似た意味を持つ「ジェンダーフリー」と「ジェンダーレス」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「ジェンダーフリー」と「ジェンダーレス」という言葉は、「性別に関する考え方」という共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
ジェンダーフリーとジェンダーレスの違い
ジェンダーフリーとジェンダーレスの意味の違い
ジェンダーフリーとジェンダーレスの違いを分かりやすく言うと、ジェンダーフリーは男女差別をなくすための考え方を表現する時に使い、ジェンダーレスは男女の性差をなくすための考え方を表現する時に使うという違いです。
ジェンダーフリーとジェンダーレスの使い方の違い
一つ目のジェンダーフリーを使った分かりやすい例としては、「ジェンダーフリー教育に物申したい保護者も多いだろう」「ジェンダーフリーからずれた取り組みにならないよう意見を貰うべきだ」「ジェンダーフリーという言葉の使い方が誤りだ」などがあります。
二つ目のジェンダーレスを使った分かりやすい例としては、「ジェンダーレス化の流れはファッションの変化を見れば少しはわかる」「ジェンダーレスの動きは化粧品業界にも広まっている」「ジェンダーレストイレは海外で設置され始めている」などがあります。
ジェンダーフリーとジェンダーレスの使い分け方
ジェンダーフリーとジェンダーレスはどちらも、性別に関する考え方を指す言葉ですが、ニュアンスが若干異なります。
ジェンダーフリーは、「男だから外で働く」「女だから出世できない」など性別によって平等な立場で評価を受けられない状況から解放されるべきだという考え方を指します。性別による差別からの解放によって望んだ生き方ができる状態を目指すのが特徴です。
一方のジェンダーレスは、「男らしい」「女らしい」と言われることない商品や表現を指します。また、社会的に性差をなくそうとする考え方を意味する言葉としても使われています。
つまり、ジェンダーフリーは男女差別をなくすための考え方を指し、ジェンダーレスは男女の性差をなくすための考え方を指すという違いがあります。
また、どちらの言葉も人間の生き方に対して使われることがありますが、ジェンダーレスは上記例文のファッションや化粧品など商品や施設に対して使われることもあります。
ジェンダーフリーとジェンダーレスの英語表記の違い
ジェンダーフリーを英語にすると「gender free」「gender-blind」となり、例えば上記の「ジェンダーフリー教育」を英語にすると「gender free educational」となります。
一方、ジェンダーレスを英語にすると「genderless」となり、例えば上記の「ジェンダーレス化の流れ」を英語にすると「the trend of genderless」となります。
ジェンダーフリーの意味
ジェンダーフリーとは
ジェンダーフリーとは、社会的もしくは文化的な男女差別をなくすことを意味しています。
ジェンダーフリーの使い方
ジェンダーフリーを使った分かりやすい例としては、「ジェンダーフリー教育ではなくジェンダー平等教育と呼ばれている」「ジェンダーフリーを謳うファッションが広まっている」「ジェンダーフリーの取り組みは女性に関するものが多い」などがあります。
その他にも、「ジェンダーフリーな社会を達成するには年月を要するだろう」「報道で男女差別的発言が報じられるとジェンダーフリーへの関心が高まるのは当然だ」「ジェンダーフリーでより多くの人がちゃんとした評価を得られるといい」などがあります。
ジェンダーフリーは英語で「gender-free」と表記できますが和製英語のため、「gender equality」「gender-blind」といった表現が使われています。社会的もしくは文化的な性別にこだわらないといった意味で使われているため、日本の定義とは若干異なります。
アメリカの教育学者によって使われた言葉ですが、「ジェンダーを意識しない」という意味で使われ、むしろ男女間の差別などを常に意識するよう教育することを推奨しており、「ジェンダーフリーという考え方に反対する」という主張で使われました。
