【害する】と【損なう】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「害する」(読み方:がいする)と「損なう」(読み方:そこなう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「害する」と「損なう」という言葉は、どちらも傷つけることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




「害する」と「損なう」の違い

「害する」と「損なう」の意味の違い

「害する」と「損なう」の違いを分かりやすく言うと、「害する」の方が「損なう」よりもやや強調した表現という違いです。

「害する」と「損なう」の使い方の違い

一つ目の「害する」を使った分かりやすい例としては、「急速な都市化はこの地域を害するであろう」「スパイスの入れすぎはこのお肉の味を害するだけだ」「私の父は働過ぎて健康を害しました」などがあります。

二つ目の「損なう」を使った分かりやすい例としては、「健康を損なうことが失職に繋がりました」「遠慮のない言葉に感情を害する」「私の発言が彼の心証を害することになったらしいい」などがあります。

「害する」と「損なう」の使い分け方

「害する」と「損なう」はどちらも傷つけることを意味しており、大きな違いはありません。あえて違いを挙げるならば、「害する」の方が「損なう」よりもやや強調された表現という点です。

分かりやすい例を挙げると、「彼の言動で気分を害する」と「彼の行動で気分を損なう」はどちらもほぼ同じ意味を持っていますが、前者の方がより気分が悪くなったことを強調しています。

ただし、大きな違いではないので、意識して区別している人もあまり多くない言葉であると覚えておきましょう。

「害する」と「損なう」の英語表記の違い

「害する」も「損なう」も英語にすると「spoil」「ruin」「harm」「hurt」となり、例えば上記の「私の父は働過ぎて健康を害しました」を英語にすると「My father ruined her health through overwork」となります。

「害する」の意味

「害する」とは

「害する」とは、傷つけることを意味しています。その他にも、邪魔することや殺害することの意味も持っています。

「害する」の使い方

「煙草を吸うと健康を害することになります」「彼女の振る舞いで気分を害する」などの文中で使われている「害する」は、「傷つけること」の意味で使われています。

一方、「看板広告は景色の美観を害する」「人を害することは決して行ってはいけません」などの文中で使われている「害する」は、「邪魔することや殺害すること」の意味で使われています。

「害する」は傷つけること、邪魔すること、殺害することの複数の意味を持つ動詞です。基本的に良くないことに対して使うので、マイナスのイメージを伴っています。

「害する」は「健康を害する」「気分を害する」などのように、抽象的なものに対しても使うことが可能です。また、殺害することの意味は「人を害する」のように生き物に対して直接使うだけではなく、「調味料の使い過ぎは味を害する」のような使い方をすることもできます。

「害する」の特徴

「害する」は損なうものを特に明らかにしなくてもよく、損なわれるものの状態が悪いことに主眼があるというのが特徴です。

「害する」の対義語

「害する」の対義語・反対語としては、役に立つことを意味する「益する」があります。

「害する」の類語

「害する」の類語・類義語としては、聖域や尊厳などを汚し傷つけることを意味する「冒す」、病気などでからだや精神を少しずつ損なうことを意味する「蝕む」などがあります。

「損なう」の意味

「損なう」とは

「損なう」とは、物を壊してダメにすることを意味しています。その他にも、人の気持ちや身体を調子悪くすること、殺傷すること、するのに失敗すること、する機会を逸することの意味も持っています。

「損なう」の使い方

「器物を損なうのはよくないです」「寝不足は健康を損なうので危険です」などの文中で使われている「損なう」は、「物を壊してダメにすることや人の気持ちや身体を調子悪くすること」の意味で使われています。

一方、「急いでいたので宛先を書き損なう」「見舞い状を出し損なうこととなりました」などの文中で使われている「損なう」は、「するのに失敗することやする機会を逸すること」の意味で使われています。

「損なう」は物を壊してダメにすること、人の気持ちや身体を調子悪くすること、殺傷すること、するのに失敗すること、する機会を逸することの複数の意味を持つ動詞です。

この中でも、するのに失敗することと、する機会を逸することの意味は少し特別で、動詞の連用形に付いて使うと覚えておきましょう。

「損なう」の特徴

「損なう」は人間の生理現象や感情についても用いられるが、「景観を損ねる」抽象的な事柄についても広く用いられるというのが特徴です。

「損なう」の類語

「損なう」の類語・類義語としては、人の気持ちを傷つけることを意味する「損ねる」、状態などが悪くなることを意味する「損ずる」、機能をもっているものに障害を起こさせることを意味する「壊す」などがあります。

「害する」の例文

1.彼は他人を害することばかり言うので、みんなあまり近寄らないようにしています。
2.違法薬物は健康を害するので、決して使用しないように呼びかけられています。
3.景色を害する建物を建築するのは、法律によって禁止されています。
4.急速な都市化はこの地方を害することになるので、慎重に行うべきだと思っています。
5.スパイスの入れすぎは料理の味を害することになるので、気をつけるようにしたいです。

この言葉がよく使われる場面としては、傷つけることを表現したい時などが挙げられます。その他にも、邪魔することや殺害することを表現したい時にも使います。

例文1と例文2は傷つけること、例文3と例文4は邪魔すること、例文5は殺害することの意味で使っています。

「損なう」の例文

1.景観を損なう恐れがあるので、ここにマンションを建てるのは禁止となっています。
2.不均衡な食生活は健康を損なう恐れがあるので、バランスの取れた食事をするのが最適です。
3.一兵も損なうことなく、この戦いを終えることができて本当に良かったです。
4.大事な仕事をやり損なうことになったので、あとで思いっきり叱られるだろう。
5.電車に乗り損なってしまったので、学校に遅刻してしまいました。

この言葉がよく使われる場面としては、物を壊してダメにすることを表現したい時などが挙げられます。その他にも、人の気持ちや身体を調子悪くすること、殺傷すること、するのに失敗すること、する機会を逸することを表現したい時にも使います。

例文1は物を壊してダメにすること、例文2は人の気持ちや身体を調子悪くすること、例文3は殺傷すること、例文4はするのに失敗すること、例文5はする機会を逸することの意味で使っています。

「害する」と「損なう」はどちらも傷つけることを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、「害する」の方が「損なう」よりもやや強調した表現と覚えておきましょう。

言葉の使い方の例文
編集者
株式会社セラーバンク/例文買取センター運営
例文買取センター