似た意味を持つ「収支」(読み方:しゅうし)と「収益」(読み方:しゅうえき)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「収支」と「収益」という言葉は、どちらも会計用語であるという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
収支と収益の違い
収支と収益の意味の違い
収支と収益の違いを分かりやすく言うと、収支とはお金の出入りを表し、収益とは資産の増加を表すという違いです。
収支と収益の使い方の違い
一つ目の収支を使った分かりやすい例としては、「今年度の収支の差を算出する」「収支予算書の記載例を参考にする」「収支内訳表をエクセルで作成しました」「収支が一目でわかりやすい表やグラフを添付する」などがあります。
二つ目の収益を使った分かりやすい例としては、「収益が伸びる施策を検討する」「収益の勘定科目は3つに分類されます」「SNSで収益を得る仕組みを教えてください」「収益事業を行っていないのであれば法人税はかかりません」などがあります。
収支と収益の使い分け方
収支と収益という言葉は、どちらも経理や財務で用いられる会計用語であり、とてもよく似ていますが、意味や使い方には違いがあります。
収支とは、金銭の収入と支出を意味します。また、入ってきた金額から出ていった金額を差し引いた、残りの金額を指すこともあります。例えば、10万円の収入に対し、8万円の支出があった場合、「収支」は2万円となります。
収益とは、企業が商品を販売したり、サービスを提供することなどにより、利益を収めることを意味します。ほとんどは本業により得た売上ですが、配当金や不動産売却などで得た収入も含めて「収益」と言います。
つまり、収支とはお金の出入りや、手元に残ったお金を表しますが、収益とは企業活動による資産の増加を表現する言葉です。収支と収益は一字違いの言葉ですが、指し示す事柄は異なることに注意しましょう。
収支と収益の英語表記の違い
収支を英語にすると「balance of payments」「earning and expense」「income and expenditure」となり、例えば上記の「収支の差」を英語にすると「difference between one’s income and expenditures」となります。
一方、収益を英語にすると「gainings」「income」「revenue」となり、例えば上記の「収益が伸びる」を英語にすると「grow in terms of revenue」となります。
収支の意味
収支とは
収支とは、収入と支出を意味しています。
収支の読み方
収支の読み方は「しゅうし」です。同じ読み方をする熟語に「終始」や「修士」がありますが、意味が異なるため書き間違いに注意しましょう。
表現方法は「収支を合わせる」「収支がマイナス」「収支のバランス」
「収支を合わせる」「収支がマイナス」「収支のバランス」などが、収支を使った一般的な言い回しです。
収支の使い方
収支を使った分かりやすい例としては、「2ヶ月分の収支表を提出する」「期限までに収支内訳書を作成してください」「政治資金収支報告書を確認する」「損益計算書または収支計算書を提出する必要がある」などがあります。
その他にも、「家計簿の収支アプリは夫婦で共有しています」「自宅で開いている英語教室の収支はとんとんです」「部活動の収支報告書を保護者に配布する」「収支報告書のテンプレートをダウンロードする」などがあります。
収支の「収」は訓読みで「おさめる」と読み、取り入れることや取り込むことを表します。「支」は分けて与えることや分けて出すことを表し、収支とは、経済用語で金銭の収入と支出を意味します。また、物理学や化学の分野において、出入りする物質やエネルギーの質量の比較を指す言葉です。
「政治資金収支報告書」の意味
上記の例文にある「政治資金収支報告書」とは、政党や政治団体が毎年作成する、政治資金の収支と資産についての報告書です。政治資金規正法により、一年分を作成することが義務づけられています。
「国際収支」の意味
収支を用いた日本語には「国際収支」があります。国際収支とは、ある国が一定期間に行った経済取引を総合して集計したものを意味します。経常収支(貿易収支・貿易外収支)と資本収支に大別されます。
収支の類語
収支の類語・類義語としては、金銭や物品を出し入れすることを意味する「出納」、損失と利益を意味する「損益」、金銭の収支や物品の増減など財産の変動を意味する「会計」、会計や給与に関する事務を意味する「経理」などがあります。
収益の意味
収益とは
収益とは、事業などによって利益を得ることを意味しています。
表現方法は「収益が上がる」「収益が出る」「収益が見込める」
「収益が上がる」「収益が出る」「収益が見込める」などが、収益を使った一般的な言い回しです。
収益の使い方
収益を使った分かりやすい例としては、「収益性が高いビジネスモデルを提案します」「収益認識に関する会計基準に対応する」「英語教育は企業の収益のように数値化できません」「収益還元法で投資用不動産を査定する」などがあります。
その他にも、「YouTubeの収益化には条件があります」「収益物件の利回りランキングをチェックする」「昨年度より新しい収益認識基準が適用されました」「株価収益率が高ければ株価は割高です」などがあります。
収益とは、事業などによって利益を収めることを意味し、企業が商品やサービスを提供することにより、対価として受け取る金額を指す言葉です。企業が営業活動の結果として獲得する売上高と、それに付随する活動から生じる営業外収益から成るものです。税法上は「益金」と言います。
「収益還元法」の意味
上記の例文にある「収益還元法」とは、不動産から将来的に生み出される収益を、現在の価値に割り引いて不動産価格を計算する方法のことです。
「株価収益率」の意味
収益を用いた日本語には「株価収益率」があります。株価収益率とは、株価が1株当たりの純利益に対して何倍の価値になっているかを示すものです。英語にすると「Price Earnings Ratio」となり、PERと略されています。
収益の対義語
収益の対義語・反対語としては、財産や利益などを失うことを意味する「損失」、決算上の損失や赤字を意味する「欠損」などがあります。
収益の類語
収益の類語・類義語としては、事業などをして得るもうけを意味する「利益」、得をすることや利得を意味する「儲け」、総収益から原材料費などのすべての費用を差し引いた残りの金額を意味する「利潤」などがあります。
収支の例文
この言葉がよく使われる場面としては、金銭の収入と支出を表現したい時などが挙げられます。
例文4にある「収支計算書」とは、ある期間内にどれだけの収入があって、どれだけの支出があったかをまとめた表のことです。例文5の「実質収支額」とは、形式収支から、さらに翌年度へ繰り越すべき財源を差し引いた額を意味します。
収益の例文
この言葉がよく使われる場面としては、利益を収め取ること、収め取る利益を表現したい時などが挙げられます。
例文3にある収益と売上の違いは、会社が営む本業で得られたお金が「売上」であり、売上と他の活動で得られたお金を合わせたものが「収益」です。例文5の「収益性」とは、売上に占める利益の割合を意味します。
収支と収益という言葉は、どちらも会計用語です。どちらの言葉を使うか迷った場合、お金の出入りを表現したい時は「収支」を、資産の増加を表現したい時は「収益」を使うようにしましょう。