日本では2002年に多く使われ、徐々に社会的な性別を意識しない風潮を目的としていたものの、「男らしさ」や「女らしさ」といった社会的性別を無くす必要があるという意味で捉えられ始めて、男女共用のトイレなどに関する社会的な混乱を招きました。
先述の通り、アメリカで使われたことがきっかけで日本でも使われるようにはなりましたが、2006年には男女共同参画局からの通知によって、ジェンダーフリーという言葉が誤って使われる実態を受けてこの言葉が公的に使われることはなくなりました。
今日では、ひな祭りやこいのぼりなどの伝統文化を否定するような極端な意見もあることからジェンダーフリー教育が批判されることもありますが、「男だから泣くな」「女だから家事をしろ」などの考え方に否定的な人もおり、一般的にもこの言葉は使われています。
ジェンダーフリーの対義語
ジェンダーフリーの対義語・反対語としては、男女平等やジェンダー運動に反対する勢力や働きかけを意味する「ジェンダーバックラッシュ」があります。
ジェンダーフリーの類語
ジェンダーフリーの類語・類義語としては、性別による差別を受けないことを意味する「男女平等」、性別に関わりなく個性や能力を十分に発揮できるようにすることを意味する「男女共同参画」などがあります。
ジェンダーレスの意味
ジェンダーレスとは
ジェンダーレスとは、社会的もしくは文化的な男女の区別がない様子を意味しています。
ジェンダーレスの使い方
ジェンダーレスを使った分かりやすい例としては、「ジェンダーレスコスメは男性であっても購入しやすいデザインである」「女性としてのメイクではなくジェンダーレスメイクを動画で学ぶことにした」「ジェンダーレスな洋服を好む傾向がある」などがあります。
その他にも、「ジェンダーレス女子は綺麗な顔をした人が多いイメージだ」「ジェンダーレス男子とフェミ男は少し異なるだろう」「ジェンダーレスな髪型にするため美容院へと出掛けた」「ジェンダーレススタイルにする時はオーバーサイズを選ぶ」などがあります。
ジェンダーレスは英語で「genderless」と表記され、無性や性差がないことを意味する言葉です。無性を表す言葉としては使われていませんが、性別による区別がない様子を表す言葉として日本でも同じように使われています。
いわゆる「レディース」「メンズ」と区分されない商品を表すため、それらを身に付けた男性や女性を表すような「ジェンダーレス男子」「ジェンダーレス女子」という表現が使われるようになりました。
また、ジェンダーレスの考え方は職種にも影響を与え、女性の客室乗務員を指していた「スチュワーデス」や、女性の看護師を指す「看護婦」、男性の保育士を指す「保父」などの呼称にも変化が見られています。
しかし、ジェンダーレス化には問題もあり、特に「オールジェンダートイレ」はプライバシーの問題や様々な被害に遭う可能性も考えられています。そのため、男女問わず誰でも使える第三のトイレとして設置して利用者に選ばせる方法を取っているところもあります。
ジェンダーレスの類語
ジェンダーレスの類語・類義語としては、男性と女性の区別がないことを表す「ユニセックス」、出生時の生物学的性別が性自認と異なる人を指す「トランスジェンダー」、男女の性差に偏らない考え方を意味する「ジェンダーニュートラル」などがあります。
ジェンダーフリーの例文
この言葉がよく使われる場面としては、社会的もしくは文化的な男女差別をなくすことを意味する時などが挙げられます。
例文2の「ジェンダーフリーの取り組み」とは、具体的に育児休暇を設けたり、例文3のように女性のリーダー育成に注力することなどが挙げられます。
ジェンダーレスの例文
この言葉がよく使われる場面としては、社会的もしくは文化的な男女の区別がない様子を意味する時などが挙げられます。
例文4の「ユニセックス」は、男女兼用を意図して作られたものを指しますが、ジェンダーレスは元々男性向けに作られたものを女性が、女性向けに作られたものを男性が使うことを指すため、同義ではありません。
ジェンダーフリーとジェンダーレスは、どちらも「性別に関する考え方」を表します。
どちらを使うか迷った場合は、男女差別をなくすための考え方を表す場合は「ジェンダーフリー」を、男女の性差をなくすための考え方を表す場合は「ジェンダーレス」を使うと覚えておけば間違いありません。