似た意味を持つ「著作」(読み方:ちょさく)と「拙著」(読み方:せっちょ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「著作」と「拙著」という言葉は、どちらも「書物」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
著作と拙著の違い
著作と拙著の意味の違い
著作と拙著の違いを分かりやすく言うと、著作とは書きあらわしたものを表現する言葉、拙著とは自分の著作をへりくだっていう言葉という違いです。
著作と拙著の使い方の違い
一つ目の著作を使った分かりやすい例としては、「SNSに掲載した写真の著作権が問題になっている」「著作権フリーの音楽をダウンロードする」「著作権とはなにか説明できますか」「著作権侵害にならない画像を探しています」などがあります。
二つ目の拙著を使った分かりやすい例としては、「拙著で述べたように保険証廃止には反対です」「拙書ながら出版の運びとなりました」「拙著に対して批判的な意見が多かった」「拙著を謹呈いたします」などがあります。
著作と拙著の使い分け方
著作と拙著という言葉は、どちらも書きあらわした物や著述を表しますが、意味や使い方には違いがあります。
著作とは、書物を書きあらわすこと、また、その書きあらわしたものを意味します。書物や著述など書きあらわしたもの全般を指します。「著作権」は著作物を排他的に利用できる権利であり、「著作権フリー」とは、著作権が適用されていない著作物や、自由に利用できる著作物のことです。
拙著とは、巧みでなく、つたない著作を意味し、自分の著作をへりくだっていう言葉です。自分が執筆した書物や論文を謙遜して表現するもので、他人の著作に対して使用することは大変失礼なことになります。
つまり、著作とは書きあらわしたものを意味し、拙著とは自分の著作をへりくだっていう語です。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使い分けるようにしましょう。
著作と拙著の英語表記の違い
著作を英語にすると「authoring」「writings」「literary works」となり、例えば上記の「著作権」を英語にすると「literary property」となります。
一方、拙著を英語にすると「my work」「my book」となり、例えば上記の「拙著で述べたように」を英語にすると「as discussed in my book」となります。
著作の意味
著作とは
著作とは、書物を書きあらわすこと、その書物、著述を意味しています。
著作の読み方
著作の読み方は「ちょさく」です。誤って「しゃさく」「じゃくさく」などと読まないようにしましょう。
表現方法は「著作する」「著作物」「著作を読む」
「著作する」「著作物」「著作を読む」などが、著作を使った一般的な言い回しです。
著作の使い方
著作を使った分かりやすい例としては、「先生は著作に励んでいます」「全身全霊で著作する」「故意に著作者人格権を侵害する」「英語圏にも著作権の考え方はありますか」「著作権には期限があります」などがあります。
その他にも、「著作権法をわかりやすく教えてください」「それは著作権法違反に当たる行為です」「著作権フリーの音楽をYouTubeでダウンロードする」「著作権の保護期間はどれくらいですか」などがあります。
著作の「著」は訓読みで「あらわす」と読み、書きつけることや書物に書きあらわすことを意味します。物をこしらえることを表す「作」と結びつき、著作とは、本を書き著すこと、その書き著した物を意味します。また、法律では、著作物を創作する行為を指す言葉です。
「著作権」の意味
著作を用いた日本語には「著作権」があります。著作権とは、著作者が自分の創造した著作物を独占的に利用できる権利のことです。知的財産権の一つで、著作物の複製や上演あるいは翻訳などの権利を含みます。国内では「著作権法」で保護され、国際的には「万国著作権条約」で認められています。
著作の類語
著作の類語・類義語としては、書物を書きあらわすことや書物を意味する「著書」、書きあらわすことや著述を意味する「述作」、自分が書き著した書物を意味する「自著」、その人の著作のうち主なものを意味する「主著」などがあります。
拙著の意味
拙著とは
拙著とは、つたない著作、自分の著作をへりくだっていう語を意味しています。
拙著の読み方
拙著の読み方は「せっちょ」です。誤って「せっしゃ」「せっちゃく」などと読まないようにしましょう。
拙著の使い方
拙著を使った分かりやすい例としては、「拙著ではございますがご笑覧いただければ幸いです」「拙著では英語を例文とともに解説しております」「この拙著では調べたい反対語が素早く検索できます」などがあります。
その他にも、「拙著を謹呈申し上げます」「拙著では文化遺産の世界をご紹介しております」「学術雑誌に拙著論文が掲載されました」「敬語についての拙著を英語に翻訳する」「時間の使い方について書いた拙著があります」などがあります。
拙著とは、つたない著作を意味し、多くは自分の著作をへりくだっていう語として使用されている言葉です。拙著の「拙」は訓読みで「つたない」と読み、下手で巧みでないことを表します。「著」は書物にあらわすことや、あらわした書物を意味する漢字です。
拙著という言葉は、自分が執筆した本や自分が出版した書物のことを謙遜していう表現です。研究者が自身の論文をへりくだっていうこともあります。他人の書き物に使用することは、大変失礼なことになるので注意してください。
拙著の対義語
拙著の対義語・反対語としては、相手を敬ってその著書をいう語を意味する「貴著」、他人を敬ってその著書をいう語を意味する「高著」などがあります。
拙著の類語
拙著の類語・類義語としては、へたな原稿や自分の原稿をへりくだっていう語を意味する「拙稿」、自分の書いた文章をへりくだっていう語を意味する「拙文」、自分の文章を謙遜していう語を意味する「駄文」、自分の作品をへりくだっていう語を意味する「拙作」などがあります。
著作の例文
この言葉がよく使われる場面としては、本を書き著すこと、その書き著した物を表現したい時などが挙げられます。
例文2や例文5にある「著作物」とは、著作者が著作したものを意味します。特に、文芸や学術、美術や音楽などに関する思想や感情を創作的に表現したものを指す言葉です。現行の著作権法では、コンピュータープログラムなども含まれています。
拙著の例文
この言葉がよく使われる場面としては、自分の書いた書物をへりくだって言う語を表現したい時などが挙げられます。
例文1にある「拙著ではございますが」とは、自分の著作を謙遜して、つたない著作であることをお断りする前置きのフレーズです。
著作と拙著という言葉は、どちらも「書物や著述」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、書きあらわした書物や著述を表現したい時は「著作」を、自分の著作をへりくだって表現したい時は「拙著」を使うようにしましょう。