似た意味を持つ「悪辣」(読み方:あくらつ)と「辛辣」(読み方:しんらつ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「悪辣」と「辛辣」という言葉は、どちらも「他人に対して厳しいこと」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
悪辣と辛辣の違い
悪辣と辛辣の意味の違い
悪辣と辛辣の違いを分かりやすく言うと、悪辣とは性質や態度が非常に悪いことを表し、辛辣とは言動や表現が非常に厳しいことを表すという違いです。
悪辣と辛辣の使い方の違い
一つ目の悪辣を使った分かりやすい例としては、「これらは悪辣なやり方で集めた汚い金だ」「悪辣無比な犯行は断じて許されない」「そんな悪辣な人間にはなりたくない」「悪辣非道な霊感商法の罠に掛かってしまった」などがあります。
二つ目の辛辣を使った分かりやすい例としては、「辛辣な皮肉を交えたジョークを飛ばす」「辛辣な風刺画で現政権を批判する」「渾身の作品を辛辣に批判されてしまった」「シニア社員への評価が辛辣すぎる」などがあります。
悪辣と辛辣の使い分け方
悪辣と辛辣という言葉は、どちらも他人に対して厳しいことや惨いことを表しますが、意味や使い方には違いがあります。
悪辣とは、情け容赦もなくたちが悪いことを意味し、性質や態度があくどいことを表す言葉です。上記の例文にある「悪辣無比」とは、他と比べるものがないほど悪質であること、悪さが尋常ではないことを意味する四字熟語です。
辛辣とは、少しも容赦せず非常に厳しいことを意味し、主に他人への言動や表現が手厳しいことを表す言葉です。「辛辣な皮肉」とは、非常にきつい皮肉のことであり、相手を非難して傷つけようとするニュアンスがあります。
つまり、悪辣とは性質や態度があくどいことを意味し、辛辣とは言動や表現が手厳しいことを意味する言葉です。二つの言葉はとても似ていますが、意味が異なるので区別して使い分けるようにしましょう。
悪辣と辛辣の英語表記の違い
悪辣を英語にすると「vicious」「crafty」「unscrupulous」となり、例えば上記の「悪辣なやり方」を英語にすると「an unscrupulous way」となります。一方、辛辣を英語にすると「bitter」「sharp」「biting」となり、例えば上記の「辛辣な皮肉」を英語にすると「bitter irony」となります。
悪辣の意味
悪辣とは
悪辣とは、情け容赦もなくたちが悪いこと、あくどいことを意味しています。
悪辣の読み方
悪辣の読み方は「あくらつ」です。誤って「あくらー」「おらつ」などと読まないようにしましょう。
悪辣の使い方
悪辣を使った分かりやすい例としては、「ネット上には悪辣な広告が多い」「誹謗中傷の悪辣さに頭を悩ませています」「悪辣な環境により心身の健康が損なわれる」「戦時中は悪辣な略奪行為が日常茶飯事でした」などがあります。
その他にも、「悪辣非道のテロ行為を見逃すことはできない」「悪辣な手段で相手を追い込んでいく」「彼女の悪辣さが悪目立ちしすぎている」「彼は悪辣なエゴイストだから近づかない方がいい」などがあります。
悪辣とは、極めてたちの悪いさま、やり方がひどいさまを意味します。自分の目的を達するためには、どんな酷い事も平気でするというように、たちが悪いやり方や性質であることを表します。日常会話ではあまり使われず、文章語として使用されることが多い硬い表現です。
四字熟語「悪辣非道」の意味
悪辣を用いた四字熟語には「悪辣非道」(読み方:あくらつひどう)があります。悪辣非道とは、残酷で人の道に外れたむごいことを平気で行うことを意味します。「非道」は、人としてのあり方や生き方にはずれていることです。
悪辣の対義語
悪辣の対義語・反対語としては、性質が穏やかで素直なことを意味する「善良」、人間の生まれつきの性質は善であるということを意味する「性善」などがあります。
悪辣の類語
悪辣の類語・類義語としては、心がねじ曲がって悪いことを意味する「邪悪」、心がねじけていて悪いことを意味する「奸悪」、性質の悪いことを意味する「性悪」、心の内に悪意を隠しているさまを意味する「陰険」などがあります。
辛辣の意味
辛辣とは
辛辣とは、言うことや他に与える批評の、きわめて手厳しいさまを意味しています。
辛辣の読み方
辛辣の読み方は「しんらつ」です。誤って「しんらー」「かららつ」などと読まないようにしましょう。
表現方法は「辛辣な」「辛辣な人」「辛辣すぎる」
「辛辣な」「辛辣な人」「辛辣すぎる」などが、辛辣を使った一般的な言い回しです。
辛辣の使い方
辛辣を使った分かりやすい例としては、「やたら辛辣な態度で接してくる人がいる」「辛辣な人の対処法を教えてください」「英語教師の辛辣なコメントに落ち込んでいる」「辛辣なるグルメ評論家の評価が気になる」などがあります。
その他にも、「あなたの皮肉は辛辣すぎる」「メディアの辛辣批評に眉をひそめる」「読者から辛辣な意見が寄せられた」「調子に乗っている彼氏に辛辣な言葉を浴びせる」「ネットの掲示板に辛辣で草とコメントしました」などがあります。
辛辣の「辛」は訓読みで「からい」「つらい」と読み、舌を刺すような味や身を突き刺すくらいに厳しいことを表す漢字です。ぴりりと辛いことや厳しいことを表す「辣」と結び付き、辛辣とは、他人への言動や表現がとても厳しいことを意味します。
辛辣の由来
辛辣の語源は、中国語に由来します。 中国語にも「辛辣」という単語があり、日本とほぼ同じように「味が辛い、言論などが厳しい」という意味で使われています。
「辛辣で草」の意味
辛辣という言葉は、「辛辣で草」という表現でネット用語にもなっています。「草」は、インターネット上の掲示板やSNSなどでよく見られる「笑い」を表すネットスラングで、「辛辣で草」は「辛口コメントで笑える」という意味で使用されています。
辛辣の対義語
辛辣の対義語・反対語としては、性質や態度が物柔らかであることを意味する「柔和」、性質などが落ち着いていて優しく穏やかなことを意味する「温和」などがあります。
辛辣の類語
辛辣の類語・類義語としては、働きかけなどが非常に激しいことや手厳しいことを意味する「痛烈」、冷ややかで厳しく人間の感情が入る余地のないさまを意味する「冷厳」、非常に厳しいさまや過酷なさまを意味する「シビア」などがあります。
悪辣の例文
この言葉がよく使われる場面としては、たちが悪い仕方や性質であるさまを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、悪辣の慣用的な言い回には「悪辣な人」「悪辣非道」「悪辣な手段」などがあります。悪辣な人とは、他人に対して情け容赦がなく、非常に性格や態度が悪い人を意味します。
辛辣の例文
この言葉がよく使われる場面としては、表現や見方などが非常に手厳しいことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、辛辣の慣用的な表現には「辛辣な人」「辛辣すぎる」「辛辣で草」などがあります。「辛辣な人」とは、相手に対する見方や言い方がとても手厳しい人のことを意味します。
悪辣と辛辣という言葉は、どちらも「他人に対して厳しいこと」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、たちが非常に悪いことを表現したい時は「悪辣」を、非常に手厳しいことを表現したい時は「辛辣」を使うようにしましょう。