似た意味を持つ「想起」(読み方:そうき)と「連想」(読み方:れんそう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「想起」と「連想」という言葉は、どちらも「思い浮かべること」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
想起と連想の違い
想起と連想の意味の違い
想起と連想の違いを分かりやすく言うと、想起とはある事柄を思い浮かべることを表し、連想とは関連する事柄を思い浮かべることを表すという違いです。
想起と連想の使い方の違い
一つ目の想起を使った分かりやすい例としては、「これまでの歴史を詳細に想起する」「記銘力や想起力が低下する病気があります」「英語の絵本は海外で育った記憶を想起させる」「イデア論と想起説は密接な関係にあります」などがあります。
二つ目の連想を使った分かりやすい例としては、「子ども達と連想ゲームをして遊びました」「超難問の連想クイズに挑戦する」「おすすめの連想ゲームアプリはありますか」「英語といったら何を連想しますか」などがあります。
想起と連想の使い分け方
想起と連想という言葉は、どちらも何かしらの事柄を心に浮かべることを表しますが、意味や使い方には違いがあります。
想起とは、思い浮かべることを意味し、過去に起こった出来事が頭に浮かぶことや、記憶の中から知識などを思い出すことを表します。上記の例文にある「想起力」とは、思い出す能力のことであり、記憶のメカニズムを語るうえで用いられることが多い言葉です。
連想とは、見たり聞いたりした情報や事柄から、他の関連する事柄を思い浮かべることを意味します。例えば、「ハワイ」と聞いて「フラダンス」を思い浮かべたり、「英語の単語帳」を見て「テスト」を思い出したりする心の働きを「連想」と言います。
つまり、想起とは単に事柄を思い浮かべることを表しますが、連想とは関連する事柄を思い浮かべることを意味します。二つの言葉はとてもよく似ていますが、意味は全く異なるので区別して使い分けるようにしましょう。
想起と連想の英語表記の違い
想起を英語にすると「remembrance」「retrieval」「memory recall」となり、例えば上記の「歴史を詳細に想起する」を英語にすると「recall in detail the history」となります。
一方、連想を英語にすると「association」「suggestion」「being reminded of something」となり、例えば上記の「連想ゲーム」を英語にすると「a word association game」となります。
想起の意味
想起とは
想起とは、以前にあったことなどを思い起こすことを意味しています。
表現方法は「イメージを想起させる」「想起する」
「イメージを想起させる」「想起する」などが、想起を使った一般的な言い回しです。
想起の使い方
想起を使った分かりやすい例としては、「料理の味で故郷を想起する」「爽快な香りは南の島を想起させる」「プラトンは想起説を唱えました」「加齢は想起障害の原因の一つです」「想起バイアスとはどのようなものですか」などがあります。
その他にも、「想起力を高めるためのトレーニングを実践する」「人種差別を想起させる描写が含まれている」「英語の論文は学生時代を想起させる」「ふと過去のことを想起することがあります」などがあります。
想起の「想」は訓読みで「おもう」と読み、心に思い浮かべることを表し、「起」はある感情を生じさせることを表します。想起とは、思い出すことを意味し、過去にあった出来事や物事などを思い起こすことなどを表す言葉です。
「想起説」の意味
想起を用いた日本語には「想起説」があります。想起説とは、「アナムネーシス」とも言う哲学用語です。人間の魂は、肉体に宿る前に天界で眺めていたイデアを想起することによって真理を認識するという説です。
想起の対義語
想起の対義語・反対語としては、すっかり忘れてしまうことや忘れ去ることを意味する「忘却」などがあります。
想起の類語
想起の類語・類義語としては、過去のことや忘れていたことを心によみがえらせるを意味する「思い出す」、かつて経験したことを思いめぐらすことを意味する「回想」、過ぎ去ったことを思い起こすことを意味する「回顧」、過去を思い出してしのぶことや追憶を意味する「追想」などがあります。
連想の意味
連想とは
連想とは、ある事柄から、それと関連のある事柄を思い浮かべること、また、その想念を意味しています。
その他にも、「心理学で、ある観念の意味内容・発音・外形の類似などにつれて他の観念が起きてくること、観念連合」の意味も持っています。
連想の漢字表記
連想は「聯想」とも書きますが、常用漢字を用いた「連想」と表記する方が一般的です。
表現方法は「連想する」「連想させる」「連想ゲーム」
「連想する」「連想させる」「連想ゲーム」などが、連想を使った一般的な言い回しです。
連想の使い方
「高齢者向けの連想ゲームのお題を探しています」「プログラミングの連想配列とはデータ構造の一種です」「PHPの連想配列をわかりやすく教えます」「図書館で借りた連想類語辞典を紛失しました」などの文中で使われている連想は、「関連のある事柄を思い浮かべること」の意味で使われています。
一方、「ユングの言語連想検査を活用する」「自由連想法のやり方を習いました」「連想は行動に影響を及ぼす」「認知心理学における連想記憶モデルを研究しています」などの文中で使われている連想は、「心理学で、他の観念が起きてくること」の意味で使われています。
連想とは、ある言葉を聞いたり物を見たりした時に、それと関連する他の言葉や事柄を思い浮かべる心の働きを意味します。例えば、ショーウィンドウにあるウエディングドレスを見て結婚式を思い起こすことを、「連想」と表現します。
連想は心理学用語としても使える
また、連想という言葉は、心理学用語にもなっており、ある観念とある観念とが結びつくことを意味します。神経症に対する精神分析療法の技法である「自由連想法」は、ある言葉を与えられた時に、心に浮かぶままの自由な考えを連想していきます。
連想の対義語
連想の対義語・反対語としては、新しい考えや思いつきを得ることを意味する「発想」などがあります。
連想の類語
連想の類語・類義語としては、根拠のある推測や現実からかけはなれた空想を意味する「想像」、ある事柄をもとにして推量することを意味する「推測」、よく似ているものを見てそのものを思い浮かべることを意味する「彷彿」、想像や想像力を意味する「イマジネーション」などがあります。
想起の例文
この言葉がよく使われる場面としては、思い出すこと、前にあった事をあとになって思い起こすことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、想起の慣用的な言い回しには「想起する」「想起させる」「記憶想起」などがあります。「記憶想起」とは、脳内に保存された記憶の中から特定の記憶を思い出すプロセスを指します。
連想の例文
この言葉がよく使われる場面としては、関連のある言葉や事柄を思い浮かべること、心理学で観念連合を表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、連想の慣用的な表現には「連想する」「連想力」「連想ゲーム」などがあります。「連想ゲーム」とは、出題者から与えられたヒントからお題を想像して、そのお題を当てるという言葉遊びです。
想起と連想という言葉は、どちらも「思い浮かべること」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、ある事柄を思い浮かべることを表現したい時は「想起」を、関連する事柄を思い浮かべることを表現したい時は「連想」を使うようにしましょう。