることを意味しています。
「必要は発明の父」という言葉はない
「必要は発明の母」という言葉があるからといって、「必要は発明の父」という言葉はないと覚えておきましょう。
「必要は発明の母」の使い方
「必要は発明の母」を使った分かりやすい例としては、「必要は発明の母は私の座右の銘です」「必要は発明の母というように新規事業を立ち上げることに成功しました」「必要は発明の母という考えの人たちのおかげで便利な世の中になっている」などがあります。
「必要は発明の母」は、発明は必要があるところから生まれることを意味することわざです。人々は不便さや不必要さに迫られることによって、新しい工夫や発明が生まれるというニュアンスになります。
世の中の発明品は誰かに必要とされて初めて生まれることができます。そのため、発明にとっての母は必要なので、たとえて使われるようになりました。
「必要は発明の母」の由来
「発明は必要の母」の語源は『ガリバー旅行記』です。『ガリバー旅行記』の中に「リリパット国渡航記」という話がありました。このお話の中で、「Necessity is the mother of invention」という一文があり、これを日本語に訳すと「必要は発明の母」になります。
「必要は発明の母」の類語
「必要は発明の母」の類語・類義語としては、どん底状になった時そこから新しい道が見えてくることを意味する「陰きわまりて陽生ず」があります。
「案ずるより産むが易し」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、物事はあれこれ心配するより実行してみれば案外容易いことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「案ずるより産むが易し」は励ましや応援の意味で使われることが多い言葉です。
「必要は発明の母」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、発明は必要があるところから生まれることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「必要は発明の母」は必要に迫られると発明や工夫がなされることを表している言葉です。
「案ずるより産むが易し」と「必要は発明の母」はどちらもことわざです。
どちらの言葉を使うか迷った場合、物事はあれこれ心配するより実行してみれば案外容易いことを表現したい時は「案ずるより産むが易し」を、発明は必要があるところから生まれることを表現したい時は「必要は発明の母」と覚えておきましょう。