似た意味を持つ「几帳面」(読み方:きちょうめん)と「神経質」(読み方:しんけいしつ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「几帳面」と「神経質」という言葉は、どちらも「細部まできちんとしているさま」を表しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
几帳面と神経質の違い
几帳面と神経質の意味の違い
几帳面と神経質の違いを分かりやすく言うと、几帳面とは細かく丁寧なプラスイメージの言葉、神経質とは病的に細かいマイナスイメージの言葉という違いです。
几帳面と神経質の使い方の違い
一つ目の几帳面を使った分かりやすい例としては、「母は几帳面な性格で整理整頓が得意です」「やけに几帳面で神経質な人が苦手です」「几帳面な人に合う仕事に研究職があります」「自己PRで几帳面さをアピールする」などがあります。
二つ目の神経質を使った分かりやすい例としては、「神経質な人と一緒にいると疲れる」「神経質な性格を治したい」「神経質すぎるエピソードにスタジオは騒然とした」「マイナス思考は神経質な人の特徴です」などがあります。
几帳面と神経質の使い分け方
几帳面と神経質という言葉は、どちらも細部まできちんとしている気質や振る舞いを表しますが、意味や使い方には違いがあります。
几帳面とは、細部にわたって物事をきちんと行うさま、決まりに従って正確に処理するさまを意味します。几帳面な人とは、いい加減なところがなく、何事にも丁寧でしっかりしている人のことであり、ポジティブな意味合いを持ちます。
神経質とは、少しのことにも過敏に反応して自分を病的な状態だと思い込む気質や、情緒不安定で些細なことを気にするさまを意味します。神経質な人とは、気にしなくてもいいような細かい部分まで気にする人であり、ネガティブなイメージを伴います。
つまり、几帳面は丁寧できちんとしている肯定的なニュアンスを持ち、神経質とは病的に細かいことを気にするという否定的なニュアンスがあります。この点が、几帳面と神経質という言葉の明確な違いになります。
几帳面と神経質の英語表記の違い
几帳面を英語にすると「orderly」「formality」「methodical」となり、例えば上記の「几帳面な性格」を英語にすると「methodical personality」となります。
一方、神経質を英語にすると「nervousness」「nervous」「sensitive」となり、例えば上記の「神経質な人」を英語にすると「nervous person」となります。
几帳面の意味
几帳面とは
几帳面とは、細かいところまで物事をきちんと行うさま、決まりや約束にかなうよう正確に処理するさまを意味しています。
その他にも、「角柱の角につけた面の一つ」の意味も持っています。
表現方法は「几帳面な人」「几帳面な性格」「几帳面すぎる」
「几帳面な人」「几帳面な性格」「几帳面すぎる」などが、几帳面を使った一般的な言い回しです。
几帳面の使い方
「几帳面な人の仕事ぶりは信用できます」「自分の長所は几帳面さにあります」「彼は教科書的な英語を几帳面に使う」「仕事上で几帳面であることに長所も短所もあります」などの文中で使われている几帳面は、「物事をきちんと行うさま」の意味で使われています。
一方、「柱の表面を面取りして几帳面を施す」「几帳面は家具几帳に由来する建築用語です」「平行に面を出さず窪ませたものは猿几帳面と言います」などの文中で使われている几帳面は、「角柱の角につけた面の一つ」の意味で使われています。
几帳面とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ちますが、一般的には「物事をきちんと行うさま」の意味で用いられています。もう一つの意味の几帳面は建築用語であり、日常会話ではほとんど使われていません。
几帳面の語源
几帳面という言葉の語源は、平安時代に使われていた家具の細工に由来します。間仕切りや目隠しに使う「几帳」という家具には、「几帳面」と呼ばれる角を削って細工として刻み目を入れた部分がありました。几帳面は細く丁寧に仕上げてあることから、きちんとしたさまを意味するようになりました。
几帳面の対義語
几帳面の対義語・反対語としては、行動や性格がだらしのないことを意味する「ずぼら」、細部にまで注意が届かず雑であるさまを意味する「大雑把」、大まかでいい加減なさまを意味する「雑」などがあります。
几帳面の類語
几帳面の類語・類義語としては、嘘やいい加減なところがなく真剣であることを意味する「真面目」、大層まじめなさまを意味する「大まじめ」、まじめすぎて融通がきかないことを意味する「生まじめ」、ひどくまじめで堅苦しいことを意味する「四角四面」などがあります。
神経質の意味
神経質とは
神経質とは、情緒的に不安定で、わずかなことにも過敏に反応して自分を病的な状態だと思い込む気質を意味しています。
その他にも、「細かいことまでいちいち気に病むさま」の意味も持っています。
表現方法は「神経質な人」「神経質になる」「神経質な性格」
「神経質な人」「神経質になる」「神経質な性格」などが、神経質を使った一般的な言い回しです。
神経質の使い方
「診断結果から神経質な面がうかがえます」「神経質が過ぎると心の病気を引き起こします」「物事を神経質にとらえがちな人がなりやすい病気があります」などの文中で使われている神経質は、「わずかなことにも過敏に反応する気質」の意味で使われています。
一方、「ミスに対してひどく神経質になっている」「神経質な人と上手に付き合いたい」「神経質な性格を治す方法はありますか」などの文中で使われている神経質は、「細かいことまでいちいち気に病むさま」の意味で使われています。
神経質という言葉の「神経」は、物事に反応する心の働き、特に過敏な心の働きを表します。生まれつきの気質を表す「質」と結びつき、神経質とは、細かいことまで気に病むたちや、些細なことを気にする性格の意味で使われています。
神経質であることは、長所として物事によく気が付くことが挙げられます。一方、短所としては情緒的に不安定でイライラしていたり、気にしなくてよいような細かいところを気にする面もあり、どちらかと言えばマイナスイメージを伴う言葉です。
そのため、人に対して使う時には悪口にならないよう、「几帳面」「用意周到」「センシティブ」「デリケート」など神経質を言い換えるようにしましょう。
神経質の対義語
神経質の対義語・反対語としては、感覚が鈍いことや感じ方が弱いことを意味する「無神経」、感じ方が鈍いことや気がきかないことを意味する「鈍感」、細かいところまで気が回らず言動が荒っぽいさまを意味する「がさつ」、心がゆったりとしているさまを意味する「おおらか」などがあります。
神経質の類語
神経質の類語・類義語としては、感覚や感度の鋭いことを意味する「敏感」、刺激に対して過度に敏感なことを意味する「過敏」、感情などがこまやかなことを意味する「繊細」、感受性が強く繊細なさまを意味する「デリケート」などがあります。
几帳面の例文
この言葉がよく使われる場面としては、厳格で折り目正しい様子、角を削って丸みをつけ両側に刻み目を入れたものを表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文4にある几帳面は、厳格で折り目正しい様子の意味で用いられています。一方、例文5の几帳面は、角柱の角につけた面の一つの意味で用いられています。
神経質の例文
この言葉がよく使われる場面としては、神経が過敏である性質、一般に気にしなくてよいような細かいところを気にかける性質を表現したい時などが挙げられます。
例文1や例文2にある神経質は、神経が過敏である性質を表しています。例文3から例文5の神経質は、一般的には気にしなくてよいような細かいところを気にかける性質の意味で用いられています。
几帳面と神経質という言葉は、どちらも「細かくきちんとしているさま」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、ポジティブな意味で細かく丁寧な様子を表現したい時は「几帳面」を、ネガティブな意味で病的に細かい様子を表現したい時は「神経質」を使うようにしましょう。