【抵抗】と【反抗】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「抵抗」(読み方:ていこう)と「反抗」(読み方:はんこう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「抵抗」と「反抗」という言葉は、どちらも「従わないこと」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




抵抗と反抗の違い

抵抗と反抗の意味の違い

抵抗と反抗の違いを分かりやすく言うと、抵抗とは他からの力を退けようとすることを表し、反抗とは権威や権力に逆らおうとすることを表すという違いです。

抵抗と反抗の使い方の違い

一つ目の抵抗を使った分かりやすい例としては、「武力攻撃に抵抗する能力を維持すべきだ」「侵略者に対する抵抗運動が起きる」「生魚を食べることに抵抗がある」「免疫力と抵抗力を高めよう」「抵抗はワット数の小さい方が大きくなります」などがあります。

二つ目の反抗を使った分かりやすい例としては、「反抗期の子供の接し方を教えてください」「親は子供の反抗期に翻弄される」「反抗期の息子に反撃するつもりです」「反抗期がない子供の特徴を紹介します」などがあります。

抵抗と反抗の使い分け方

抵抗と反抗という言葉は、どちらも他人の意見や指示などに従わないことを表しますが、意味や使い方には違いがあります。

抵抗とは、外からの力に負けまいと張り合って退けようとすることを意味します。上記例文にある「抵抗力」とは、細菌やウイルスなどの外敵に対する体を守るための防御能力のことです。また、電気回路における抵抗は、電流の流れにくさを表し、この抵抗が大きいほど電流が流れにくいことを表します。

反抗とは、外からの力に逆らうことを意味し、主に年長者や権威に従わないことを表します。反抗する態度や言動を示すさまや、反抗する傾向が強いさまを「反抗的」と言い、ネガティブな評価が伴う表現です。

つまり、抵抗とは他からの力を退けようとすることを表しますが、反抗とは権威や権力に逆らおうとすることに重きを置いた表現です。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使い分けるようにしましょう。

抵抗と反抗の英語表記の違い

抵抗も反抗も英語にすると「resistance」「opposition」となり、例えば上記の「攻撃に抵抗する」を英語にすると「resist an attack」となります。

抵抗の意味

抵抗とは

抵抗とは、外部から加わる力に対して歯向かうこと、逆らうことを意味しています。

その他にも、「素直に受け入れがたい気持ち、反発する気持ち」「流体中を運動する物体が流れから受ける運動方向と逆向きの力」「電気抵抗の略」の意味も持っています。

表現方法は「抵抗計算」「抵抗器」「抵抗する」

「抵抗計算」「抵抗器」「抵抗する」「抵抗値」「電気抵抗」などが、抵抗を使った一般的な言い回しです。

抵抗の使い方

「植民地化に対する抵抗運動が起こった」「憲法に於ける抵抗権と抵抗義務を論じる」の文中で使われている抵抗は「歯向かうこと」の意味で、「精神科を受診するのに抵抗を感じる」「水着を着ることに抵抗がある」の文中で使われている抵抗は「反発する気持ち」の意味で使われています。

一方、「各種金属の抵抗率を調べる」「並列に接続すると抵抗値はどうなりますか」の文中で使われている抵抗は「運動方向と逆向きの力」の意味で、「抵抗器の働きを習いました」「抵抗のカラーコード早見表をください」の文中で使われている抵抗は「電気抵抗の略」の意味で使われています。

抵抗とは、上記の例文にあるように複数の意味があり、それぞれの意味で使用されているため、文脈により意味を捉える必要があります。抵抗の「抵」はぶつかって張り合うことを表し、「抗」は従わないで争うことを表す漢字です。

「抵抗勢力」の意味

抵抗を用いた日本語には「抵抗勢力」があります。抵抗勢力とは、自分が進めようと考えている案に対して、反対の意見を唱える人々を指す言葉です。小泉元総理が、自身の改革に反対する野党や党内諸派、マスメディアなどについて言いました。

抵抗の対義語

抵抗の対義語・反対語としては、相手の強さや勢いに負けて服従することを意味する「屈伏」などがあります。

抵抗の類語

抵抗の類語・類義語としては、相手にさからって立ち向かうことを意味する「手向かう」、体制に逆らうことや謀反を起こすことを意味する「造反」、弱い者も追いつめられると強い者に反撃することを意味する「窮鼠猫を噛む」などがあります。

反抗の意味

反抗とは

反抗とは、逆らうこと、長上や権威・権力などに従わないことを意味しています。

反抗の使い方

反抗を使った分かりやすい例としては、「わが子は何を言っても反抗する」「親にやたらと反抗している」「母に対する反抗心を大きくした」「反抗的な部下の評価を下げる」「反抗的な態度はやる気の裏返しです」などがあります。

