似た意味を持つ「適否」(読み方:てきひ)と「当否」(読み方:とうひ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「適否」と「当否」という言葉は、どちらも「妥当であるかどうか」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
適否と当否の違い
適否と当否の違いを分かりやすく言うと、適否とは状況や目的に当てはまるかどうかを表し、当否とは内容があっているかどうかを表すという違いです。
適否と当否の使い方の違い
一つ目の適否を使った分かりやすい例としては、「設備投資の適否を判断する」「分割要件の適否が争われた判例を紹介します」「外国の制度は国内基準を基に適否を評価します」「治験を行うことの適否を調査する」などがあります。
二つ目の当否を使った分かりやすい例としては、「当該措置の当否について議論する」「内容の当否については保証できかねます」「私はその当否を論じる立場にはありません」「処分の当否や適否については判断を留保する」などがあります。
適否と当否の使い分け方
適否と当否という言葉は、どちらも物事がよくあてはまっているか、そうでないかを表しますが、意味や使い方には違いがあります。
適否とは、適するか適さないかを意味し、ある目的や条件などにうまくあてはまっているかどうかを表す言葉です。たとえば「措置の適否」とは、措置を講ずることが適しているのかどうか、あるいは措置の内容が妥当なのかどうかを表現します。
当否とは、当たりはずれ、 道理に合うことと合わないこと、物事のよしあしを意味します。内容が適切なのか的はずれなのかの意味で用いられることが多い言葉です。たとえば「措置の当否」となると、措置の内容があっているのかどうかを表現します。
つまり、適否とは状況や目的に当てはまるかどうかを意味し、当否とは内容があっているかどうかを表します。二つの言葉はとても似ていますが、意味は異なるので区別して使い分けるようにしましょう。
適否と当否の英語表記の違い
適否を英語にすると「fitness」「suitability」「aptitude」となり、例えば上記の「適否を判断する」を英語にすると「judge suitability」となります。
一方、当否を英語にすると「propriety」「justice」「right or wrong」となり、例えば上記の「措置の当否」を英語にすると「the propriety of the measure」となります。
適否の意味
適否とは
適否とは、適することと適さないこと、また、適するか適さないかを意味しています。
適否の読み方
適否の読み方は「てきひ」です。誤って「せきひ」「てきふ」などと読まないようにしましょう。
表現方法は「適否判断」「適否を確認」
「適否判断」「適否を確認」などが、適否を使った一般的な言い回しです。
適否の使い方
適否を使った分かりやすい例としては、「ドライブレコーダー性能要件適否表を確認する」「回答方法の適否を判断する」「発達支援児保育の適否を審査する」「必要に応じて事業実施の適否判断を行う」などがあります。
その他にも、「審査依頼議案に対する適否確認を行う」「正誤や適否の答え方を指導する」「可否および適否の見極めが困難な案件であった」「英語がわからなければ英訳の適否を判断できない」などがあります。
適否の「適」は訓読みで「かなう」と読み、ぴったり当てはまることや相応しいことを表します。反対の意味を表す「否」と組み合わさり、適否とは、適しているかそうでないかを意味します。物事が、状況や条件に合っているかどうか、妥当かどうかを表す言葉です。
適否を問われた際の回答方法は、「適するか、適さないか」を答えます。たとえば「この英訳の適否を教えてください」の答え方としては、「この英訳は適しています」「妥当である」または「この英訳は適していません」「不適切である」のように適否についての考えを示します。
適否の類語
適否の類語・類義語としては、適当であるか適当でないかを意味する「適不適」、可能なことと不可能なことを意味する「可不可」、正しいことと正しくないことを意味する「正否」、よいことと悪いことを意味する「善悪」などがあります。
当否の意味
当否とは
当否とは、当たることと当たらないこと、当たりはずれを意味しています。
その他にも、「道理に合うことと合わないこと、よしあし」の意味も持っています。
当否の読み方
当否の読み方は「とうひ」です。同じ読み方をする熟語に「逃避」や「頭皮」がありますが、意味が異なるため書き間違いに注意しましょう。
表現方法は「当否を論じる」「当否を問う」
「当否を論じる」「当否を問う」などが、当否を使った一般的な言い回しです。
当否の使い方
「異議申立ての当否を決定する」「請求の当否の判断はされません」「その措置の当否を論じる必要があった」「検察官の不起訴処分の当否について審査します」「当否疑問文の答え方がわかりません」などの文中で使われている当否は、「当たることと当たらないこと」の意味で使われています。
一方、「事の当否をわきまえて行動する」「物事の善悪や当否をよくわきまえてください」「当否は別として一応の合理性が認められる」などの文中で使われている当否は、「道理に合うことと合わないこと」の意味で使われています。
当否の「当」は訓読みで「あたる」と読み、あてはまることや道理にかなうことを表します。反対の意味を表す「否」と結び付き、当否とは、当たることと当たらないこと、正しいこととそうでないことを意味します。
「当否疑問文」の意味
当否を用いた日本語には「当否疑問文」があります。中国語の文法用語で、「はい」か「いいえ」を問う疑問文を意味します。「諾否疑問文」とも呼ばれ、最も単純な疑問文だと言われています。
当否の類語
当否の類語・類義語としては、事のよしあしや可決と否決を意味する「可否」、正しいかどうかということを意味する「是非」、道理にかなっていることと外れていることを意味する「理非」などがあります。
適否の例文
この言葉がよく使われる場面としては、適しているかそうでないか、適不適を表現したい時などが挙げられます。
例文3にある適否と可否の違いは、適否は物事が条件にあっているかどうかを問うことに対して、可否は物事のよしあしを問うことにあります。
当否の例文
この言葉がよく使われる場面としては、当たることと当たらないこと、正当か不当か、道理に合うことと合わないことを表現したい時などが挙げられます。
例文1にある「当否を問う」は、正当か不当かの判断を求めていることを意味します。例文2の「当否を論じる」は、主張する意見の内容が的を得たものか、的はずれなものかを論争することを意味します。
適否と当否という言葉は、どちらも「物事が妥当であるかどうか」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、状況や目的に当てはまるかどうかを表現したい時は「適否」を、内容が当てはまるかどうかを表現したい時は「当否」を使うようにしましょう。