似た意味を持つ「ことのほか」と「思いのほか」(読み方:おもいのほか)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「ことのほか」と「思いのほか」という言葉は、どちらも予想していたことと違うことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「ことのほか」と「思いのほか」の違い
「ことのほか」と「思いのほか」の意味の違い
「ことのほか」と「思いのほか」の違いを分かりやすく言うと、「ことのほか」は程度が際立っているという意味がある、「思いのほか」は程度が際立っているという意味がないという違いです。
「ことのほか」と「思いのほか」の使い方の違い
一つ目の「ことのほか」を使った分かりやすい例としては、「この試験はことのほか易しかったです」「ことのほか良い結果になりました」「彼女の病気がことのほか早く治りました」「彼女はことのほか喜んだ」などがあります。
二つ目の「思いのほか」を使った分かりやすい例としては、「北海道は思いのほか暑かったです」「これは思いのほか難しい問題だ」「思いのほか早く着いてしまいました」「思いのほか好成績を残すことができました」「彼女が落第しことは思いのほかでした」などがあります。
「ことのほか」と「思いのほか」の使い分け方
「ことのほか」と「思いのほか」はどちらも予想していたことと違うことを意味している言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。
「ことのほか」は予想とかなり違っていることの意味の他に、程度が際立っていることの意味を持っているのに対して、「思いのほか」考えていたことと違っていることの意味しか持っていないというのが違いになります。
そのため、予想とかなり違っていることの意味ではお互いに置き換えることができますが、程度が際立っていることの意味は「ことのほか」しか使うことができません。
「ことのほか」と「思いのほか」の英語表記の違い
「ことのほか」を英語にすると「exceedingly」「extremely」「exceptionally」となり、例えば上記の「彼女はことのほか喜んだ」を英語にすると「Shee was exceedingly pleased」となります。
一方、「思いのほか」を英語にすると「unexpected」「surprising」となり、例えば上記の「彼女が落第しことは思いのほかでした」を英語にすると「I am surprised to hear that she failed her examination」となります。
「ことのほか」の意味
「ことのほか」とは
「ことのほか」とは、予想とかなり違っていることを意味しています。その他にも、程度が際立っていることの意味も持っています。
「ことのほか」の漢字表記
「ことのほか」を漢字にすると、「殊の外」と表記することができます。
「ことのほか」の使い方
「ことのほか良い記録がでました」「今回の選挙はことのほかな結果でした」などの文中で使われている「ことのほか」は、「予想とかなり違っていること」の意味で使われています。
一方、「今年はことのほか暑いです」「ことのほか数学の点数が良かったです」などの文中で使われている「ことのほか」は、「程度が際立っていること」の意味で使われています。
「ことのほか」は予想とかなり違っていることと、程度が際立っていることの二つの意味を持つ副詞です。また。意味によって使い方が異なるので、きちんと使い分けるようにしましょう。副詞とは品詞の一つであり、他の言葉を修飾して説明を加えるという役割を担っています。
「ことのほか」の特徴
「ことのほか」は結果が予想した程度よりも良い場合にも悪い場合どちらでも使うことができるというのが特徴です。また、ビジネスシーンにおいても使うことができると覚えておきましょう。
「ことのほか」の類語
「ことのほか」の類語・類義語としては、程度の甚だしいことを意味する「至って」、極を重ねて強めた言い方のことを意味する「極々」、並外れて優れていることを意味する「飛び切り」、並の程度ではないことを意味する「非常に」などがあります。
「思いのほか」の意味
「思いのほか」とは
「思いのほか」とは、考えていたことと違っていることを意味しています。
「思いのほか」の漢字表記
「思いのほか」を漢字にすると、「思いの外」と表記することができます。
「思いのほか」の使い方
「思いのほか」を使った分かりやすい例としては、「彼の病気は思いのほかあまり良くはありませんでした」「学校の成績が思いのほか良かったです」「怪我が治るのに思いのほか日数がかかりました」「思いのほか困った事態になりました」などがあります。
「思いのほか」は考えていたことと違っていることを意味する名詞です。ただし、名詞ではあるものの、副詞的に用いられることが多いと覚えておきましょう。
「思いのほか」は予想していたことと違う場合になった際に使う言葉なので、予想通りのことが起きていた場合は使うことができません。
「思いのほか」の特徴
「思いのほか」は結果が予想した程度よりも良い場合にも悪い場合どちらでも使うことができるというのが特徴です。また、ビジネスシーンにおいても使うことができると覚えておきましょう。
「思いのほか」の類語
「思いのほか」の類語・類義語としては、考えていた状態と非常に違っていることを意味する「意外」、予想が外れることを意味する「案外」、思ってもみないことを意味する「思いがけない」などがあります。
「ことのほか」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、予想とかなり違っていることを表現したい時などが挙げられます。その他にも、程度が際立っていることを表現したい時にも使います。
例文1と2の「ことのほか」は予想とかなり違っていること、例文3から例文5の「ことのほか」は程度が際立っていることの意味で使っています。
「思いのほか」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、考えていたことと違っていることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「思いのほか」はビジネスシーンにおいても使うことができる言葉です。
「ことのほか」と「思いのほか」はどちらも予想していたことと違うことを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、程度が際立っているという意味があるのが「ことのほか」、程度が際立っているという意味がないのが「思いのほか」と覚えておきましょう。