似た意味を持つ「マッチポンプ」と「自作自演」(読み方:じさくじえん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「マッチポンプ」と「自作自演」という言葉は、「自分で複数の工程を行うこと」という共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
マッチポンプと自作自演の違い
マッチポンプと自作自演の意味の違い
マッチポンプと自作自演の違いを分かりやすく言うと、マッチポンプは問題や揉め事を伴う時に使い、自作自演は問題や揉め事を伴わずとも使うという違いです。
マッチポンプと自作自演の使い方の違い
一つ目のマッチポンプを使った分かりやすい例としては、「マッチポンプらの名声がどんどん潰えていくのは自業自得だろう」「マッチポンプな恋愛はいつか身を滅ぼす」「あんなマッチポンプ男に騙されたのが悔しい」などがあります。
二つ目の自作自演を使った分かりやすい例としては、「自作自演タイプのレスバを見ていても面白くない」「自作自演乙といった言葉はネットスラングである」「誘拐事件を自作自演した疑いがあるというニュースは本当に存在するのだろうか」などがあります。
マッチポンプと自作自演の使い分け方
マッチポンプと自作自演はどちらも、自分自身で複数の工程を全て一人で行うことを意味する言葉ですが、若干意味が異なります。
マッチポンプは、自分で問題や揉め事を起こし、それを自分で解決することで報酬や利益を得ることや、そうしようとする人を表す言葉です。
一方の自作自演は、計画したことを実行まで自分で行うことで利益を生み出そうとすることを表す言葉ですが、自作した作品を自分で演じることや演奏することを表す言葉としても使われています。
つまり、どちらも利益のために一人で行うことを表しますが、マッチポンプは問題や揉め事を伴う場合にのみ使い、自作自演は必ずしも問題や揉め事を伴うわけではないという違いがあります。
マッチポンプと自作自演の英語表記の違い
マッチポンプに当たる英語はないため、便宜主義者を表す「opportunists」が用いられ、例えば上記の「マッチポンプらの名声」を英語にすると「the fame of opportunists」となります。
一方、自作自演を英語にすると「sock puppet」となり、例えば上記の「自作自演タイプ」を英語にすると「sock puppet stuff」となります。
マッチポンプの意味
マッチポンプとは
マッチポンプとは、自分で揉め事を起こしてから収拾を持ちかけて報酬を得ることを意味しています。
マッチポンプの使い方
マッチポンプを使った分かりやすい例としては、「マッチポンプ商法で炎上したらしい話を聞いた」「炎上商法で人気を集めそれを収拾することで利益を得るマッチポンプのようにしか思えない」「後輩のマッチポンプ的な立ち回りが気に入らない」などがあります。
その他にも、「冬の寒い場所で焚火に当たって暖を取るマッチポンプ的行為でしか得られない利益がある」「こたつで食べるアイスは定番のマッチポンプだと思う」「他者に迷惑を掛けないマッチポンプ人間であればサバイバルに向いている」などがあります。
マッチポンプは英語の「match」とオランダ語の「pomp」を組み合わせた和製英語であるため、日本以外でマッチポンプという言葉は使われていません。マッチで火を付けて、それを自らポンプの水で消火することを表しています。
1961年に衆議院本会議にて「マッチポンプ方式」という言葉が使われたり、1966年に自民党議員の不祥事が相次いで発覚した「黒い霧事件」に関する記事で朝日新聞に「マッチポンプ」という言葉が掲載されたことなど、徐々に使われるようになりました。
今日では、アニメ「ゆるキャン△」にて、あえて不便を感じる場面に直面してそれを解決することを表す言葉として用いられたことから、上記例文の「冬の寒い場所で焚火に当たって暖を取る」といった行為もマッチポンプ的行為と考えられています。
マッチポンプの類語
マッチポンプの類語・類義語としては、自分自身で問題を解決することを意味する「自己解決」、根本的な処置を考えずにその場その場で問題を処理していく考えを意味する「便宜主義」などがあります。
自作自演の意味
自作自演とは
自作自演とは、計画から実行まで全て自分一人で行うことを意味しています。
その他にも、自分自身で作った台本や楽曲を、自分で演じたり演奏することも意味します。
自作自演の使い方
「自作自演で得票数を伸ばすのは言語道断である」「複数のSNSアカウントで自作自演するとは思ってなかった」「自作自演行為で他者が濡れ衣を着せられた」などの文中で使われている自作自演は、「計画から実行まで一人で行うこと」の意味で使われています。
一方、「クラシック音楽の作曲家は自作自演であることがほとんどだ」「自作自演を行う歌手は非常に多い」「即興劇は自作自演といっても過言ではないだろう」などの文中で使われている自作自演は、「製作から演じるまで一人で行うこと」の意味で使われています。
自作自演は、古代ギリシア時代に楽器に合わせて詩などを作り詠み歩いた吟遊詩人らの行為を示す言葉として使われてきました。今日ではシンガーソングライターといった言葉に置き換えて使われ、マイナスイメージを持つ自作自演とは別のものとして区別しています。
インターネットの普及によって、一人の人間が複数の人間になりすまして発言をすることで、自分の支持者を得たように見せかけ、他の賛同者を得るなどが簡単にできるようになり、自作自演という言葉がマイナスイメージを持って使われるようになります。
上記例文の「自作自演の強盗事件」など、実際の犯罪でも行われることがあり、この場合は「軽犯罪法違反」などの罪に問われることがあるとされています。
自作自演の類語
自作自演の類語・類義語としては、一人で数人の役を演じ分けて芝居を行うことを意味する「一人芝居」、事実らしく見せながらも実際は演技であるものを意味する「やらせ」などがあります。
マッチポンプの例文
この言葉がよく使われる場面としては、自分で揉め事を起こしてから収拾を持ちかけて報酬を得ることを意味する時などが挙げられます。
例文4や例文5のように、あえて不便や不利益を感じる場面に直面して、それを解決して利益を得る行為に対しても使われています。
自作自演の例文
この言葉がよく使われる場面としては、計画から実行まで全て自分一人で行うことを意味する時などが挙げられます。
例文4や例文5のように、楽曲や舞台劇などの作品の製作から演じるまでを一人で行うことを意味する言葉でもあります。
マッチポンプと自作自演は、どちらも「自分で複数の工程を行うこと」を表します。どちらを使うか迷った場合は、問題や揉め事を伴う場合は「マッチポンプ」を、問題や揉め事を伴わない場合は「自作自演」を使うと覚えておけば間違いありません。