似た意味を持つ「自由」(読み方:じゆう)と「自在」(読み方:じざい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「自由」と「自在」という言葉は、どちらも「思いのままに振る舞うこと」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
自由と自在の違い
自由と自在の意味の違い
自由と自在の違いを分かりやすく言うと、自由とは拘束や制限がなく思うままであることを表し、自在とは思うままに動くことを表すという違いです。
自由と自在の使い方の違い
一つ目の自由を使った分かりやすい例としては、「自由貿易にはメリットだけでなくデメリットもあります」「自由の女神像はアメリカの象徴です」「自由民主党の派閥はいくつあるかご存知でしょうか」「フランス革命のスローガンは自由、平等、博愛です」などがあります。
二つ目の自在を使った分かりやすい例としては、「人間のように自在に動くロボットを開発する」「蛇口に自在水栓を取り付けました」「大好きな京都を自由自在に旅してみたい」「自在に話せる英語力を身に付ける」などがあります。
自由と自在の使い分け方
自由と自在という言葉は、どちらも束縛や強制などがなく思いのままである状態を表しますが、意味や使い方には違いがあります。
自由とは、他からの強制や束縛がなく自分の思い通りであるさまを意味します。「自由貿易」とは、国が外国貿易に対して何の制限も加えず、また保護や奨励もせず、商人の自由な活動に任せることを言います。
自在とは、意のままに動くこと、思い通りにできることを意味します。「自由自在」とは、仏教用語で、何ものにもとらわれることのない安らかな境地と、とらわれのない働きを言います。一般的には、思いのままにするさまや思いのままにできるさまを意味する四字熟語です。
つまり、自由とは束縛や制限がなく思いのままである状態であり、自在とは思い通りに動くことを意味する言葉です。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。
自由と自在の英語表記の違い
自由を英語にすると「free」「freedom」「liberty」となり、例えば上記の「自由貿易」を英語にすると「free trade」となります。一方、自在を英語にすると「doing at will」「pothook」となり、例えば上記の「自在に動く」を英語にすると「move at will」となります。
自由の意味
自由とは
自由とは、自分の意のままに振る舞うことができることを意味しています。
その他にも、「勝手気ままなこと、わがまま」「哲学で、他から強制・拘束・妨害などを受けないこと、主体的に自己自身の本性に従うこと」「法律の範囲内で許容される随意の行為」の意味も持っています。
自由の使い方
「自由時間が少なすぎる」「自由にイラストを描きましょう」「自由診療を提供するクリニックが増えています」の文中で使われている自由は「自分の意のままに振る舞うこと」の意味で、「自由な一人暮らしがしたい」の文中で使われている自由は「勝手気ままなこと」の意味で使われています。
一方、「哲学における自由意志について論ずる」の文中で使われている自由は「哲学で自己自身の本性に従うこと」の意味で、「法は身体の自由を保障しています」「言論の自由は基本的権利です」の文中で使われている自由は「法律の範囲内で許容される行為」の意味で使われています。
自由とは、上記の例文にあるように複数の意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を捉える必要があります。自由の「自」は心に思う通りであること、「由」はそれが基となって起こることを表す漢字です。
自由という言葉の語源は、英語の「liberty」を福沢諭吉が「自らをもって由となす」と訳したことに由来します。この言葉は、他からの強制や拘束あるいは支配などを受けないで、自らの意思や本性に従っていることを表しています。
「自由研究」の意味
自由を用いた日本語には「自由研究」があります。自由研究とは、主に小学校の夏休みなどの長期休暇中に生徒に与える宿題の一つです。自分でテーマを見つけ、図書館などで調べたり実験などをしてレポートをまとめます。
自由の対義語
自由の対義語・反対語としては、思うようにならないことを意味する「不自由」、制限を加えて行動の自由を奪うことを意味する「束縛」などがあります。
自由の類語
自由の類語・類義語としては、束縛や制限を受けないことや思いのままであることを意味する「随意」、その人の自由意志にまかせることを意味する「任意」、自分の思うままに振る舞う心を意味する「恣意」、自分の好きなだけ気ままに振る舞うことを意味する「好き放題」などがあります。
自在の意味
自在とは
自在とは、意のままであること、自分の思うとおりにできることを意味しています。
その他にも、「自在鉤 (かぎ) の略」「自在天の略」の意味も持っています。
自在の使い方
「アウトドアで役立つ自在結びを紹介します」「自在クランプを通販で買いました」「ベランダ掃除には自在ほうきが便利です」「自在金具の使い方を教えてください」などの文中で使われている自在は、「意のままであること」の意味で使われています。
一方、「囲炉裏の上に自在を取り付けました」「自在の作り方をYouTubeで調べる」などの文中で使われている自在は「自在鉤の略」の意味で、「自在はインドのバラモン教の神です」「自在には恋愛面でのご利益がありますか」などの文中で使われている自在は「自在天の略」の意味で使われています。
自在とは、上記の例文にあるように三つの意味を持ちますが、一般的には「意のままであること、自分の思うとおりにできること」の意味で用いられています。自在の「自」は思いのままであること、「在」はその場所にいることを表します。
「自在結び」の意味
自在を用いた日本語には「自在結び」があります。自在結びとは、ロープをピンと張ったりゆるめたり簡単に調整できる結び方です。英語では「トートライン・ヒッチ」と言い、テントやタープに追加でロープを張りたい時などアウトドアで使用する場面がたくさんあります。
自在の対義語
自在の対義語・反対語としては、思い通りにならないことを意味する「不如意」、条件を設けて自由な活動をおさえつけることを意味する「制約」などがあります。
自在の類語
自在の類語・類義語としては、物事を思いどおりにすることを意味する「存分」、遠慮や気がねをせずに自分の思うままに行動することを意味する「気まま」、気ままに振る舞うことを意味する「好き勝手」、物事を思う存分にすることを意味する「縦横無尽」などがあります。
自由の例文と使い方
この言葉がよく使われる場面としては、自分の心のままに行動できる状態、道理などを無視した身勝手な自己主張、政治的自由と精神的自由、法律の範囲内での随意の行為を表現したい時などが挙げられます。
例文5にある「言論の自由」と「表現の自由」は憲法が定める自由権の一種です。「言論の自由」は検閲を受けることなく自身の思想や良心を表明する自由であり、「表現の自由」は思想・意見・主張・感情などを表現し発表する自由です。
自在の例文と使い方
この言葉がよく使われる場面としては、思うままにすること、心のままであるさま、自在鉤の略、自在天の略を表現したい時などが挙げられます。
例文2にある「自在に操る」とは、自分の意のままに言葉を上手に扱うことを意味しています。例文5の「自在」は、「自在天」の略であり、インドのバラモン教の神で万物創造の最高神を意味します。
自由と自在という言葉は、どちらも「意のままに振る舞うさま」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、拘束や制限がなく思うままの状態を表現したい時は「自由」を、思い通りに動くことを表現したい時は「自在」を使うようにしましょう。