似た意味を持つ「畜生」(読み方:ちくしょう)と「鬼畜」(読み方:きちく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「畜生」と「鬼畜」という言葉は、どちらも「人間と思えないような人」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
畜生と鬼畜の違い
畜生と鬼畜の意味の違い
畜生と鬼畜の違いを分かりやすく言うと、畜生とは人間に値しない愚かな者、鬼畜とは人間とは思えない残酷な行いをする者という違いです。
畜生と鬼畜の使い方の違い
一つ目の畜生を使った分かりやすい例としては、「畜生同然の人に成り下がるな」「義母が耳を疑う畜生発言を連発した」「畜生界は三悪道の一つです」「裏切りやがったな、畜生め」「畜生め、やってられないな」などがあります。
二つ目の鬼畜を使った分かりやすい例としては、「冷徹な彼は鬼畜のような人である」「鬼畜にも劣らない残虐な行為であった」「幼い子供への虐待は鬼畜の所業です」「激しい怒りを禁じ得ない鬼畜行為である」などがあります。
畜生と鬼畜の使い分け方
畜生と鬼畜という言葉は、どちらも容赦なく強欲だったり残酷であるような「人でなし」を表しますが、厳密な意味や使い方には違いがあります。
畜生とは、鳥や獣あるいは虫などのことで、人間としての価値がない人を意味します。上記の「畜生発言」とは、品位のない悪口や、人情をわきまえない発言のことです。また、畜生という言葉は、「こん畜生」「畜生め」など他人をののしる際にも使用されています。
鬼畜とは、鬼と畜生のことであり、残酷であったり冷酷である人を指す言葉です。上記例文にある「鬼畜の所業」(読み方:きちくのしょぎょう)とは、鬼や畜生がするような、人間らしさの感じられない振る舞いを意味します。
つまり、畜生とは人間に値しない愚かな者を指し、鬼畜とは人間とは思えない残酷な行いをする者を意味します。二つの言葉は似ていますが、ニュアンスが異なるので区別して使い分けるようにしましょう。
畜生と鬼畜の英語表記の違い
畜生を英語にすると「beast」「dumb animal」となり、例えば上記の「畜生同然の人」を英語にすると「a beast」となります。一方、鬼畜を英語にすると「brute」「savage」「devil」となり、例えば上記の「鬼畜のような人」を英語にすると「a brutal man」となります。
畜生の意味
畜生とは
畜生とは、鳥・獣・虫魚の総称、人間以外の動物を意味しています。
その他にも、「畜生道の略」「人を憎んだり、ののしったりしていう語」の意味も持っています。
畜生の読み方
畜生の読み方は「ちくしょう」の他に「ちきしょう」があります。「ちきしょう」は「ちくしょう」の音変化であり、一般的には「ちくしょう」と読まれています。
表現方法は「ド畜生」「畜生道」「畜生な人」
「ド畜生」「畜生道」「畜生な人」などが、畜生を使った一般的な言い回しです。
畜生の使い方
「人の尊厳を踏みにじり畜生同然に扱う」「お前なんか犬畜生よりも劣る存在だ」「瑞泉寺の畜生塚を訪れる」「彼らを人畜生として扱う」「お前は犬畜生以下だ」などの文中で使われている畜生は、「鳥・獣・虫魚の総称」の意味で使われています。
一方、「六道輪廻の畜生に落ちる」「畜生界で善い行いを積んで人間に生まれ変わる」などの文中で使われている畜生は「畜生道の略」の意味で、「こん畜生め、覚えてろ」「これは何なんだ畜生」などの文中で使われている畜生は「人をののしっていう語」の意味で使われています。
畜生の「畜」は、動物を飼育することを表し、「生」は生きることや生かすことを表す漢字です。畜生とは、人に飼養されて生きているものを表し、人間以外の動物である鳥・獣・虫魚の総称を意味します。仏教用語では一般に「けだもの」を言い、六道の一つの「畜生道」を指す言葉です。
「こん畜生」の意味
また、畜生という言葉は、他人をののしっていう語として用いられています。「こん畜生」など、強く憎んだりうらやんだりした相手に言う言葉である一方、「畜生、うまくできないな」などと怒りや失望などの気持ちを表す感動詞のような働きもあります。
畜生の対義語
畜生の対義語・反対語としては、人間を意味する「人類」、人徳や深い信仰をもつ理想的な人を意味する「聖人」などがあります。
畜生の類語
畜生の類語・類義語としては、野生の獣や山野にすむ獣を意味する「野獣」、家で飼う禽獣や家畜を意味する「畜類」、仏教の輪廻思想において衆生がその業に従って死後に赴くべき六つの世界を意味する「六道」、恩義や人情をわきまえない人を意味する「人でなし」などがあります。
鬼畜の意味
鬼畜とは
鬼畜とは、鬼と畜生、転じて、残酷で無慈悲な行いをする者を意味しています。
鬼畜の使い方
鬼畜を使った分かりやすい例としては、「英語の先生は鬼畜のように大量の宿題を出す」「我が子に手をかけるなんて鬼畜の仕業だ」「鬼畜上司に目をつけられられてしまった」「課長は部下の使い方が鬼畜のようである」などがあります。
その他にも、「誰がこんな鬼畜ゲームをクリアするんだろう」「鬼畜の所業と言うほかない残忍な犯行である」「ロリコン教師の鬼畜の所業が明るみになる」「戦時中の学校では鬼畜米英と教えこんでいた」などがあります。
鬼畜とは、文字通り「鬼と畜生」を意味し、転じて、人を人とも思わないような残酷な行為や非道な行為をする者を指します。残忍で人間らしい心を持っていないことを表す、マイナスイメージの言葉です。
「鬼畜ゲーム」の意味
上記の例文にある「鬼畜ゲーム」とは、鬼畜のように容赦がなく、クリアするのが非常に難しい難易度の高いゲームを意味します。難しすぎて一瞬でやられたり、めちゃくちゃな操作を強いられるようなゲームなどを指します。
鬼畜の対義語
鬼畜の対義語・反対語としては、正しい智慧を得た人を意味する「聖者」、神と仏を意味する「神仏」などがあります。
鬼畜の類語
鬼畜の類語・類義語としては、畜生のような行いをする人間を意味する「人畜生」、この上なく悪く人の道に外れていることを意味する「極悪非道」、心のひねくれた人や邪悪な人をののしっていう語である「外道」などがあります。
畜生の例文
この言葉がよく使われる場面としては、禽獣や虫魚などの総称、畜生道、を表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、畜生の慣用的な言い回し、慣用的な表現には「犬畜生」「畜生以下」「こん畜生」「畜生め」などがあります。「犬畜生」とは、犬などのけだものを意味し、転じて、、道徳にはずれた行ないをする者を指す言葉です。
鬼畜の例文
この言葉がよく使われる場面としては、鬼と畜生、残酷な行ないをする者、恩義を知らない者を表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、鬼畜の慣用的な言い回し、慣用的な表現には「鬼畜の所業」「鬼畜の犯行」「鬼畜行為」などがあります。例文4にある「鬼畜物」とは、能の分類の一つで、鬼や畜類あるいは天狗などを主人公とする曲の総称です。
畜生と鬼畜という言葉は、どちらも「人間とは思えないような人」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、愚かな人を表現したい時は「畜生」を、残酷で無慈悲な人を表現したい時は「鬼畜」を使うようにしましょう。