似た意味を持つ「選択肢」(読み方:せんたくし)と「選択」(読み方:せんたく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「選択肢」と「選択」という言葉は、どちらも「複数の中から選ぶこと」を表しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
選択肢と選択の違い
選択肢と選択の意味の違い
選択肢と選択の違いを分かりやすく言うと、選択肢とは選ばれる複数の項目を表し、選択とは複数の中から選び出す行為を表すという違いです。
選択肢と選択の使い方の違い
一つ目の選択肢を使った分かりやすい例としては、「複数の選択肢から一つ選ぶ」「選択肢を選んでストーリーを進めていくゲームです」「選択肢が多いと選べないという心理が働く」「イラストレーターは将来の選択肢の一つです」などがあります。
二つ目の選択を使った分かりやすい例としては、「情報の取捨選択をすることは大切です」「選択するショートカットキーを教えてください」「選択範囲がロックされています」「選択的夫婦別姓のメリットとデメリットをご存知ですか」などがあります。
選択肢と選択の使い分け方
選択肢と選択という言葉は、どちらも複数の対象のものから選び出すことに関して使用されていますが、意味や使い方には違いがあります。
選択肢とは、ある質問に対して、その中から選び出せるように用意された複数の項目を意味します。また、自分の行動や条件などにおいて選び出せる複数の項目のことです。すでに選べる項目があるのに、さらに選べるものの数を増やすことを「選択肢を増やす」「選択肢を広げる」と表現します。
選択とは、いくつかの対象のものから、良いものや適当なものを選び出すことを意味します。上記の例文にある「取捨選択」とは、悪いものや不必要なものを捨てて、良いものや必要なものを選び取ることを意味する四字熟語です。
つまり、選択肢とは選ばれるように用意された複数の項目であり、選択とは選び出すという行為を指す言葉です。「肢」の有無によって、意味は大きく変わってくるので、区別して使い分けるようにしましょう。
選択肢と選択の英語表記の違い
選択肢を英語にすると「alternative」「decision branch」「option」となり、例えば上記の「選択肢から選ぶ」を英語にすると「choose from options」となります。
一方、選択を英語にすると「selection」「choice」となり、例えば上記の「取捨選択をする」を英語にすると「make a choice」となります。
選択肢の意味
選択肢とは
選択肢とは、質問に対して、そこから選択して答えるように用意されている二つ以上の答えを意味しています。
選択肢の読み方
選択肢の読み方は「せんたくし」です。誤って「せんたくこ」「せんたくまた」などと読まないようにしましょう。
表現方法は「選択肢が広がる」「選択肢はない」「選択肢がある」
「選択肢が広がる」「選択肢はない」「選択肢がある」などが、選択肢を使った一般的な言い回しです。
選択肢の使い方
選択肢を使った分かりやすい例としては、「英語のテストは選択肢から選ぶ問題が少なかった」「ウマ娘の選択肢チェッカーの使い方を教えてください」「種類が豊富で選択肢がたくさんあります」などがあります。
その他にも、「大学に行けば選択肢を広げることができます」「職業の選択肢が広がる学部はどれだろう」「突然頭の中に二つの選択肢が浮かびました」「人々は選択肢の数が多い方を魅力的だと感じている」などがあります。
選択肢の書き方には、「肢」ではなく「枝」を用いて「選択枝」と表記されていることがあります。これは「肢」が常用漢字ではなかった時代の名残りです。現在の辞書には「選択肢」のみが掲載されており、一般的には「選択枝」ではなく「選択肢」と表記することが正しいとされています。
選択肢とは、ある質問や問題に対し回答者が選べるように用意した、いくつかの回答の項目のことです。例えば、「好きな動物は何ですか」という質問があった場合に、あわせて設定された「1.パンダ、2.コアラ、3.ウサギ」という答えの項目が「選択肢」です。
「人生の選択肢」の意味