その他にも、「子どもの反抗期はいつから始まりますか」「反抗期の息子は英語教室に行きたがらない」「病院で反抗挑戦性障害と診断されました」「反抗期をテーマにした漫画にハマっています」「反抗期がないのは問題ですか」などがあります。

反抗の「反」は訓読みで「そる」「そむく」「かえる」と読み、逆の事をしたり対立することを表します。逆らうことを表す「抗」と結びつき、反抗とは、服従しようとせず歯向かうことを意味します。特に、年長者や権力などに逆らうことを表す言葉です。

「反抗期」の意味

反抗を用いた日本語には「反抗期」があります。反抗期とは、精神発達の一過程で、自我意識が非常に強くなり親や目上の人の言うことをきかなくなる時期を意味します。幼児期に現れるものを「第一反抗期」、思春期前期に現れるものを「第二反抗期」と呼んでいます。

反抗の対義語

反抗の対義語・反対語としては、他の意志や命令に従うことを意味する「服従」などがあります。

反抗の類語

反抗の類語・類義語としては、目上の人に対して逆らうことや従わずに文句を言ったりすることを意味する「盾突く」、 反抗することや抵抗することを意味する「歯向かう」、敵の攻撃に対して防御にとどまらず攻めかえすことを意味する「反撃」などがあります。

抵抗の例文

1.あなたは完全に包囲されている、無駄な抵抗はやめて今すぐ出てきなさい。
2.次回の内閣改造で、首相は抵抗勢力に揺さぶりかけるつもりだろう。
3.抵抗器のカラーコードを見れば、どのくらいの抵抗値を持っているかがわかります。
4.抵抗の容量は抵抗計算の延長で求められるので、それほど難しくはありません。
5.金属の種類によって電気抵抗率の大きさが違うことはわかったが、何によって決まるのだろうか。
6.植民地では独立運動家もいて、たびたび抵抗運動が起こったが、すべて鎮圧されてしまいました。
7.あの時代に敵国から武力攻撃に抵抗する能力を維持すべきだなんていえば、国会が紛糾しただろう。
8.中国人がお寿司が人気ということは、生魚を食べることに抵抗がある人が減ってきたということなのだろうか。
9.刑事と見られる男が、無駄な抵抗をやめて大人しく出てきなさい!と拡声器で叫ぶも、犯人からは何の反応もありません。
10.私たちは、あらゆる社会の偏見や差別に対して、声を上げて抵抗していく必要があると思っています。

この言葉がよく使われる場面としては、外からの力に対し負けまいと努めること、素直に受け入れがたい気持ち、作用する力に対して反対の方向に作用する力を表現したい時などが挙げられます。

例文3にある「抵抗器」とは、電気を流れにくくする電子部品のことです。例文5の「電気抵抗率」とは、電流の流れにくさを表す比例定数であり、単位はオームメートルです。

反抗の例文

1.母親にとって、男の子よりも女の子の反抗期の方が精神的にこたえるようだ。
2.大人や家族に対し反発心を抱く反抗期は、成長のために必要なものです。
3.いつも大人しい学級委員長が、英語の先生にだけ反抗するのは何故だろう。
4.反抗的な部下に対し、上司としてどのように接するのが良いでしょうか。
5.怒りや反抗心を表に出せないでいると、うつになるケースがあります。
6.反抗期は親にとっては悩みのタネであるが、しかし、反抗期がなかったとしたら、それはそれで問題があるかもしれない。
7.息子は、成績が落ちているにもかかわらず、塾に行きたがらない。父親は、息子の反抗的な態度に腹を立てている。
8.新人社員の彼はアクが強く、何かと私の方針に反抗的な態度を取ってくるので、手を焼いている。
9.意味のない勉強をして何になるかと疑問を抱いたり、制度に反抗する人間はすぐに落とされてしまう。
10.父親は私が反抗的な言動や態度をとれば容赦なく体罰をしてきたが、私が空手をやるようになってからは手を出すことはなくなった。

この言葉がよく使われる場面としては、育てたり導いたりしてくれる人や権威あるいは権力に対して、素直に従わず歯向かうことを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文にあるように、反抗の慣用的な慣用的な表現には「反抗期」「反抗する」「反抗的」「反抗心」などがあります。例文2にある反発と反抗の違いは、反発とは他の人の意見に逆らうことを意味することに対し、反抗とは特に権威や権力に逆らう意味する点にあります。

抵抗と反抗という言葉は、どちらも「人の意見や指示などに従わないこと」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、他からの力に対して張り合い遠ざけようとすることを表現したい時は「抵抗」を、権威や権力に逆らおうとすることを表現したい時は「反抗」を使うようにしましょう。

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