似た意味を持つ「禁固刑」(読み方:きんこけい)と「懲役刑」(読み方:ちょうえきけい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「禁固刑」と「懲役刑」という言葉は、どちらも「刑務所に収監される刑罰」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
禁固刑と懲役刑の違い
禁固刑と懲役刑の意味の違い
禁固刑と懲役刑の違いを分かりやすく言うと、禁固刑とは刑務作業が無いことを意味し、懲役刑とは刑務作業が有ることを意味するという違いです。
禁固刑と懲役刑の使い方の違い
一つ目の禁固刑を使った分かりやすい例としては、「禁固刑に処せられ刑務所に入っています」「禁固刑の受刑者は一日中何してるのですか」「国家公務員が禁固刑の有罪判決を受けると失職します」などがあります。
二つ目の懲役刑を使った分かりやすい例としては、「強盗犯は5年の懲役刑が科せられました」「懲役刑の受刑者が仮釈放されました」「懲役刑のみならず罰金刑などを受けても前科となります」などがあります。
禁固刑と懲役刑の使い分け方
禁固刑と懲役刑という言葉は、どちらも犯罪者が刑務所に収監される刑罰を表しますが、意味や使い方には違いがあります。
禁固刑とは、受刑者の身体を拘束して自由を奪う自由刑の一つであり、受刑者を刑事施設に収容する刑罰です。刑務作業などの強制労働はありませんが、受刑者が申し出れば作業を行うことができます。期間の定めのある有期禁固と、期間の定めのない無期禁固があります。
懲役刑とは、受刑者を刑事施設に収容したうえで、刑務作業につかせる刑罰です。禁固刑と同じく受刑者の自由を剥奪する自由刑ですが、刑務作業が義務化されている点が禁固刑との大きな違いになります。
つまり、禁固刑と懲役刑の違いは、刑務作業の有無にあります。禁固刑は刑務所に収監され刑務作業がないものであり、懲役刑は刑務所に収監され刑務作業があるものです。
なお、令和4年の刑法改正により、令和7年に禁固刑および懲役刑が廃止され、「拘禁刑」として単一化されることになりました。これにより、懲役受刑者に科されていた刑務作業は義務でなくなり、改善更生に向けた指導により多くの時間をかけることが可能となります。
禁固刑と懲役刑の英語表記の違い
禁固刑を英語にすると「penalty of imprisonment」「imprisonment」となり、例えば上記の「禁固刑に処せられる」を英語にすると「be punished by imprisonment」となります。
一方、懲役刑を英語にすると「prison sentence」「rap」となり、例えば上記の「5年の懲役刑が科せられる」を英語にすると「draw a five year prison sentence」となります。
禁固刑の意味
禁固刑とは
禁固刑とは、自由刑の一種、刑事施設に拘置されるだけで刑務作業は強制されない刑罰を意味しています。
禁固刑の漢字表記
禁固刑は「禁錮刑」とも書きます。刑法の規定に従えば「禁錮刑」が正しい表記法となりますが、禁固刑と書いても間違いではありません。
禁固刑の使い方
禁固刑を使った分かりやすい例としては、「英語の先生が禁固刑に処されました」「禁固刑の一日の生活を取材する」「執行猶予の付かない禁固刑になりました」「3年以上の禁固刑でも執行猶予がつくケースがある」などがあります。
その他にも、「彼女は2年の禁固刑を宣告されました」「侮辱罪が厳罰化され禁固刑と懲役刑が追加されました」「禁固刑と懲役刑を廃止して一本化します」「禁固刑の受刑者は布団で寝ることができますか」「禁固刑の受刑者は基本的に正座しています」などがあります。
禁固刑の「禁固」は、一室に閉じ込めて外出させないことです。禁固刑とは、刑事施設に受刑者を収容して拘束する刑罰です。刑務作業は強制されませんが、受刑者が希望すれば作業を行うことができます。有期禁錮と無期禁錮があります。
禁固刑のみが罰則として設けられている罪には、内乱罪や私戦予備罪などがあります。歴史上、禁固刑は主に政治犯罪を対象として行ってきた刑であるため、刑務作業が義務化されなかったという経緯があります。
禁固刑の対義語
禁固刑の対義語・反対語としては、財産の剥奪を内容とする刑罰を意味する「財産刑」などがあります。
禁固刑の類語
禁固刑の類語・類義語としては、自由の剥奪を内容とする刑罰を意味する「自由刑」、1日以上30日未満で刑事施設に拘禁する刑罰を意味する「拘留」、刑の言渡しを受けた者を刑事施設に収容し身柄を拘禁することを意味する「拘置」などがあります。
懲役刑の意味
懲役刑とは
懲役刑とは、自由刑の一つ、刑事施設に拘置して一定の労役に服させる刑罰を意味しています。
懲役刑の読み方
懲役刑の読み方は「ちょうえきけい」です。誤って「ちょうやくけい」などと読まないようにしましょう。
懲役刑の使い方
懲役刑を使った分かりやすい例としては、「執行猶予付きの懲役刑に処された」「有期懲役刑の上限年数はどれぐらいですか」「有期の懲役刑は最長何年になりますか」「数年後に懲役刑と禁錮刑がなくなるとは本当ですか」などがあります。
その他にも、「これまであった懲役刑が廃止される予定です」「有期懲役刑の最短はどれぐらいですか」「懲役刑と禁錮刑を一元化する改正刑法が可決されました」「英語しか話せない外国人が懲役刑の実刑判決を受けた」などがあります。
懲役刑とは、禁錮刑や拘留と並ぶ自由刑の一種です。刑務所に拘置して、一定の刑務作業に服させる刑罰のことであり、無期懲役と有期懲役の2種があります。有期は1ヶ月以上20年以下で、加重する場合には30年まで延ばすことができます。
懲役刑の刑務作業は、古い時代には刑罰の苦役としての性格を持ちましたが、今日では受刑者の勤労意欲の喚起や職業的技能や知識の習得などを目的としています。
懲役刑の対義語
懲役刑の対義語・反対語としては、一定の金額の支払いを命じられる刑罰を意味する「罰金刑」などがあります。
懲役刑の類語
懲役刑の類語・類義語としては、犯罪を犯した者に科せられる法律上の制裁を意味する「刑罰」、旧刑法で重罪人に科した刑を意味する「徒刑」、身体を動かして課せられた役務をすることを意味する「労役」などがあります。
禁固刑の例文
この言葉がよく使われる場面としては、犯罪者が刑務所で収監される自由刑で、強制的な労働がないものを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にある「禁固刑」は「禁錮刑」と書き換えることができます。法律上は「禁錮刑」が正しい表記になります。
懲役刑の例文
この言葉がよく使われる場面としては、受刑者を刑事施設に収容し、強制的に労働につかせる自由刑を表現したい時などが挙げられます。
例文5に関して、刑法の改正により、2025年から懲役刑は禁固刑と一本化され「拘禁刑」となる予定です。受刑者は刑事施設に入所したうえで、改善更生を図るため、刑務作業が課されるか、または再犯防止に向けた指導を受けようになります。
禁固刑と懲役刑という言葉は、どちらも「犯罪者に対する刑罰」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、刑務所に収監され刑務作業がないものを表現したい時は「禁固刑」を、刑務所に収監され刑務作業があるものを表現したい時は「懲役刑」を使うようにしましょう。