似た意味を持つ「狩猟」(読み方:しゅりょう)と「捕獲」(読み方:ほかく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「狩猟」と「捕獲」という言葉は、どちらも「動物を捕まえること」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
狩猟と捕獲の違い
狩猟と捕獲の意味の違い
狩猟と捕獲の違いを分かりやすく言うと、狩猟とは道具を用いて動物を捕まえることを表し、捕獲とは生きた状態で動物を捕まえることを表すという違いです。
狩猟と捕獲の使い方の違い
一つ目の狩猟を使った分かりやすい例としては、「狩猟期は山に立ち入らないように」「狩猟免許には4つの種類があります」「くくり罠で行う狩猟が面白い」「狩猟の適正化に関する法律を調べる」などがあります。
二つ目の捕獲を使った分かりやすい例としては、「調査のためにクジラを捕獲する」「猫の捕獲器の貸し出しを行っています」「捕獲岩をたくさん含むマグマもあります」「野鳥を捕獲するためには特別な許可が必要です」などがあります。
狩猟と捕獲の使い分け方
狩猟と捕獲という言葉は、どちらも野生の動物や鳥などを捕まえることを表しますが、厳密な意味や使い方には違いがあります。
狩猟とは、野生鳥獣を道具を用いて捕える行為を意味します。具体的な道具は、銃・網・罠などが挙げられ、これらは「猟具」と言います。法律によって捕獲を認められた狩猟鳥獣には、キジ、ヤマドリ、イノシシ、クマなどが挙げられます。
捕獲とは、動物などを捕らえることですが、特に「生け捕り」を意味する言葉です。捕獲の目的は、動物を生存状態で拘束することです。狩猟の言葉にあるような、道具の使用についての定義はありません。
つまり、狩猟とは道具を用いて動物を捕まえることであり、動物の生存は問いません。捕獲とは、生きた状態で動物を捕まえることであり、道具の使用は問いません。これらが、二つの言葉の明確な違いになります。
狩猟と捕獲の英語表記の違い
狩猟を英語にすると「hunting」「shooting」「the chase」となり、例えば上記の「狩猟期」を英語にすると「the hunting seasonとなります。
一方、捕獲を英語にすると「harvest」「capture」「trapping」となり、例えば上記の「クジラを捕獲する」を英語にすると「harvest a whale」となります。
狩猟の意味
狩猟とは
狩猟とは、山野の鳥獣を銃・網・罠などを使って捕らえること、狩り、猟を意味しています。
狩猟の読み方
狩猟の読み方は、「しゅりょう」です。誤って「かりりょう」「かるりょう」などと読まないようにしましょう。
表現方法は「狩猟免許」「狩猟ハンター」「狩猟道具」
「狩猟免許」「狩猟ハンター」「狩猟道具」「狩猟する人」「狩猟したい」などが、狩猟を使った一般的な言い回しです。
狩猟の使い方
狩猟を使った分かりやすい例としては、「狩猟事故に係る損害保険を確認する」「狩猟用のナイフを買いました」「もうすぐ狩猟期間が終了します」「狩猟鳥獣以外の狩猟は禁じられています」「狩猟犬は運動欲求は高めです」などがあります。
その他にも、「狩猟免許の取り方を教えてください」「狩猟免許は全国で有効です」「狩猟免許更新のための講習を実施しています」「お気に入りの狩猟ブログを教えましょう」「散弾銃を使った狩猟動画を探しています」などがあります。
狩猟の「狩」は鳥獣を追いたてて捕らえること、「猟」は山野で鳥獣を追いかけて捕らえることを表す漢字です。狩猟とは狩りをすることを意味し、狩猟法では、銃や網あるいは罠などの猟具を用いて野生の鳥獣を捕獲することを言います。
「狩猟採集民」の意味
狩猟を用いた日本語には「狩猟採集民」(読み方:しゅりょうさいしゅうみん)があります。狩猟採集民とは、動植物の狩猟採集によって生活する諸民族のことです。「狩猟」と「採集」を入れ替えて「採集狩猟民」(読み方:さいしゅうしゅりょうみん)とも言います。
