似た意味を持つ「締結」(読み方:ていけつ)と「契約」(読み方:けいやく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「締結」と「契約」という言葉は、どちらも「約束を取り決めること」を表しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
締結と契約の違い
締結と契約の意味の違い
締結と契約の違いを分かりやすく言うと、締結とは契約や条約などを結ぶことを表し、契約とは当事者間の合意によって成立する約束を表すという違いです。
締結と契約の使い方の違い
一つ目の締結を使った分かりやすい例としては、「契約締結日や効力発生日を明確に設定する」「締結日と契約日に違いはありますか」「長期継続契約を締結することにしました」「企業との連携協定を締結している」などがあります。
二つ目の契約を使った分かりやすい例としては、「契約どおりに業務を遂行してください」「正社員と契約社員は立場が違います」「契約書の割印の位置を確認してください」「プロ野球の契約更改交渉が始まりました」などがあります。
締結と契約の使い分け方
締結と契約という言葉は、主にビジネスシーンで使用され、約束事を取り込めることを表しますが、意味や使い方には違いがあります。
締結とは、「締結する」「締結される」などの使い方で、契約や条約あるいは協定などを結ぶことを意味します。「契約締結」とは、契約の内容を当事者のすべてが完全に合意していることを表しています。
契約とは、取り交わす約束であり、複数の当事者間において意思表示の合致によって成立する法律行為を意味します。契約は法律上の効果を発生させるものであり、契約によって発生した義務を果たすことを「契約履行」、契約を当事者の一方が守らないことを「契約不履行」と言います。
つまり、契約は当事者間で取り交わした約束であり、締結はその約束を結ぶことです。「契約締結」のようにセットで使われることが多くありますが、意味は異なるので区別して使い分けるようにしましょう。
締結と契約の英語表記の違い
締結を英語にすると「conclusion」「execution」「fastening」となり、例えば上記の「締結日」を英語にすると「the date of execution」となります。
一方、契約を英語にすると「contract」「agreement」「testament」となり、例えば上記の「契約どおりに」を英語にすると「as contracted」となります。
締結の意味
締結とは
締結とは、条約・協定・契約などを結ぶことを意味しています。
その他にも、「かたく締めて結ぶこと」の意味も持っています。
締結の読み方
締結の読み方は「締結」です。誤って「しけつ」「しゅうけつ」などと読まないようにしましょう。
表現方法は「締結する」「ボルト締結」「ねじ締結」
「締結する」「ボルト締結」「ねじ締結」などが、締結を使った一般的な言い回しです。
締結の使い方
「英語教室の受講契約を締結しました」「スピーディに契約締結完了できます」「契約締結日および着工日の取扱いを変更します」などの文中で使われている契約は、「条約・協定・契約などを結ぶこと」の意味で使われています。
一方、「ボルト締結の工学的知識を広める」「ボルトナット締結の母材を引きはがす」「締結部品が足りません」「締結用ねじの設計にはいくつかのポイントがあります」などの文中で使われている契約は、「かたく締めて結ぶこと」の意味で使われています。
締結の「締」は訓読みで「しめる」「むすぶ」と読み、締めくくって一つにまとめることや、約束などを結ぶことを表します。結びつけることを表す「結」と組み合わさり、締結とは「かたく締めて結ぶこと」、転じて「条約や契約をとりむすぶこと」を意味する熟語です。
「契約締結日」の意味
締結を用いた日本語には、「契約締結日」があります。契約締結日とは、文字どおり実際に契約を締結した日付のことです。契約内容の効力が発生する日付である「契約開始日」とは異なることに注意しましょう。
締結の対義語
締結の対義語・反対語としては、契約当事者の一方によって契約を初めからなかったものとすることを意味する「解除」、契約や取り決めなどを一方的に取り消すことを意味する「破棄」などがあります。
締結の類語
締結の類語・類義語としては、利害の対立する二者が同意に達して約束を結ぶに至ることを意味する「妥結」、契約が成り立つことを意味する「成約」、条約や契約を結ぶことを意味する「締約」などがあります。
契約の意味
契約とは
契約とは、二人以上の当事者の意思表示の合致によって成立する法律行為。売買・交換・贈与・貸借・雇用・請負・委任・寄託などを意味しています。
その他にも、「約束を取り交わすこと、その約束」「ユダヤ教・キリスト教に特徴的な思想で、救いの恩恵に関して神と人間との間で交わされた約束」の意味も持っています。
契約の読み方
契約の読み方は「けいやく」です。誤って「きつやく」「けつやく」などと読まないようにしましょう。
表現方法は「身近な契約」「契約を締結する」「契約を結ぶ」
「身近な契約」「契約を締結する」「契約を結ぶ」「契約を交わす」「契約を巻く」などが、契約を使った一般的な言い回しです。
契約の使い方
「契約の自動更新は違法ですか」「収入印紙を契約書に貼付する」「契約不適合責任は特約で免責できます」「英文契約書の読み方を指南する」「契約社員と派遣社員の違いを説明できますか」などの文中で使われている契約は、「意思表示の合致によって成立する法律行為」の意味で使われています。
一方、「契約結婚をテーマにした韓国ドラマにハマってます」の文中で使われている契約は「約束を取り交わすこと」の意味で、「聖書には七つの契約について書かれいる」「契約神学に興味があります」などの文中で使われている契約は「神と人間との間で交わされた約束」の意味で使われています。
契約とは、複数の意味をもつ言葉ですが、主に法律用語として、二人以上の当事者の申込みや承諾という意思表示の合意によって成立する行為の意味で使用されています。その内容は原則として当事者の自由であるが、民法は特に売買、贈与、賃貸借、請負、寄託など13種の典型契約を規定しています。
「随意契約」の意味
契約を用いた日本語には「随意契約」(読み方:ずいいけいやく)があります。随意契約とは、入札やせり売りなどの競争の方法によらず、任意に適当と思われる相手方を選んで結ぶ契約のことです。「随契」(読み方:ずいけい)と略称されることがあります。対する言葉には「競争契約」があります。
契約の対義語
契約の対義語・反対語としては、当事者の一方の意思表示により消滅させることを意味する「解約」、契約を取り消すことを意味する「破約」などがあります。
契約の類語
契約の類語・類義語としては、当事者の間で取り決めることを意味する「約束」、固く誓うことを意味する「誓約」、協議した上で約束をとりむすぶことを意味する「協約」、公衆に対して約束することを意味する「公約」などがあります。
締結の例文
この言葉がよく使われる場面としては、条約や契約をとり結ぶこと、かたく締めて結ぶことを表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文3にある締結は、「条約や契約をとり結ぶこと」の意味で用いられています。例文5の締結は、「かたく締めて結ぶこと」の意味で用いられています。
契約の例文
この言葉がよく使われる場面としては、申込みと承諾という意思表示の合致によって成立する法律行為、約束すること、ユダヤ教やキリスト教において神が人と結ぶ約束を表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文4の契約は、意思表示の合致によって成立する法律行為の意味で用いられています。例文5の契約は、「神が人と結ぶ約束」の意味で使用されています。
締結と契約という言葉は、どちらも「取り決めること」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、契約や条約などを結ぶことを表現したい時は「締結」を、当事者の合意によって成立する約束を表現したい時は「契約」を使うようにしましょう。