【泥酔】と【酩酊】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「泥酔」(読み方:でいすい)と「酩酊」(読み方:めいてい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「泥酔」と「酩酊」という言葉は、酒にひどく酔うことという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




泥酔と酩酊の違い

泥酔と酩酊の意味の違い

泥酔と酩酊の違いを分かりやすく言うと、泥酔は意識が混濁するほどの酔いを表現する時に使い、酩酊は意識はまだある程度の酔いを表現する時に使うという違いです。

泥酔と酩酊の使い方の違い

一つ目の泥酔を使った分かりやすい例としては、「彼は人のお祝いのパーティーなのによく泥酔する」「店を夜通しはしごして泥酔したまま帰路についた」「泥酔者による運転で命が奪われる事例も少なくなかった」などがあります。

二つ目の酩酊を使った分かりやすい例としては、「酩酊するほど飲むなんてよほどのことがあったのだろう」「顔から酩酊していることが分かる」「一種の酩酊感のように感じるが単なる疲労感とも取れる」などがあります。

泥酔と酩酊の使い分け方

泥酔と酩酊はどちらも酒にひどく酔うことを意味する言葉ですが、程度が若干異なります。

泥酔時は脳や運動機能に影響に大きく影響を与え、意識がはっきりしなかったり、発する言葉が理解できなかったり、歩くことはもちろん立つこともできないような状態を指しますが、酩酊時は会話にならなかったり、千鳥足になる程度で済んでいる状態を指します。

また、アルコール血中濃度にも違いがあり、0.30%から0.40%の場合を「泥酔期」と言うのに対して、0.11%から0.15%を酩酊初期、0.16%から0.30%までを「酩酊期」と言います。

つまり、泥酔の方が酩酊よりも酒による影響を大きく受けて酔っぱらった状態と言えます。これが泥酔と酩酊の違いです。

泥酔と酩酊の英語表記の違い

泥酔を英語にすると「dead drunk」となり、例えば上記の「泥酔する」を英語にすると「get dead drunk」となります。一方、酩酊を英語にすると「roaring drunk」となり、例えば上記の「酩酊する」を英語にすると「get roaring drunk」となります。

泥酔の意味

泥酔とは

泥酔とは、意識がはっきりとしなくなるほど酷く酔っぱらうことを意味しています。

泥酔の読み方

泥酔は「でいすい」という読み方をしますが、「でいよい」「どろよい」「どろすい」など他の読み方をすることはありません。

表現方法は「泥酔する」「泥酔した人」「泥酔状態」

「泥酔する」「泥酔した人」「泥酔状態」などが、泥酔を使った一般的な言い回しです。

泥酔の使い方

泥酔を使った分かりやすい例としては、「泥酔したのか昨晩の記憶がほとんど抜け落ちている」「同僚や知人と共に近所の居酒屋で泥酔するほど飲んでいた」「自分が泥酔してしまっては周りの皆を家に帰すことができないと不安になる」などがあります。

その他にも、「泥酔状態では何をやってもおかしくない」「突然部屋に入ってきた姉は泥酔に近い様子だった」「彼女は立てない様子だったがあれも演技だったのだろうか」「泥酔者に一人で行動させてはいけない」などがあります。

泥酔の語源

泥酔の泥は、唐時代の中国の書物である『異物志』に記載されている「泥」という架空の生き物に由来しています。この虫は海底に住んでいて、地上に打ち上げられた時にはのたうち回り、骨を持たないこともあって一山の泥のようになると言われています。

また、中国の杜甫によって「酔如泥」と詩が残されたこともあり、酒に酔った姿がまるで泥のようであるといった例えが、平安時代日本に残された『宇津保物語』でも同じように使われています。

泥酔の類語

泥酔の類語・類義語としては、酒に酔って乱れることを意味する「狂酔」、多量の酒を飲むことを意味する「大酒」(読み方:たいしゅ)、正体がなくなるほど酒に酔うことを意味する「乱酔」、などがあります。

泥酔の対義語

泥酔の対義語・反対語としては、酒に酔っていない普段の状態を意味する「素面」、意識が確かな状態を意味する「正気」があります。

酩酊の意味

酩酊とは

酩酊とは、酒にひどく酔うことを意味しています。

酩酊の読み方

酩酊は「めいてい」という読み方をし、「めいでい」と読まれていたこともありますが、「めいてい」という読み方が今日では一般的です。

表現方法は「酩酊するまで飲む」「酩酊した」

「酩酊するまで飲む」「酩酊した」などが、酩酊を使った一般的な言い回しです。

酩酊の使い方

酩酊を使った分かりやすい例としては、「異常酩酊はいわゆる酒乱だと聞いたが一気に馴染みがあるような感覚になってしまった」「酩酊した彼らはまだ酒を飲み続けようとしていた」「かなり酩酊した彼女は誰かに支えられていた」などがあります。

その他にも、「味わったことがない酩酊感のある音楽がまだまだある」「強烈な酩酊感を誘う絵画はしばらく展示されているらしい」「不思議な酩酊感をもたらしてくれるパフォーマンスに観衆が沸いた」などがあります。

