似た意味を持つ「デッドライン」と「レッドライン」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「デッドライン」と「レッドライン」という言葉は、「超えてはならない一線」という共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
デッドラインとレッドラインの違い
デッドラインとレッドラインの意味の違い
デッドラインとレッドラインの違いを分かりやすく言うと、デッドラインはビジネスに関する表現であり、レッドラインは外交に関する表現であるという違いです。
デッドラインとレッドラインの使い方の違い
一つ目のデッドラインを使った分かりやすい例としては、「デッドラインが近づいているため全員が慌ただしくしている」「デッドラインを延期できないか相談する」「医療従事者に負担が掛かるならばデッドラインの設定も視野に入れるべきだ」などがあります。
二つ目のレッドラインを使った分かりやすい例としては、「レッドラインの向こうへ足を踏み入れれば命の保証はできない」「金銭的な支援もレッドラインとして扱われる」「彼らのやり方はレッドラインすれすれのように思える」などがあります。
デッドラインとレッドラインの使い分け方
デッドラインとレッドラインは、どちらも超えてはならない一線を意味する言葉として使われていますが、用いられる場面が異なります。
デッドラインは、最終期限や、物事や人間の限界線を意味する言葉として使われています。もともとは、その一線を越えたら命を失う線を指していましたが、日本ではこの意味で使われることはあまりありません。
一方のレッドラインは、国の領土などの物理的に許可なく超えてはならない一線や、施策や政策などにおける譲れない一線を表す言葉として使われている言葉です。
つまり、デッドラインは締め切りや許容量の限界などビジネスシーンで多く使われ、レッドラインは外交や軍事に関する言葉として使われるという違いがあります。
デッドラインとレッドラインの英語表記の違い
デッドラインを英語にすると「deadline」となり、例えば上記の「デッドラインが近づいている」を英語にすると「the deadline is drawing near」となります。
一方、レッドラインを英語にすると「red line」となり、例えば上記の「レッドラインの向こう」を英語にすると「past the red line」となります。
デッドラインの意味
デッドラインとは
デッドラインとは、越えてはならない最後の線や限界を意味しています。
その他にも、物事の限界線を意味する言葉として使われています。
表現方法は「デッドラインを過ぎる」「デッドラインを設定する」「デッドラインが近い」
「デッドラインを過ぎる」「デッドラインを設定する」「デッドラインが近い」などが、デッドラインを使った一般的な言い回しです。
デッドラインの使い方
「この案件のデッドラインを提示された上で引き受けた」「デッドラインがなければだらだらと作業をしてしまう」「友人を招くことで部屋の片付けのデッドライン設定ができる」などの文中で使われているデッドラインは、「締め切り」の意味で使われています。
一方、「水位がデッドラインを越えていたらどうなったのだろうか」「日常生活においてデッドラインまで飲まず食わずの状況を続けるのは無理がある」などの文中で使われているデッドラインは、「限界」の意味で使われています。
デッドラインは英語で「deadline」と表記され、「締め切り時間」「最終期限」を表す言葉として使われており、日本語でも同じように使われています。
1861年に起きたアメリカの南北戦争中、捕虜収容所の周囲を線で囲み、それを越えた捕虜は命を奪われるという制度が運用されていましたが、その線が「deadline」と呼ばれていました。
この「命を落とさないよう絶対に越えてはいけない線」という意味が転じて、「絶対に超えてはならない期日」「納期」を表す言葉として使われるようになりました。
また、上記例文の「水位がデッドラインを越える」「デッドラインまで飲まず食わず」などのように、物事や人間の限界や許容量を表す言葉としても使われています。
デッドラインの対義語
デッドラインの対義語・反対語としては、尽きることのない様子を意味する「無尽蔵」、制限や限界のない様子を意味する「無限」があります。
デッドラインの類語
デッドラインの類語・類義語としては、「ボーダー」定められた時刻を意味する「刻限」、物事の程度や範囲がこれ以上に及ぶことができないという境目を意味する「限度」などがあります。
レッドラインの意味
レッドラインとは
レッドラインとは、越えてはならない一線を意味しています。
その他にも、譲れない一線を意味する言葉として使われています。
レッドラインの使い方
「その国は隣国とレッドラインを探り続けていた時代もある」「レッドラインを超えて侵攻したとなれば大問題だ」「レッドライン」などの文中で使われているレッドラインは、「物理的な境界線」の意味で使われています。
一方、「軍事支援がその国にとってのレッドラインだと考えられているのだろうか」「安全保障のためにもレッドラインを超えないよう警告していた」などの文中で使われているレッドラインは、「施策や政策における一線」の意味で使われています。
レッドラインは英語で「red line」「redline」と表記され、鉄道の路線の名称として使われていることもある言葉です。「赤い線」「変更箇所に印をつける」という意味でも使われていますが、日本語で「印をつける」という意味で使うことはありません。
日本では、軍事や外交において使われることが多い言葉で、上記例文の「隣国とレッドラインを探る」などの使い方で物理的な一線を表し、「軍事支援がその国にとってのレッドライン」などの使い方で施策などにおける譲れない一線を表します。
不動産や金融関連の言葉としても用いられ、2015年にギリシャで、2020年に中国でそれぞれのレッドラインの導入や強化をしています。似た言葉に「レッドライニング」がありますが、これは融資対象から除外する地域を赤線で囲み、差別することも意味します。
また、アイスホッケーにおけるセンターラインや、アメリカの地下鉄路線名やタイ国有鉄道の路線名としても用いられており、マンガ『ワンピース』ではレッドラインという名前の島が存在するなど、様々な名称として使われています。
レッドラインの類語
レッドラインの類語・類義語としては、生死に関わる重大な境を意味する「死線」、国と国との境界線を意味する「国境」があります。
デッドラインの例文
この言葉がよく使われる場面としては、越えてはならない最後の線や限界を意味する時などが挙げられます。
例文1から例文3のように、締め切りを意味するデッドラインは、英語で「DL」「D/L」と省略されることもあります。
レッドラインの例文
この言葉がよく使われる場面としては、越えてはならない一線を意味する時などが挙げられます。
例文1から例文3は物理的な境界を表し、例文4は施策や政策的に譲れない一線を表しています。
また、例文5のように、金融関連の言葉としても使われています。
デッドラインとレッドラインは、どちらも「超えてはならない一線」を表します。どちらを使うか迷った場合は、ビジネスに関する表現である場合は「デッドライン」を、外交に関する表現である場合は「レッドライン」を使うと覚えておけば間違いありません。