似た意味を持つ「背信」(読み方:はいしん)と「裏切り」(読み方:うらぎり)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「背信」と「裏切り」という言葉は、どちらも予想とは違う未来が訪れた場合に使う言葉という共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「背信」と「裏切り」の違い
「背信」と「裏切り」の意味の違い
「背信」と「裏切り」の違いを分かりやすく言うと、「背信」とは約束していた相手に騙されること、「裏切り」とは約束はしていないが想定通りではないことという違いです。
「背信」と「裏切り」の使い方の違い
一つ目の「背信」を使った分かりやすい例としては、「彼のとった行動は背信行為だ」「チームにとって重大な背信行為と見做され解雇された」「妻の背信を知りとても傷ついた」「これはまさかく背信行為です」などがあります。
二つ目の「裏切り」を使った分かりやすい例としては、「裏切者のレッテルを貼られる」「部下の裏切りにあう」「期待を裏切り大変申し訳ございません」「そんな裏切りが許されるのであろうか」「それは我々の主義に対する裏切りです」などがあります。
「背信」と「裏切り」の使い分け方
「背信」と「裏切り」はどちらも予想していた未来と違った未来が訪れた時に使われる言葉ですが、意味が少し違っています。
「背信」は約束をしていたり、信頼関係の立場にあったのに騙されることに対して使います。そのため、道義的に批難する意味が強いです。
一方「裏切り」は、特に約束などを結んでいないけど、こちらが思っていた通りに物事が進まなかった場合に使われる言葉です。そのため、必ずしも道義が問われるとは限りません。
上記のことからも分かるように、「背信」と「裏切り」では罪の重さが違います。約束をしているのに騙すという意味を持つ「背信」の方が「裏切り」よりも罪が重いです。
「背信」は道義に背くこと場合に使い、「裏切り」は信頼や期待に反する行動に対して使うと覚えておけば問題ないでしょう。
「背信」と「裏切り」の英語表記の違い
「背信」を英語にすると「breach of trust」「breach of faith」「confidence」となり、例えば上記の「これはまさかく背信行為です」を英語にすると「This is a clear breach of faith」となります。
一方、「裏切り」を英語にすると「betrayal」「treachery」となり、例えば上記の「それは我々の主義に対する裏切りです」を英語にすると「It is treachery against our principles」となります。
「背信」の意味
「背信」とは
「背信」とは、信頼や約束を裏切ることを意味しています。
「背信」の使い方
「背信」を使った分かりやすい例としては、「彼女の起こした行動は背信行為である」「背信的な行為をしたと言われても仕方ありません」「このイベントに参加しないのは友人に対する背信になってしまう」「妻の背信に気付いたのは二日前のことである」などがあります。
「背信」は信頼関係の立場であったり、約束事をしていた相手に騙された場合に使う言葉です。また、道義に背く行動をした人に対しても使います。
例えば、勤めていた会社のお金を横領した人や結婚しているのに浮気をする人に対して使う言葉とイメージすれば分かりやすいでしょう。
「背信棄義」の意味
「背信」を使った四字熟語としては、「背信棄義」(読み方:はいしんきぎ)があります。背信棄義とは、信用と道義を守らないこと、即ち信頼に背き、道義を捨て去ることを意味しています。
「背信行為」の意味
四字熟語ではないのですが、よく使われる言葉として「背信行為」があります。背信行為とは、信義にそむくような行為のこと、 戦争において真実を告げる義務のある場合に休戦旗などを不当に使用し敵の行動を誤らせる行為をすることという二つ意味を持っています。
表現方法は「背信者」「背信的」
上記以外では「背信者」「背信的」などが、「背信」を使った一般的な言い回しになります。
「背信」の類語
「背信」の類語・類義語としては、信じていた宗教を背き捨て去ることを意味する「背教」、裏切りを企む心のことを意味する「異心」、 時の為政者に反逆することを意味する「謀反」(読み方:むほん)、権威や権力などに逆らうことを意味する「反逆」などがあります。
「裏切り」の意味
「裏切り」とは
「裏切り」とは、期待に背く行動をすることを意味しています。
表現方法は「裏切り者」「裏切りキャラ」「裏切り行為」
「裏切り者」「裏切りキャラ」「裏切り行為」「裏切り女」「裏切り男」などが、「裏切り」を使った一般的な言い回しになります。
「裏切り」の使い方
「裏切り」を使った分かりやすい例としては、「不倫のような裏切り行為は絶対にやらないと誓った」「夫の裏切りを知った妻は絶望しました」「彼の裏切りを許すことはできない」「周囲の期待を良い意味で裏切り続けた」などがあります。
「裏切り」は期待に背く行動をした場合に使う言葉であり、特に約束事をなどをしていなくても使えるというのがポイントです。
例えば恋人同士だったのに、相手が浮気した場合は「裏切り行為」という言葉を使います。ただし相手によっては「背信」と思う人もいるので注意が必要です。また、結婚していた場合は永遠の愛を誓っているので「背信行為」になります。
また、スポーツシーンでもよく使われる言葉で、ファンが期待通りに活躍できなかった選手に対して「期待を裏切る」や、別のチームへ移籍してしまった選手に対して「裏切り行為」などと言うこともあります。これらの場合においては「背信」を使うことはありません。
「裏切り」の類語
「裏切り」の類語・類義語としては、味方を裏切ってひそかに敵と通じることを意味する「内応」、味方を裏切って敵方につくことを意味する「寝返り」、 味方の中にいてこっそり敵に通じることを意味する「内通」などがあります。
「背信」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、信頼や約束を裏切ることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文のように、マイナスなイメージでしか使われない言葉になります。
「裏切り」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、期待に背く行動をすることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文のように期待に背いた場合に使う言葉なので、マイナスなイメージで使われることが多いです。
「背信」と「裏切り」という言葉は、どちらも予想とは違う未来が訪れた場合に使います。どちらの言葉を使うか迷った場合、道義に背く行動をした時は「背信」を、期待に反する行動をした時は「裏切り」を使うようにしましょう。