また、選択肢という言葉は、取りうることのできる複数の行動の可能性や選択の対象の意味でも使用されています。例えば、将来はどんな職業に就くのか、結婚はするのか、どこに住むのか、人生において自分が選ぶことができるいくつかのケースを「人生の選択肢」などと表現します。
選択肢の対義語
選択肢の対義語・反対語としては、問いに対する答えが一つだけであることを意味する「一択」などがあります。
選択肢の類語
選択肢の類語・類義語としては、それに見合う他のもので代えることを意味する「代替」、物事をある基準で区分けしたときの一つ一つを意味する「項目」、選択肢や自由に選択できるものを意味する「オプション」などがあります。
選択の意味
選択とは
選択とは、多くのものの中から、よいもの、目的にかなうものなどを選ぶことを意味しています。
その他にも、「選択科目の略」「リレーショナルデータベースにおいて、表の中からある特定の条件に合う行を取り出す操作」の意味も持っています。
選択の読み方
選択の読み方は「せんたく」です。同じ読み方をする熟語に「洗濯」や「宣託」がありますが、意味が異なるので書き間違いに注意しましょう。
表現方法は「選択を迫られる」「選択を選ぶ」「選択をする」
「選択を迫られる」「選択を選ぶ」「選択をする」などが、選択を使った一般的な言い回しです。
選択の使い方
「私は選択的夫婦別姓に賛成です」「選択的週休3日制には賛否両論あります」「英語のテストは選択式でした」「ビジネスの選択と集中にはリスクを伴う」などの文中で使われている選択は、「目的にかなうものなどを選ぶこと」の意味で使われています。
一方、「美術は選択ではなく選択必修です」「選択に英語スピーキング演習を選ぶ」などの文中で使われている選択は「選択科目の略」の意味で、「選択条件を満たすタプルだけを取り出す」の文中で使われている選択は「表の中からある特定の条件に合う行を取り出す操作」の意味で使われています。
選択とは、上記にあるように複数の意味を持ちますが、基本的には、「複数のもののなかから目的にかなうものを選ぶこと」の意味で用いられています。選択の「選」は多くの中から目的や基準にかなうものを取り出すこと、「択」はチェックして選び出すことを表す漢字です。
「選択的夫婦別姓」の意味
選択を用いた日本語には「選択的夫婦別姓」があります。選択的夫婦別姓とは、婚姻関係にある二人が、同性にするか、別姓を名のるかを選べる制度のことです。「選択的夫婦別氏」とも言います。
「選択表示」「選択マーク」は誤用
選択を用いた誤った表現には「選択表示」「選択マーク」があります。正しくは「洗濯表示」「洗濯マーク」であり、衣類を選択する際の取扱い表示を意味します。
選択の対義語
選択の対義語・反対語としては、必ず用いるべきことや欠かせないことを意味する「必須」、1か所に集めることを意味する「集中」などがあります。
選択の類語
選択の類語・類義語としては、多くの中から目的や条件などに合うものを選び定めることを意味する「選定」、必要なものを選んで不要なものを捨てることを意味する「取捨」、選り抜くことや選択することを意味する「セレクト」などがあります。
選択肢の例文
この言葉がよく使われる場面としては、一定の質問に対する回答の候補として用意された複数の回答の一組、自ら選ぶことができる複数個のケースを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、選択肢の慣用的な言い回しには「将来の選択肢」「選択肢がある」「選択肢はない」などがあります。「選択肢がある」とは、選べるものが複数あることを表します。反対に、「選択肢はない」とは、選べるものがない、転じて、それ以外は許されないことを意味する表現です。
選択の例文
この言葉がよく使われる場面としては、最も適当なものを選び出すことを表現したい時などが挙げられます。
例文1の「選択と集中」とは、競争力のある事業を「選択」し、経営資源をこの選択した事業に「集中」するという経営手法のことです。例文5の「文理選択」とは、文系コースと理系コースのどちらに進むかを選ぶことを表します。
選択肢と選択という言葉は、どちらも「複数の中から選ぶこと」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、選ばれる複数の項目を表現したい時は「選択肢」を、選ぶ行為を表現したい時は「選択」を使うようにしましょう。