狩猟の対義語
狩猟の対義語・反対語としては、鳥獣の保護や繁殖のため法令で狩猟を禁ずることを意味する「禁猟」などがあります。
狩猟の類語
狩猟の類語・類義語としては、狩りをして遊ぶことを意味する「遊猟」、自然界の動植物をとることを意味する「採捕」、狩りや狩猟を意味する「ハンティング」などがあります。
捕獲の意味
捕獲とは
捕獲とは、動物などを捕らえること、生け捕ることを意味しています。
その他にも、「国際法上、戦時に交戦国の軍艦が敵国または中立違反の船舶を取り押さえること」の意味も持っています。
捕獲の読み方
捕獲の読み方は「ほかく」です。同じ読み方をする熟語に「保革」や「補角」がありますが、意味が異なるので書き間違いに注意しましょう。
表現方法は「捕獲する」「捕獲してはいけない」「捕獲せよ」
「捕獲する」「捕獲してはいけない」「捕獲せよ」などが、捕獲を使った一般的な言い回しです。
捕獲の使い方
「英語の先生が野生のサルを捕獲した」「地球上で最も危険な猛獣を捕獲せよ」「捕獲用麻酔玉の使い方を教えてください」「野生動物を捕まえるために捕獲器を用意する」時になどの文中で使われている捕獲は、「動物などを生け捕ること」の意味で使われています。
一方、「日本軍が捕獲した米軍機の資料を読む」「ウクライナでロシアの戦車が捕獲されている」などの文中で使われている捕獲は、「戦時に敵国または中立違反の船舶を取り押さえること」の意味で使われています。
捕獲とは、上記の例文にあるように二つの意味がありますが、一般的には、「動物などを捕らえること、生け捕ること」の意味で用いられています。捕獲の「捕」は逃げようとするものを取り押さえること、「獲」は動物などをつかまえて手に入れることを表す漢字です。
「捕獲器」の意味
上記の例文にある「捕獲器」とは、野生動物を捕獲するための道具であり、人の手で捕獲するのが難しい時に使用します。あくまでも罠ではなく、野生動物を傷つけず安全に保護するためのものです。
「捕獲岩」の意味
捕獲を用いた日本語には「捕獲岩」(読み方:ほかくがん)があります。捕獲岩とは、マグマが上昇して地表に噴出するまでの間に取り込まれた岩石のことであり、「ゼノリス」とも言います。母岩と起源が異なる「外来捕獲岩」、起源を同じくする「同源捕獲岩」に分類されます。
捕獲の対義語
捕獲の対義語・反対語としては、束縛されているものを解き放して自由にすることを意味する「解放」などがあります。
捕獲の類語
捕獲の類語・類義語としては、水産物をとることを意味する「漁獲」、人の身体に直接力を加えて身柄を拘束することを意味する「逮捕」、軍艦などが他国の船舶などをその支配下におくことを意味する「拿捕」などがあります。
狩猟の例文
この言葉がよく使われる場面としては、野生の鳥獣を猟具や猟犬などを用いて捕獲することを表現したい時などが挙げられます。
例文2にある「狩猟免許」とは、狩猟をしようとする者が受けなければならない免許のことです。都道府県知事が狩猟免状を交付します。例文3の「狩猟者登録」とは、出猟したい都道府県ごとに登録するものです。
捕獲の例文
この言葉がよく使われる場面としては、動物などを捕らえること、戦時に交戦国の軍艦が敵国または中立違反の船舶を捕えることを表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文4の捕獲は、動物などを捕らえることの意味で用いられています。例文5の捕獲は、交戦国の軍艦が敵国または中立違反の船舶を捕えることを表しています。
狩猟と捕獲という言葉は、どちらも「動物を捕まえること」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、動物を道具を用いて捕まえることを表現したい時は「狩猟」を、動物を生きた状態で捕まえることを表現したい時は「捕獲」を使うようにしましょう。