似た意味を持つ「反響」(読み方:はんきょう)と「反応」(読み方:はんのう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「反響」と「反応」という言葉は、どちらも「ある出来事に対するリアクション」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
反響と反応の違い
反響と反応の意味の違い
反響と反応の違いを分かりやすく言うと、反響とは不特定多数の良いリアクションを表し、反応とは個人から不特定多数までのさまざまなリアクションを表すという違いです。
反響と反応の使い方の違い
一つ目の反響を使った分かりやすい例としては、「山で反響する音の仕組みを解明する」「自閉症の息子に反響言語がみられるようになった」「英語教材の反響営業をしています」「視聴者の反響が大きい」などがあります。
二つ目の反応を使った分かりやすい例としては、「話しかけても反応がない」「音に反応するおもちゃがお気に入りです」「反応エンタルピーの求め方を教えてください」「精度が高い反応速度測定装置を購入しました」などがあります。
反響と反応の使い分け方
反響と反応という言葉は、どちらも刺激に対して起こる人々の動きや気持ちを表しますが、意味や使い方には違いがあります。
反響とは、もともと音が跳ね返って再び聞こえる現象を指しますが、ある出来事や事柄が影響を与えた結果の反応や意見という意味でも使用される言葉です。「反響が大きい」「反響を呼ぶ」などの使い方で、複数の人々からポジティブなリアクションが返ってくる時に使われることが多い表現です。
反応とは、ある働きかけや刺激に応じて動きが生じることを意味します。「良い反応」「反応が悪い」のような使い方で、ポジティブな意味でもネガティブな意味でも使用される言葉です。また、「反応がある」「無反応」のように、良し悪しに関係なく使用されることもあります。
つまり、反響とは良いリアクションを表すことが多く、反応とはさまざまなリアクションを指す言葉です。また、反響は不特定多数からのリアクションですが、反応は個人から複数の人々のリアクションまで表す点も、二つの言葉の違いになります。
反響と反応の英語表記の違い
反響を英語にすると「echo」「effect」となり、例えば上記の「山で反響する音」を英語にすると「an echo in a mountain」となります。一方、反応を英語にすると「reaction」「retroaction」となり、例えば上記の「反応がない」を英語にすると「show no reaction」となります。
反響の意味
反響とは
反響とは、音波が障壁にぶつかって反射し再び聞こえる現象、こだまを意味しています。
その他にも、「発表された事柄や出来事などの影響によって起こるさまざまの反応」の意味も持っています。
反響の読み方
反響の読み方は「はんきょう」です。誤って「ほんきょう」「たんきょう」などと読まないようにしましょう。
表現方法は「反響が良い」「反響が大きい」「反響がある」
「反響が良い」「反響が大きい」「反響がある」「反響がすごい」「反響をいただく」などが、反響を使った一般的な言い回しです。
反響の使い方
「二人の話し声が部屋で反響している」「舞台の反響板を設置する」「マイクの反響音を消す方法はありますか」などの文中で使われている反響は、「音波が反射し再び聞こえる現象」の意味で使われています。
一方、「斬新なキャッチコピーで反響を呼ぶ」「新商品の反響が良いようです」「飛び込み営業よりも反響営業の方が成約率が高い」などの文中で使われている反響は、「影響によって起こるさまざまの反応」の意味で使われています。
反響とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ち、それぞれの意味で用いられているので、文脈により意味を捉える必要があります。反響の「反」は訓読みで「かえす」と読み、ぶつかって元の方へ戻ることを表し、「響」は音がひびくことや作用が及ぶことを表します。
「反響営業」の意味
反響を用いた日本語には「反響営業」があります。反響営業とは、反響があった見込み客に対する営業を意味し、テレビCMやWeb広告を見た顧客からの問い合わせに対して営業をかけるスタイルです。
反響の類語
反響の類語・類義語としては、音源が振動をやめたあとも音が引き続き聞こえる現象を意味する「残響」、音の鳴り終わったのちにかすかに残る響きを意味する「余韻」、次々と周囲に動揺を伝えていくような影響を意味する「波紋」などがあります。
反応の意味
反応とは
反応とは、ある働きかけに応じて起こる物事の動きを意味しています。
その他にも、「生体が刺激に応じて活動を起こすこと」「物質の相互作用によって別の物質を生じること」の意味も用いられています。
反応の読み方
反応の読み方は「はんのう」です。誤って「はんおう」「たんのう」などと読まないようにしましょう。
表現方法は「反応する」「反応が良い」
「反応する」「反応が良い」などが、反応を使った一般的な言い回しです。
反応の使い方
「エアコンがリモコンに反応しない」「タッチパネルが反応しづらい」「無駄に反応しない練習をしています」などの文中で使われている反応は、「働きかけに応じて起こる物事の動き」の意味で使われています。
一方、「反応性低血糖の原因は何ですか」の文中で使われている反応は「生体が刺激に応じること」の意味で、「核分裂は核反応の一種です」「高温ほど反応速度が大きくなります」の文中で使われている反応は「相互作用によって別の物質を生じること」の意味で使われています。
反応とは、上記の例文にあるように複数の意味を持ち、それぞれの意味で用いられているので、文脈により意味を判断する必要があります。反応の「反」は元にもどることを表し、「応」は外からの求めや働きかけを受けて動くことを表す漢字です。
「反応速度」の意味
反応を用いた日本語には「反応速度」があります。反応速度とは、化学反応の生成物に関する各成分量の時間変化率を表す物理量を意味します。反応速度と反応物の濃度または圧力および定数パラメーターの関係式を「反応速度式」、反応速度式中の比例定数のことを「反応速度定数」といいます。
反応の対義語
反応の対義語・反対語としては、生体に作用して現象や反応を起こさせることを意味する「刺激」などがあります。
反応の類語
反応の類語・類義語としては、物事の力や作用が他のものにまで及ぶことを意味する「影響」、他のものに力を及ぼして影響を与えることを意味する「作用」、一つの出来事がきっかけとなり同種のことが次々に起こることを意味する「連鎖反応」などがあります。
反響の例文
この言葉がよく使われる場面としては、音が山や壁などの表面で反射されて再び聞こえる現象、ある出来事などが世間に影響を与え出てくる反応を表現したい時などが挙げられます。
例文1にある反響は、「音が壁などの表面で反射されて再び聞こえる現象」の意味で用いられています。例文2から例文5の反響は、「ある出来事などが世間に影響を与え出てくる反応」の意味で使用されています。
反応の例文
この言葉がよく使われる場面としては、ある刺激に応じてある現象が生じること、ある刺激で行動を起こすこと、物質が作用し合い化学変化を起こすことを表現したい時などが挙げられます。
例文3にある「拒否反応」とは、「拒絶反応」ともいい、ある物事を心理的あるいは生理的に受け付けないことを意味します。例文5の「化学反応式」とは、化学反応の質的・量的関係を化学式を用いて表した式のことです。
反響と反応という言葉は、どちらも「ある働きかけに対して生じる動き」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、不特定多数の良いリアクションを表現したい時は「反響」を、一人から不特定多数までのさまざまなリアクションを表現したい時は「反応」を使うようにしましょう。