「異常酩酊」の意味

上記例文の「異常酩酊」とは、飲酒量や血中濃度で想定されていないほどの感情の起伏の激しさや強い意識障害を伴う酔い方を指す言葉です。一方で、飲酒量が増えるにつれて徐々に酔っていく通常の酔い方を「単純酩酊」と言います。

「酩酊状態」の意味

また、酒だけではなく医薬品ではない薬物で脳が麻痺するような影響を受けた後の状態を「酩酊状態」などと言い、音楽などの芸術作品に心酔するような状態に対して使われることもあります。

酩酊の類語

酩酊の類語・類義語としては、ひどく酒に酔うことを意味する「大酔」(読み方:たいすい)、十分に酒に酔うことを意味する「酣酔」(読み方:かんすい)などがあります。

酩酊の対義語

酩酊の対義語・反対語としては、いくらか酒に酔っている状態を意味する「ほろ酔い」、酒に少し酔うことを意味する「微醺」があります。

泥酔の例文

1.最近酒を飲んでいなかったからか、以前よりも少ない量で酔っぱらってしまい、友人が少し席を離れて戻ってきた頃には泥酔状態だったらしい。
2.泥酔して泣きながら近況を報告してくれた友人は、以前よりも仕事や人間関係に悩んでいたようで、背中を擦りながら話を聞くことしかできなかった。
3.私は泥酔するほど飲んだことがないため、記憶を無くしたり歩けなくなるほど飲んだ人の気持ちが一切わからない。
4.交番に泥酔した会社員が転がり込んできたため、何とか自宅の住所を聞き出して連れて帰ったらしい話を世間話で聞いた。
5.一晩ならともかく二晩続けて泥酔する人の健康状態が心配になるため、お酒を控えるよう注意した。
6.若いころのお酒の飲み方と言ったらめちゃくちゃで、お酒を楽しむというよりも泥酔するまで飲まないと気が済まないという感じでした。
7.父が泥酔状態で飲み屋からの帰り側溝に落ち、通りかかった人に助けてもらった。幸い大事には至らなかったが母は激怒し今もほとんど口をきいていない。
8.朝起きてみると知らないうちのベッドで寝ていた。思い出そうとしても、泥酔してたのか昨夜の記憶は全くなかった。
9.私が泥酔した人間が苦手なのは、子供の頃に父親が酔っぱらって帰ってくるその姿が苦手だったからだろう。
10.友人は泥酔すると誰彼構わず電話をかける癖があって、先週も夜中に掛けてこられてので本当に迷惑しているよ。

この言葉がよく使われる場面としては、意識がはっきりとしなくなるほど酷く酔っぱらうことなどが挙げられます。

例文4のように家に自分で返れないほどであることが描かれている場合には、酩酊など他の言葉に置き換えて使うことはできません。

酩酊の例文

1.酩酊期になると、まず気分が高揚して楽しい心地になるところから始まり、徐々に感情の起伏が激しくなったり口数が増える。
2.職場の先輩は最近寝不足が続いているようで、頭がぼんやりして会話もあまりままならない状態になっていたが、まるで酩酊状態のようだ。
3.遅れて同窓会に参加したらすでに酩酊している者がちらほらいて、今晩の世話役は自分かと苦笑せざるを得なかった。
4.自分の家でどのくらいの量で自分が酩酊するかの度合いを確かめることは非常に大切で、それに付き合ってくれる友人などがいると尚よい。
5.このアーティストのアルバムに収録されている作品はどれも酩酊感を誘うメロディで耳なじみが良いと感じている。
6.父親が酩酊するまで飲んでも、しっかりと家に帰ることができるのは、一体どういうことなのだろう。
7.知り合いは酒を飲んで酩酊状態なのにもかかわらず、車を運転をしようとしていたので、必死で止めました。
8.初めてコンサートに行ったときは、あまりに心地よい音楽に一種の酩酊感にも似た感覚に襲われました。
9.トラックの運転手は日常的に飲酒運転をしており、事故当時は酩酊状態で立ち上がれないほどであった。
10.彼はホテルの一室で倒れているが発見され、かなり酩酊していた。私は変な薬でも飲まされたのではないかと疑った。

この言葉がよく使われる場面としては、酒にひどく酔うことなどが挙げられます。

例文2の酩酊状態は、目を覚ましても頭がぼんやりしている状態を「睡眠酩酊」と言います。

また、「酩酊感」は酒に酔うかのような良い心地や、対象に心酔している状態を指す時にも使うため、例文5の音楽のように酒以外対しても使うことができます。

泥酔と酩酊どちらを使うか迷った場合は、意識が混濁するほどの酔いを表す場合は「泥酔」を、意識はまだあるものの千鳥足になるような酔いを表す場合は「酩酊」を使うと覚えておけば間違いありません。

言葉の使い方の例文
編集者
株式会社セラーバンク/例文買取センター運営
例文買取センター