似た意味を持つ「用意周到」(読み方:よういしゅうとう)と「準備万端」(読み方:じゅんびばんたん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「用意周到」と「準備万端」という言葉は、どちらも「準備が整っていること」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
用意周到と準備万端の違い
用意周到と準備万端の意味の違い
用意周到と準備万端の違いを分かりやすく言うと、用意周到とは準備が整っている状態を表し、準備万端とは全ての準備そのものを表すという違いです。
用意周到と準備万端の使い方の違い
一つ目の用意周到を使った分かりやすい例としては、「神経質な彼は常に用意周到です」「彼は用意周到なので安心して任せられる」「彼女は計画的で用意周到な人です」「選挙は用意周到に準備して行われるべきだ」などがあります。
二つ目の準備万端を使った分かりやすい例としては、「おかげさまで準備万端に整えることができました」「準備万端を整え運命の日を迎える」「私達はこのために準備万端整えてきました」「私は既に準備万端です」などがあります。
用意周到と準備万端の使い分け方
用意周到と準備万端という言葉は、どちらも事前の準備が完璧に整っていることを表しますが、厳密な意味や使い方には違いがあります。
用意周到とは、用意が細かいところまで行き届いていること、少しも手抜かりがなく準備されているさまを意味します。「用意周到な人」とは、何かを実行する前にしっかり準備をして、何事も手落ちがないような人のことです。
準備万端とは、もともと「準備についてのあらゆる事柄、準備全般」を意味し、「準備万端に整える」の言い回しで使用される言葉です。しかし、一般には「準備万端だ」「準備万端で臨む」ような使い方で、万全の準備ができている状態の意味で誤用されています。
つまり、用意周到とは準備が整っているさまを表現し、準備万端とは本来は準備そのものを意味する言葉です。二つの言葉はほぼ同じように使用されていますが、本来の意味は大きく異なります。
用意周到と準備万端の英語表記の違い
用意周到を英語にすると「thoroughly prepared」「well prepared」となり、例えば上記の「彼は常に用意周到です」を英語にすると「He is always well prepared」となります。
一方、準備万端を英語にすると「fully prepared」「all set」となり、例えば上記の「準備万端に整える」を英語にすると「be fully prepared」となります。
用意周到の意味
用意周到とは
用意周到とは、心遣いが隅々まで行き届いて、準備に手抜かりがないさまを意味しています。
用意周到の使い方
用意周到を使った分かりやすい例としては、「職場にものすごく用意周到な人がいます」「用意周到に物事を進める」「用意周到に悪い意味はありますか」「自己PRで用意周到であることを伝えました」などがあります。
その他にも、「私の長所は用意周到であることです」「私は用意周到なので失敗しません」「用意周到な計画殺人だった」「これ以上ないほど用意周到に準備する」「英語教師は用意周到に授業の準備をしている」などがあります。
用意周到の「周到」とは、手落ちがなく全てに行き届いていることを表します。前もって必要なものを揃えておくことを表す「用意」と組み合わさり、用意周到とは、準備を怠りなく行うこと、全てにわたって不備なく準備されていることを意味します。
用意周到は四字熟語
用意周到という四字熟語は、「意を用いること周く(あまねく)到る(いたる)」と読み下すことができます。周く(読み方:あまねく)は、現代文では「遍く」「普く」と書き、もれなく全てに及んでいるさまを意味する言葉です。
用意周到の対義語
用意周到の対義語・反対語としては、はっきりした見通しも立てずに事を行うことを意味する「無計画」などがあります。
用意周到の類語
用意周到の類語・類義語としては、ある物事を始めるときに準備を整えておくことを意味する「胸中成竹」、万一に備えて注意や警戒を怠らないことを意味する「用心」、前もって用心していれば失敗することがないことを意味する「転ばぬ先の杖」などがあります。
準備万端の意味
準備万端とは
準備万端とは、準備に関する全ての事柄を意味しています。
準備万端の読み方
準備万端の読み方は「じゅんびばんたん」です。誤って「じゅんびまんたん」などと読んだり、この誤読から「準備満タン」と書かないようにしましょう。
準備万端の使い方
準備万端を使った分かりやすい例としては、「新入生を迎える準備万端整いました」「英語留学の準備万端は母に任せています」「あなたはもう準備万端整えましたか」「安全確保のための準備万端が整う」などがあります。
その他にも、「朝早くから学校に行く準備万端です」「準備万端で安全な旅を楽しもう」「就活はこの一冊で準備万端です」「あとビジネススーツを買えば準備万端です」「デートは準備万端で臨むタイプです」などがあります。
準備万端の「万端」とは、ある事についてのあらゆる事柄や方法を表します。前もって必要なものをそろえたり態勢を整えたりすることを表す「準備」と結び付き、準備万端とは、ある物事に関するあらゆる事柄や手段を意味します。
準備万端は四字熟語
準備万端という言葉は「全部の準備そのもの」意味する四字熟語ですが、俗に「準備の全てが整っていること」の意味で誤用されている言葉です。これは「準備万全」という四字熟語と混同した使い方で、本来であれば誤った用法になります。
「準備万端です」の意味
上記例文の「準備万端です」は、本来の意味であれば「全ての準備です」となるので、正しくは「準備万端整っています」または「準備万全です」と表現するものです。ただし、この誤用は一般的に広まっており、慣用表現として使用されています。
準備万端の対義語
準備万端の対義語・反対語としては、物事の結末をつけることを意味する「けりを付ける」、後片付けをすることを意味する「始末」などがあります。
準備万端の類語
準備万端の類語・類義語としては、物事をする際に前もってなすべき準備を意味する「手はず」、物事を行う順序や準備を意味する「段取り」、不足がまったくなく完璧なさまを意味する「完全無欠」などがあります。
用意周到の例文
この言葉がよく使われる場面としては、用意が行き届いて、手抜かりがないことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、用意周到の慣用的な言い回しには「用意周到な人」「用意周到である」「用意周到だ」などがあります。
用意周到という言葉には、もともと悪い意味はありませんが、例文4のように手抜かりがない犯行を表すことがあり、悪いイメージを持たれることがあります。
準備万端の例文
この言葉がよく使われる場面としては、様々な準備、準備に関する全てを表現したい時などが挙げられます。
例文5にある「準備万端」は俗な使い方であり、全ての準備が整っている状態を表しています。本来、準備万端という言葉はあらゆる準備そのものを意味しますが、誤用の一般化が進んでいる言葉のひとつです。
用意周到と準備万端という言葉は、どちらも「準備が整っていること」を表します。ただし、準備万端という言葉は本来「全ての準備そのもの」を意味する言葉であることを覚えておきましょう。