似た意味を持つ「羞恥心」(読み方:しゅうちしん)と「廉恥心」(読み方:れんちしん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「羞恥心」と「廉恥心」という言葉は、どちらも「恥かしく思うこと」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
羞恥心と廉恥心の違い
羞恥心と廉恥心の意味の違い
羞恥心と廉恥心の違いを分かりやすく言うと、羞恥心とは恥をかくことを嫌がる心を表し、廉恥心とは恥を知る心を表すという違いです。
羞恥心と廉恥心の使い方の違い
一つ目の羞恥心を使った分かりやすい例としては、「息子は年相応の羞恥心がないように感じる」「不当な行為に対する罪悪感と羞恥心があります」「感受性が強い人は共感性羞恥心を抱きやすい」などがあります。
二つ目の廉恥心を使った分かりやすい例としては、「大人であれば廉恥心があるだろう」「廉恥心は生きていくうえで大切です」「謙虚な人は廉恥心を持っています」「廉恥心は日本の美徳です」などがあります。
羞恥心と廉恥心の使い分け方
羞恥心と廉恥心という言葉は、どちらも自分の欠点や失敗などを恥ずかしく思うことを表しますが、意味や使い方には大きな違いがあります。
羞恥心とは、恥ずかしいと感じる気持ちを意味します。恥ずかしさから屈辱感を味わうことを表現する言葉であり、恥をかくことを嫌がるニュアンスがあります。上記の例文にある「羞恥心がない」とは、自分の言動を恥じるような心や理性がないことを表しています。
廉恥心とは、清らかに恥を知ることを意味します。恥を知ることをポジティブに捉えた言葉であり、廉恥心には、様々な恥をしっかりと認識して、二度と恥をかかないようにしようとする心を表現しています。
つまり、羞恥心は恥をかくことを嫌がるニュアンスがあり、廉恥心は潔く恥を知るという意味合いがあります。二つの言葉はとても似ていますが、意味は異なるので区別して使い分けるようにしましょう。
羞恥心と廉恥心の英語表記の違い
羞恥心を英語にすると「sense of shame」「sense of duty」となり、例えば上記の「羞恥心がない」を英語にすると「have no sense of shame」となります。
一方、廉恥心を英語にすると「a sense of honor」「sense of honour」となり、例えば上記の「廉恥心がある」を英語にすると「have a sense of honor」となります。
羞恥心の意味
羞恥心とは
羞恥心とは、恥ずかしく感じる気持ちを意味しています。
羞恥心の読み方
羞恥心の読み方は「しゅうちしん」です。誤って「さちしん」「しゅちしん」などと読まないようにしましょう。
表現方法は「羞恥心がない人」「羞恥心がある」「羞恥心が生じる」
「羞恥心がない人」「羞恥心がある」「羞恥心が生じる」などが、羞恥心を使った一般的な言い回しです。
羞恥心の使い方
羞恥心を使った分かりやすい例としては、「あんな格好で出歩いて羞恥心はないのだろうか」「羞恥心を捨てて自作の曲を披露する」「羞恥心を乗り越えて歌手になりました」「介護の現場では羞恥心に配慮した声かけをしましょう」などがあります。
その他にも、「あなたの共感性羞恥心の強さを診断します」「羞恥心から自分らしく振る舞うことができない」「チームメンバーの前では羞恥心はありません」「海外旅行では羞恥心を捨てて英語を話します」などがあります。
羞恥心はマイナスのイメージで使う言葉
羞恥心の「羞恥」は、恥ずかしいと思うことや恥ずかしがることを表します。精神や気持ちを表す「心」と結び付き、羞恥心とは、恥ずかしく思う気持ちを意味します。主に、自分の失敗や過ちなどから生じる感情であり、マイナスイメージの言葉です。
「共感性羞恥心」の意味
羞恥を用いた日本語には「共感性羞恥心」があります。共感性羞恥心とは、他人が恥をかいたり失敗したりする様子を見て、あたかも自分の失敗のように感じて、自分まで恥ずかしくなる心理状態を意味します。
羞恥心の対義語
羞恥心の対義語・反対語としては、恥ずべきことをして平気でいることを意味する「恥知らず」などがあります。
羞恥心の類語
羞恥心の類語・類義語としては、恥ずかしがることを意味する「恥じらい」、恥ずかしいと思う気持ちを意味する「含羞」(読み方:がんしゅう)、恥ずかしがる様子を意味する「はにかみ」などがあります。
廉恥心の意味
廉恥心とは
廉恥心とは、清らかで恥を知る心を意味しています。
廉恥心の読み方
廉恥心の読み方は「れんちしん」です。誤って「こうちしん」「れんちごころ」などと読まないようにしましょう。
廉恥心の使い方
廉恥心を使った分かりやすい例としては、「あなたには廉恥心がないのか」「日本には廉恥心を重んじる文化がある」「他人を思いやり廉恥心を持とう」「社会で生きていくには廉恥心が必要です」などがあります。
その他にも、「彼は常識的で廉恥心がある人です」「道徳教育で廉恥心を養う」「廉恥心を失ってはいけません」「あの英語教師は廉恥心がないようだ」「武士は幼少期から廉恥心を叩き込まれた」などがあります。
廉恥心の「廉」は思い切りがよく潔いこと、「恥」は面目なく思うことや恥ずかしいこと、「心」は精神や気持ちを表す漢字です。これらが組み合わさり、廉恥心とは、潔く恥を知る気持ちを意味します。
廉恥心のはポジティブな言葉
新渡戸稲造による著書「武士道」には、「廉恥心」は青少年の教育で大事に育てるべき最初の徳の一つとされています。このように、廉恥心という言葉は、ネガティブな意味ではなくポジティブな意味合いで使用されています。
廉恥心の対義語
廉恥心の対義語・反対語としては、恥を恥とも思わず平気でいることを意味する「破廉恥」などがあります。
廉恥心の類語
廉恥心の類語・類義語としては、自分の過ちを反省して心に深く恥じることを意味する「慙愧」、人の前で受けるひどい恥を意味する「赤恥」(読み方:あかはじ)、面目を失うことや不名誉であることを意味する「不面目」などがあります。
羞恥心の例文
この言葉がよく使われる場面としては、恥ずかしいと感じる気持、はじらいの気を表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、羞恥心の慣用的な言い回しには「羞恥心がある」「羞恥心が強い」「羞恥心がない」などがあります。
廉恥心の例文
この言葉がよく使われる場面としては、潔白で恥を知る気持ちを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、廉恥心という言葉は、ポジティブなイメージで使用されることがほとんどです。
羞恥心と廉恥心という言葉は、どちらも「恥ずかしく思うこと」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、恥をかくことを嫌がるを表現したい時は「羞恥心」を、恥を知ることを表現したい時は「廉恥心」を使うようにしましょう。